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食品メーカーの研究職が語る最近の食品事情①

高い、、、

今、出張で新幹線の中にいる。新大阪発、スカスカのひかりだが、別々で予約したはずの常務取締役が何故かたまたま後ろの席にいる。
なんでやねん、座席倒されへんやんか。

僕はとある関西の食品メーカーで研究職をしている。僕の本名を知っている方であれば、ネットで検索してみたらふつーに僕の顔と卒業大学ごと会社名が出てくる(笑)
Twitterで弊社の食品を食べてくれている相互フォローの人を見つけると思わずリプを送ってしまいそうになる。意外と皆さん弊社のことは知らずとも、気付かぬうちに口に入れてくれているようだ。

食品メーカーで研究職をしていると言いながら、実はあんまりご飯に興味がない(笑)食事をする空間とか空気とか一緒に食べる人とか、一緒に楽しむお酒の方が興味がある。
食品メーカーにいると遍く食品がどうしても工業製品に見えてしまう。悪気はないのだがこれは職業病だから仕方がない。
一人の食事は結構作業になってしまいがちである。必要な栄養分が取れて、手や口の周りがあまり汚れなければ割となんでもいい。クレープとかは味は好きだが手と口が汚れるので食べるのは少し苦手だ。ナイフフォークで食べたいとか思ってしまう(笑)ガレットを食べればいいのか。

強いていえば高価でもいいから美味しいものを少量楽しみたいタイプだ。外食への支出は結構惜しまない。旅行先とか際限なくはちゃめちゃに使ってしまう。後輩とご飯とか行っちゃうとすぐにたくさん奢ってしまう。皆さんは食事への支出をどのように考えているだろうか。

さて、今に始まったことではないが、特にここ数年食品の値上がりがすさまじい。
うまい棒の値上げは衝撃を持って伝えられた。2022年4月出荷分から10円→12円になっている。値上げは、42年の歴史で初めてとのこと。

( https://www.ssnp.co.jp/news/snack/2022/01/2022-0127-0952-15.html )

外食に話を移すと、現在全てのネタを100円で提供している寿司チェーン店など存在しないのではないだろうか。昔は回転寿司のことを「100円寿司」とか呼んでいた気もするが。回転寿司チェーンスシローは、2022年10月より値上げをすると発表した。税込110円→120円の値上げ、スシローが“一番安い皿”を税抜100円から値上げするのは、1984年の創業以来、38年間の歴史で初とのことだ。

( https://www.ssnp.co.jp/news/foodservice/2022/05/2022-0509-1407-15.html )

値上げは避けられないことなのか。

食品を作るのに必要な費用

食品に関する企業が100あるとすれば多分99くらいは値上げをしている。もっと多いかも。
残りの1はもの凄く画期的な企業努力をされているか社長が利益を削って泣いているか社員に鞭が打たれているか、それとも物流とも包材とも環境とも全く無縁な一次産業系(そんか企業あるのか⁇)だと思う。
食品の価格は何によって決まるか⁇と問われると「その食材の価格によって決まる」と答えたくなる。しかしその回答だと、もちろん正解だが花丸はあげられない。

皆さんの目の前に並んでいる食品には原材料費以外に人件費や包材費、製造設備関係のコスト、物流費などがかかっている。そこにメーカーや小売をしている会社が、自らを存続させるために利益を乗せている。

人件費は製造ラインに5人従事していたら5人分の人件費がかかっているわけではない。課長や工場長みたいな管理職もいるし、機械のメンテナンスをしてくれる人もいれば、品質の管理をしている人もいる。フォークリフトで倉庫に入れる作業をしてくれる人もいれば、原料を発注したり、その出納が合っているか管理してくれる人もいるだろう。もちろん経理をしてくれる人や総務をしてくれる人、営業をしている人や僕みたいに商品開発をしている人もいる。
「昔と比べて給料が全然上がってない‼︎」という論調を見ることがあるが、個人的には昔の方が労働時間が長く、労働環境が悪かったんじゃないかな⁇と思っている。弊社も例外ではなかったようだ。ただその分「タバコ休憩」とかは昔と比べたら減っただろうし、大人数で集まって会議みたいな仕事してるかしてないかよくわかんない時間は減ったと思うので時間あたりの労働の密度は上がっていると思う。つまり時間あたりの給料は昔と比べて上がってる⁇(専門じゃないので間違ってたらすみません)
上記のことから昔と比べて「人件費があがってしまった‼︎」という会社と「人件費の向上を上回る生産性を手に入れた‼︎」という会社があると想像するので一概に人件費が上がっているとは言えないが、どうしても前者の方が多いのではないかと思う。

包材とは、食品で言うと包装しているカップや箱などのこと。包材費も原材料費に負けず劣らず最近値上がりしている。今あなたの目の前にある商品のパッケージだけではなく、それを何個も包んでいる外側の業務用の段ボール、それを止める糊やテープ類、賞味期限や製造日を刻印するインクももちろんタダではない。

製造設備関係のコストとは、シンプルに言うと設備を導入するときにかかった費用のこと。工場レベルだと何千万、何億、高ければ何十億という機械がたくさんあるが、それをその後何年もかけて、何千万、何億という商品を売ることでペイしていかないといけない。
他にはユーティリティといって、工場を動かす光熱費や水などももちろんタダではない。ご家庭でお支払いを担当されている方ならイメージできると思うが、こちらも昨今値段が上がっている。

物流費とは、物を運ぶのにかかる費用のこと。ガソリンも最近けっこう高い。高速代ももちろんかかるし、トラックの運転手さんのお給料も運送会社の利益も必要だ。

肝心の原材料費だが、ご想像の通りこちらももちろん上がっている。詳しくは次回以降の記事で。
こちらにも、原材料を作ってくれている人のお給料や会社の利益、先程説明したユーティリティ費、物流費、包材費が乗っているだろうから上記の説明も全て当てはまってしまう。

次回の記事について

次回は「食品加工にかかるコストなど」についてもう少し掘り下げた記事を書こうと思う。
加工って聞くと「天然よりなんかイメージ悪い」と思う方もいるかもしれないが、食品加工技術は現代の食事情には欠かせない技術だ。

それではまた次回。

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