R6 民訴法

民訴は何を書いたのか割と覚えていました。なぜか行政法は恐ろしいほどに記憶にない・・・

第1         設問1

1        課題1について

(1)      任意的訴訟担当の意義及び要件

ア 当事者が多人数になる場合には代表者に訴訟追行を任せるのが便宜ではある。もっとも、任意的訴訟担当が原則として禁止されるのは弁護士代理の原則(民事訴訟法(以下略す)54条1項)及び訴訟信託禁止(以下、「弁護士代理の原則等」)に反するからで、八百代代言等による不利益から被代理人を保護する趣旨である。

イ そうであれば、①任意的訴訟担当を認めることが必要かつ合理的であり、②被代理人の利益を害せず、③弁護士代理等の原則等の潜脱につながらなければ、明文無き任意的訴訟担当は認められると解する。

2        課題2について

(1)      判例が任意的訴訟担当を認めたのは、固有必要的共同訴訟(40条1項)該当性は民事訴訟が実体法の実現過程であることから実体法的観点を基本に訴訟法的観点を加味して判断するところ、組合の財産は組合員全員に総有的に帰属するので合一確定の要請が大きく、組合契約に基づいて結成された共同事業体を契約当事者とする訴訟は固有必要共同訴訟に該当するからである。この場合には全員参加が強制されるので、組合代表に任意的訴訟担当を認める必要性・合理性が認められ、組合位の利害が共通するので被担当者の利益を害さず、弁護士代理の原則等の潜脱とは言えないからである。

(2)      本件では、X2とX3はX1に賛成しているため②は満たす。Aに専門的知識があるかは定かではないが、弁護士代理の原則等の潜脱とまではいえないと考え得る(③)。

 確かにX1に訴訟担当を認めれば、X2とX3の時間的・経済的については便宜を図れる。

もっとも、本件訴えは固有必要的共同訴訟には該当せず、本件建物の明け渡しについてX1は単独で訴訟を提起できる。X2とX3はX1との共同訴訟が強制されるわけではなく、任意的訴訟担当を認めることが必要かつ合理的とは言えないので①を満たさない。

(3)      よって、X1による任意的訴訟担当は認められない。

第2         設問2

1        裁判上の自白(179条)は、相手方が主張する、相手方が立証責任を負う事実を認める陳述であり、裁判上の自白が成立すると裁判所の判断を拘束し、当事者のこれに反する主張は認められない。

 立証責任とは主張が真偽不明の場合に事実に基づく法的効果が認められないという不利益の分担であり、事実とは主要事実をいうと解する。主要事実との関係で証拠と同様の機能を有する間接事実・補助事実にまで含めると裁判所に不自然な判断を強いることになり自由心象主義(247条)を害し妥当でないからである。

 本件では、本件陳述は使用目的違反に該当する事実であるからXらが立証責任を負う主要事実であり、Yの陳述は先行自白に該当し、X1がこれを援用したので裁判上の自白が成立する。

2        そこで、自白の撤回が許されることを主張する。

ア 自白の撤回は、①相手方が認めた場合、②再審事由(338条1項5号)に該当するような相手が他の行為により自白した場合、③事実と異なっており、自白が錯誤に基づくものであることを証明した場合に認められる。これ以外の場合でも、具体的状況において、自白の撤回を認めないことが当事者の公平及び信義則(2条)の観点から社会正義に反するような特段の事情が存する場合には、自白の撤回は認められると解する。

イ 本件は①にも②にも③にも該当はしない。もっとも、Yの陳述はXらが信頼関係の破壊を主張することに対応したものであり、X1夫婦はYの料理教室に毎回参加してその使用方法を認めていたにもかかわらず、X1が使用義務違反に請求原因を変えて自白の成立を主張することは矛盾挙動であり、当事者の公平及び信義則の観点から社会正義に反する特段の事情といえる。

ウ よって、Yの自白の撤回は許される。

第3         設問3

1        既判力は判決の実効性を担保するための政策的な規定であり、後訴裁判所を拘束し、これに反する当事者の主張を遮断する。既判力の正当可根拠は当事者への手続保障に基づく自己責任にある。

 既判力の基準時は事実審の口頭弁論終結時と解される。この時までは、当事者は証拠提出や主張立証が可能なので自己責任が問えるからである。

 そうであるから、基準時前に主張期待可能性がないといえる場合には遮断効が及ばないと解され、実質敗訴を認めることになる相殺等は期待可能性が認められないとして既判力の遮断効が及ばない。

2        Xらが本件セミナーの開催に気付いたのは本件判決の確定後であったので、基準時前に提出できなかったため、既判力による遮断効が及ばないとも思える。

 確かに、賃料不払いや錯誤等のように双方が関与する行為であれば認識可能であるが、用法順守義務違反はいつ起こるかわからず賃貸人は通常関与しないし、賃貸人が賃借物を24時間かん視するのはおよそ不可能であるため、Xらが気付かなかったことは異常とは言えない。

 しかし、Xらが偶然発見することは可能であり、このような主張まで例外を認めてしまうと既判力制度が骨抜きになってしまい妥当でない。

3        よって、Xらの主張は既判力に遮断され認められない。

以上


5.2枚ほど書きました。無理やりっぽい主張が多くなりました

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