賢治の知のぬくもり

東日本大震災後、宮沢賢治の作品の力強さ、言葉の力にあらためて注目が集まりました。賢治というと「銀河鉄道の夜」や「よだかの星」など生と死のテーマを扱ったものも多く、童話といえども大人をも魅了する作家ですね。数ある名作の中で私は「虔十公園林」(けんじゅうこうえんりん)という短編が好きです。かつて、高校生と授業で何回となく読みました。(30分もあれば読了できる短編です)

 本文の中で「本当のさいはひ」(本当の幸い)という言葉が出てきます。難しいですね。幸いを求めているのに結果として苦しみ多い人生を歩んでいる。なぜだろう。私たちはいろいろな価値観の中で生きています。時にはゆがんだ欲望に囚われて自分だけでなく周りも不幸にしてしまうこともあります。「本当のさいはひ」とはなにか、読後の余韻は力強く、とても勇気を与えてくれます。

 作品はインターネット上の、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で読むことができます。グスコーブドリの伝記とあわせて、ぜひ読んでみてください。そして、周りの人と感想を伝え合ってみてください。

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