R6 民法

再現答案作成しててかなり辛かったです

第1         設問1

1        小問(1)

(1)      反論㋐について

ア Aの請求1は所有権に基づく返還請求権の行使であり、①Aが甲土地所有権を有し、②Cが甲土地上に乙建物を有することでAの所有権を妨害し、③Aの所有権がCに対抗できる場合に認められる。

イ Aは甲土地所有権者である。②は認められるので、反論㋐は③に対する占有権限の抗弁である。

ウ 借地借家法(以下、「借地法」と略す)10条は借地権者が投棄されている建物を所有するときに第三者対抗要件を認めるところ、Cは甲土地上に自己名義の登記を有する乙建物を所有しているため、対抗力を有するとも思える。

もっとも、CはBとの間で契約①により甲土地賃貸借契約を締結したが、Bは土地所有権を有しなかったので他人物賃貸借契約となる。他人物賃貸借も契約としては有効であるが、その効力は相対的であり所有権者には対抗できない。これを認めてしまうと所有権者に酷であり妥当でないからである。

したがって、Cの賃借権はAに対抗できない。

エ そこでCは、AがBを相続してその地位を包括承継したので(民法(以下略す)896条)当然追認(116条類推)されて追完され、Cの賃借権はAに対抗できることになると主張する。

しかし、これを認めると、相続という偶然の事情で土地所有権者は賃借権の負担を受け、他人物賃借人は偶然の事情により期待以上の利益を得るので妥当でない。

したがって、相続により本人と他人物賃貸人の地位が併存することになり、追認拒絶が可能と解すべきである。

そして、Aは返還請求しており、追認拒絶といえるので、Cの他人物賃貸借は追完されずAに対抗できない。

オ よって、Cの反論㋐に基づいて請求1を拒むことは出来ない。

(2)小問(1)反論㋑について

ア 反論㋑は留置権(295条1項)または同時履行(533条)の抗弁の主張である。

イ AC間に損害賠償の基礎となる双務契約が無いので同時履行の抗弁は認められない。

ウ 留置権について

 Cは他人の物である甲土地の占有者である。

 「その物に関して生じた債権」とは、物を留置することにより間接的に弁済を即す関係、すなわち物と債権にけん連性が認められる場合をいう。

 本件債権は、契約①の際のBC間の特約に基づいており、契約自由の原則(521条2項)により契約としては有効である。もっとも、土地の使用収益が不可能になった場合の損害賠償請求権に基づく留置を認めても他人物賃貸人は何も困らず、不利益を受けるのは所有権者であるため間接的に履行を即す関係にないためけん連性が認められない。

 したがって、本件損害賠償請求権は「物に関して生じた債権」には該当せず、留置権は発生しないため、これを相続したAに対しても留置権は主張できない。

エ よって、反論㋑に基づいて請求1を拒むこともできない。

2        設問1(2)

(1)      アについて

ア DのAに対する請求2は、賃料減額(611条1項)に基づく不当利得返還請求(703条)である。

イ 雨漏りにより、9月11日から10月1日までの20日間、DはAから賃借した乙建物の一部である丙室を使用できなかったので、「賃借物の一部が・・・その他の自由により使用・・・できなくなった場合(611条1項)に該当する

 雨漏りは契約②の前からの原因によるので「賃借人(D)の責めに帰することができない事由」に該当し、Dの賃料は「使用・・・できなくなった部分の割合に応じて減額される」。

ウ 703条の要件は①利得、②損失、③因果関係、④法律上の原因が無いことである。

 Aに減額されない賃料を受け取ったという利得が発生し(①)、Dに減額分の損失が発生し(②)因果関係も認められる(③)し、減額分に関しては法律上の原因が無いといえる(④)。

エ よって、Dの請求2は認められる。

(2)      イについて

ア 請求2は、事務管理(697条1項)に基づく必要費償還請求(702条)である。

イ 本件ではDはAに何ら通知をしないままEに修繕工事を依頼しており、607条の2第1号に該当しない。また、特に工事を急ぐべき事情は無かったので(雨漏りから工事まで1週間あった事情を書いた覚えが無い・・・やってしまった)同2号にも該当しない。(メモを間違えて見ていたので606条を607条の2に訂正しました)

 したがって、Dには同条柱書が適用されず、修繕権限が無い。

ウ この場合に事務管理を成立させるのは賃貸人に酷なので成立しないと解すべきである。また、本件の事情では緊急事務管理(698条)も成立しない。

エ したがって、Dは702条3項により20万円しか請求できない。

オ よって請求3は認められない。

第2         設問2

1        請求4は土地所有権に基づく返還請求であり、①Iが丁土地所有権を有し、②①がFに対抗できることが要件となる。

2        ①について

(1) 丁土地は、契約③に基づきHがGから譲り受け、契約④に基づきIがHから買い受けた。

(2) その後HはGに契約③をなかったことにすると錯誤取消(95条1項2号)しているが認められるか。

ア 「法律行為の基礎にした事情」は、表意者が表示した真実に反する事情で、相手方が了知し法律行為の基礎とされた事情をいうと解する。

 本件では、Gは自分ではなくHに課税されるという真実に反する事情を誤認してHを気遣う発言をしており、Hは「私に課税される税金は何とかするから大丈夫」と応じていることからこれを了知しており、法律行為の基礎とされていたといえる。

イ かかる事情は「法律行為の基礎とされていることが表示されていたといえる(同

項)。また、Gに重大な過失が認められるとしても、Hも共通錯誤に陥っており、同3項の適用もない。

(1項柱書の検討を忘れるという痛恨のミス・・・この先さらにミスの連鎖が続きます。)

ウ したがって、Gの錯誤取消は有効である。

(3)      ここで、Fは「第三者(95条4項)」に該当するのでGは取消を対抗できないと反論する。(何でIじゃなくてFで論じたんだろう。脳みそバグりすぎで怖いです)

ア 同項の趣旨は、取消の遡及効から第三者を保護する趣旨なので、「第三者」とは取消前の第三者をいうと解する。

イ そうであるからFは「第三者」には該当しない。この場合には対抗関係となり、177条により登記の先後で優劣が決されると解する。

 なぜなら、取消の遡及効は法的擬制であり、復帰的物権変動が観念できるからである。

ウ 本件ではGを起点としたHF間の二重譲渡類似関係となるところ(IA間ですよね・・・)Hが登記を備えているのでHが確定的に権利を取得し(それが取消されてるのに・・・)、反社的にFは無権利者となる。

(4)      Iは未だ移転登記をうけていない。そこでFは「第三者(177条)」に該当し、Iが登記を得るまで明渡を拒否するという対抗要件の抗弁を主張する。(奇跡的に本筋に戻りました)

ア 177条は登記による公示を信頼した自由競争の範囲内にある第三者の取引の安全を保護する趣旨なので、「第三者」とは、当事者及び包括承継人以外の者で、登記の欠けるのを主張する正当な利益を有する者をいうと解する。

 無権利者は正当な利益を有する者に該当しないので「第三者」に含まれない。

イ Fは無権利者なので「第三者」に該当せず、Fの反論は認められない。

(5)      Iは権利者Hから所有権を取得しているので乙土地所有権者であり(①)、無権利者Fに対抗できる(②)

3        よって、請求4は認められる。

以上


(5.6ページ程でした。行政法と違い民法の記憶はしっかりしているので、色々変なこと書いていたことが蘇り、もう一度やり直しさせてほしくなりました。時間巻き戻しできるチート能力欲しいですね。)

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