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羽田空港での事故について、仮説として筆者の考えを書いてみた

あらかじめ、お断りしておくが
今回の記事内容は
あくまで筆者による仮説であり
憶測の域をでるものではないし
誰かを吊し上げて悪者にすることを
意図するものではない。

昨日、羽田空港で
いたましい事故が起こった。


新千歳空港から着陸に入った
日本航空の機体が
滑走路上にいた
海上保安庁の飛行機と衝突し
海保機が大破、炎上

JAL機に搭乗していた
乗員乗客らは
ケガ人こそ出たものの
全員脱出して助かったが

あわや300名以上の乗員乗客が
犠牲になりかねない状態であったし

海保機に乗っていた5名が
お亡くなりになるという
大惨事となった。

「なぜ、こんなことが?」

それについては
これから解明されていくだろうけども
当該機と管制塔との
やり取りに何らかの重大なミスがあった

ヒューマンエラーから
起きた事故で
間違いないだろう。

この事故について考えたとき
実は筆者はたまたま
似たような事例について
目にしたことがあった。

その事例は
死亡事故にこそならなかったものの
重大インシデント(事故になる一歩手前)
として、国土交通省により
事故調査委員会がたちあげられ
報告書も残されている。

今回の事故を考えたときの一助
あるいは参考程度に
この事例を紹介させていただく。

要はこの動画↓

の説明が非常によく出来ているので
この動画を御覧いただくだけで
今回の私の記事の意図は
皆さんに、おわかりいただける
と思うのだが

一応、文字にも起こしておいてみよう。

これは2015年6月
沖縄 那覇空港で実際に起きた
重大インシデントで
あわや多重衝突事故に
なりかねない事故であった。  

那覇空港は
民間機と自衛隊との共用空港なのだが

滑走路上に侵入しようと
待機していた
全日空便と自衛隊のヘリが

管制官とのやり取りで
2機それぞれが同時に
「離陸が許可」された、と誤認し
2機それぞれが滑走路に入った。

全日空機が離陸にむけて加速し
V1(離陸速度)に達しようか、という時に
全日空機の前方に
自衛隊のヘリコプターがホバリングで
滑走路内に侵入してきたのを目視し

全日空機は緊急的に離陸を中止し
自衛隊のヘリコプターとの
衝突を回避した。

それだけではない。

過密空港でもあった那覇空港では
後続の日本航空機が
着陸態勢に入っていた。

管制官はあわてて
JAL機にゴーアラウンド
(着陸の中止)を指示したが
間に合わず、JAL機は着陸した。

滑走路上で停止している
ANA機の570メートル手前で
JAL機は着陸、停止したが

あわや、
ANA機、JAL機、自衛隊機が
多重衝突する
大惨事になりかねない
重大インシデントであった。

これについて事故調査委員会は
管制官と当該機との
通信システムに原因があった
と、結論づけた。

那覇空港の
通信システムでは
AGC(automatic gain control)
というシステムを採用している。

これは機体の個体差による
通信信号の強弱の差があっても
管制官には同じ音量で聴こえるよう
自動的に調整してくれるシステムなのだが

このシステムには一つ
重大な問題点があった。

通信信号の強弱の差が大きい場合
弱い方の通信がかき消され
管制官には全く聴こえなくなる
という、おそれがあった。
 
つまりこういうことだ。

自衛隊のヘリコプター機と
ANAの大型機とでは
通信の出力に大きな差が
まずある。

この2機が同時期に空港内の
それぞれ別の場所から
同一滑走路に進入しようと
管制官とやり取りしていた場合

通信出力の弱い
自衛隊機側が
「了解しました」
と管制官側に伝えたとしても

通信出力の強い
ANA機側が同時に
「離陸オッケーですよね?」
と管制官側に伝えた場合

前者の通信が、かき消されて
管制官側には
全く伝わらなくなってしまう。

自衛隊機はその後
管制官側から何の指示もないので
了承されたと思い込み
滑走路内への進入を継続するし

ANA機も管制官の指示に従い
滑走路内へ進入し
離陸態勢をとる。

この状態が離陸直前
ANA機が自衛隊機を目視し
緊急停止するまで
続いていたというのだ。

筆者は今回の羽田空港の事故も
同様の事が起きていたのではないか?
と考えている。

那覇空港での
重大インシデントについて
国土交通省の事故調査委員会は報告書で

・管制通信の限界であり
・今後も発生する可能性が考えられる

と結論づけた。

つまり
・離発着数の激しい空港で
・同一の滑走路の使用について
・同時に複数の機体と交信する状態にあり
・かつ、これらの機体間の通信出力に
著しい強弱差、個体差がある

この条件が整った場合

那覇空港の重大インシデントと
同様の事例は再び起こりうる、と
事故調査委員会は結論づけた。

今回の羽田での事故は
まさにこの条件と
完璧に符号する。

つまり
・年末年始で離発着が非常に激しい羽田で

・同一の滑走路の離発着について

・離陸を目指す海保機と
着陸を目指すJAL機とで
管制側は同時に交信する状態にあり

・乗員乗客が300名を超えるJALの大型機と
乗員乗客が6名の海保側の小型機とでは
通信出力の大きさにおいて
著しい個体差があった

わけである。

また、前日に石川県で起きた大地震に対し
海保側が迅速な対応をみせた
という所までは良かったのだが
それゆえに管制からしたら
イレギュラーなことでもあった。

年末年始という
羽田でも一番離発着の激しい時期
だったことも災いした。

真相はこれから解明されるだろうけども
いくら忙しいからといっても
数十秒後に大型機が着陸する滑走路内に
離陸をめざす機体が進入する、というのは
本来、あり得ない話である。

今回の記事は単なる
筆者の仮説、推測にすぎないのだが
それでもこれを書いたのは

・JALが悪い!
・海保が悪い!
・管制が悪い!

とか感情論に基づいた
犯人さがしが横行したり
魔女狩りみたいなことが横行したり
して欲しくないからである。

真相が解明されるまで
今は辛抱強く調査を見守り

亡くなった方の
御冥福を
静かに祈るべきてはないか?

と私は考えるのだが
皆さんは
どう、お考えか?

私は静かにこの悲しみを
受けとめようと思う。



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