安芸高田市石丸市長を応援する人たち・ポピュリズムの時代(3)石丸市長が成し遂げた仕事はあるのか・補足

 前号で、石丸市政3年半で、ほとんど見るべき仕事をしていないと書いた。それに対して、石丸市長は「世界で一番住みたいと思えるまち」づくりをやっているとのコメントがあった。
 そうなのか。さっそく、議会議事録を調べ、総合計画などの計画を探してみた。しかし、私には、その施策・事業や進捗状況等を見つけることができなかった。本当にこの政策をやっているのか。どこかに書いてあるのだろうか
■世界で一番住みたいと思えるまち

 たしかに市のHPには、「「政治再建」「都市開発」「産業創出」の3つを政策の柱とし、市民の皆さまの「これから」を大切に、「世界で一番住みたいまち」を目指していきます」(市長室から)と書かれている。
 では、この政策を実現する施策、事務事業は何かである(いうまでもなく政策は施策、事務事業の三層構造になっている)。
■目標・スケジュール・進捗管理
 どの仕事でも、目標を立てて、それを具体化する事務事業・方法を考え、実施スケジュールを定め、その進捗管理を行う。これは仕事の基本(イロハ)である。読者の人たちも自分の仕事では、みな、これをやっているだろう。
■どんな施策や事業で世界で一番住みたいと思えるまちをつくるのか
 世界で一番住みたいと思えるまちになるには、その政策を後押しする施策や事業の実施が必要になる。どんな施策や事業で世界で一番住みたいと思えるまちをつくろうとしているのか。
■世界で一番住みたいと思えるまちを具体化する施策や事業はどこに書いてあるのだろう
 「政治再建」では、これを実現するための施策・事業は何か。議会改革のほか、市民の投票率を上げる仕組み、市民参加制度の制定などいくつも思い当たる。
 ひとつだけでは容易に実現しないので、重層的な取り組みになるだろうが、それらはどんな施策や事業なのだろう。
 同じように「都市開発」では何か。どんな施策・事業なのか。
「産業創出」では何をやるのか。どんな施策・事業なのか。
 それぞれ、どんな施策や事業によって、これを実現しようと考えているのか。それらがどこに書かれているのだろう。
■その実施スケジュールは
 施策や事業は一気にはできない。年次計画が必要になる。
 政治再建、都市開発、産業創出の施策や事業のそれぞれについて、1年目には何をやり、2年目は何をやるのか。そして完成は何年目に設定しているのか。
 それらの実施スケジュールはどうなっているのだろう。
■その進捗状況は
 スケジュールを立てたら、今度はその進捗管理が必要になる。
 それぞれの1年目の達成度は。2年目の達成度は。もう3年目が終わっているので、ある程度の達成度になっていないといけない。
 それそれの施策・事業は、どこまで進捗しているのだろうか。このうち完成した施策・事業はあるのか。それは何なのか。
■これらを市民に分かりやすく示すこと
 この施策・事業、スケジュール、進捗状況を市民に分かりやすく示すことが必要である。普通はこれを一覧表にして市民に示す。その一覧表はどこにあるのだろう。
■たとえば政治再建の計画はどこにあるのだろう
 石丸市長が最も力を入れているのが、政治再建だろう。石丸市長誕生の原動力だし、みんなが一番関心のあるところだろう。でも、その推進計画はどこにあるのだろう。
 1年目には何をやり、2年目は何をやるのか。そして任期の4年間でどこが到達点なのか。そのスケジュールは。スケジュールに基づく進捗度は。みんなが知りたいし、みんなが共有してこそ、政治再建は進む。
 探してみても、見つからない。どこにあるのだろう。 
■前市長の頸木から逃れた独自計画はどこにあるのだろう
 目標(政策)を具体化する施策・事業、実施スケジュール、その進捗管理を行うことは、仕事の基本であるが、前市長の頸木から逃れ、石丸市長の思いを具体化する推進計画は、私は探してみても見つからなかった。
 何とかあるのは、前の市長がつくった総合計画を推進する後期計画に、名前だけ「世界で一番住みたいと思えるまち」とついたものである。
 総合計画は2年以上かけてつくるので、選挙のタイミングから見て、すでにできあがりつつあるものに、困った事務局は無理やりタイトルを付け、関連のものを寄せ集めたのだろう。だから内容は前の市長がつくった前期計画の延長線で、石丸市政の独自性は全く見えない(前の市長のつくった総合計画の焼き直しなので、一丁目一番地の政治再建などはない。思いがあってもこの時期では直しようがなかったのだろう)。
 ならば、前市長の頸木から逃れ、石丸市長の思いを具体化する独自計画をつくる必要があるが、それはどこにあるのだろう。本当につくってあるのだろうか。
■計画づくりは、議会の議決事項ではない
 なお、世界で一番住みたいと思えるまちの計画づくりは、行政が、自分でできる。地方自治法96条に規定する議会の議決事項にはあたらない。議会の同意は不要なので、行政だけでつくることができる。
■この項のまとめ
 
結局、冒頭に述べた、「ほとんど見るべき仕事をしていない」のではないか私の感想を残念ながら、覆すことはできなかった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?