敵基地攻撃能力

安保3文書で明らかになった敵基地攻撃能力について考える。敵基地攻撃能力は日本が堅持する(していると期待する)専守防衛原則からの明らかな逸脱である。敵基地攻撃の前提を政府は、①外部からの武力攻撃が間近に迫っている、②他に取り得る手段がない、③必要最小限の実力行使、としている。まず間近に迫っていることをどのように正確に察知するのか。敵の攻撃能力はある程度察知出来るかもしれないが、敵の「意図」を正確に察知することは極めて困難だ。従って敵基地攻撃は日本による先制攻撃(戦争開始)と見做される可能性が非常に高い。次に敵基地の意味だがミサイル基地だけを意味しているのか、陸海空軍基地や指令本部などを含むのか明確ではない。必要最低限の攻撃の意味も曖昧だ。仮に敵の攻撃意図を正確に察知し最も脅威となる敵ミサイル基地を攻撃し破壊したとしても、仮想敵国はそれで沈黙するとはとても思えない。日本に向けて核攻撃が行われる可能性すらある。必要最小限などという言葉に実質的な意味はない。日本が反撃能力を持てば敵はそれ以上の反撃能力を保持しようとするだろう。いたちごっこである。日本にそんな経済的余裕はない。日本が取るべきは、敵基地攻撃能力の保有を断念し、専守防衛に徹することだ。資源のない人口稠密な日本に攻めてくる国はない。そもそもそんな余裕のある国はどこにもないのだ。

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