R5年度航空大学校受験記録(2次試験編)

今回は、航空大学校の2次試験の概要と、僕が2次試験を突破した際の勉強方法について話していこうと思います。

追記:この記事はR5年度の受験記録であり、情報が古くなっている可能性があります。あくまで過去の記録としてご覧ください。参考にするかどうかは自己責任でお願いします。

この記事は2次試験編です。それ以外の記事は以下のリンクから飛んでください。

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2次試験前の状態

まず、受験までの期間が短すぎるという理由で、僕は事前に第一種航空身体検査を受験しませんでした。もし身体に不安がある方は、こういった事前検査を行なって不安点の改善をすることをおすすめします。ちなみに、永田町つばさクリニックで検査をしてもらうと、約5万円ほどかかるようです。

受験にさしあたって、心配な点が2つありました。

・視力が悪いこと
・花粉症であること

視力

僕は小さい頃から大の読書好き・マンガ好きでした。しかし、寝る前に暗いところで本を読んでいたことが災いしてか、小6の時に視力が悪くなり、そこから今までメガネをつけて生活しています。第一種航空身体検査には当然のように視力の基準、さらにはジオプトリーの基準も入ってくるため、これで合格できるのかと不安になっていました。

花粉症

これも小学校高学年ごろから発症しました。スギ・ヒノキ花粉が対象で、目のかゆみや、鼻詰まり・くしゃみといった典型的なアレルギー性鼻炎持ちです。

2次試験の内容

以下のような項目について、検査が行われます。

・内科:血圧、尿検査、血液検査、レントゲン、心電図
・眼科:眼圧、近見視力、チトマスステレオテスト、深視力、視野、斜位
・耳鼻科:聴力検査、平衡機能(歩行・足踏み・両足直立・マンテスト)、遮眼書字
・精神科:問診、クレペリン検査、ロールシャッハ、MMPI
・その他:身長、体重

・脳波(2次試験B)

(参考までに、第一種航空身体検査の基準についてのリンクを貼っておきます。)

2次試験の対策

ここでは、2次試験の内容のうち、特に僕が対策したものについて書いていきます。

眼科

・深視力検査
初見ではできない検査の1つです。検査の概要は以下のYouTubeを見てください。

対策としては、「とにかく慣れる」ことを意識しました。検査装置は眼科や自動車教習所においてあるので、近くの教習所に行って3回ほど練習を重ねました。また、後述する眼科でも練習をしました。

装置の違いをあげるとすれば、教習所の装置は立って検査するものでしたが、眼科の装置は座って検査するものでした。実際の試験でも座って検査する装置が使用されていたので、練習するときはそちらの方がいいかもしれません。

・視野
試験は専用の機械を使って行われます。機械に頭をセットすると、視野の外側から内側に向かって光の点が見えてきます。見えたらできるだけすぐに備え付けのボタンを押すという内容です。

正直、自分で対策できることはほぼありません。なので、機械を持っている眼科に行って慣れるのがよいと考え、実際に吉祥寺にある眼科で検査してもらいました。検査機械はゴールドマン式とハンフリー式があり、航大で用いられるのはゴールドマン式なので、予約の時は注意が必要です。

ちなみに、この眼科は前述した深視力検査をやってもらった病院です。2次試験の眼科科目は他に近見視力・チトマスステレオテスト、斜位がありますが、それらも一通り行ってくれました。診断書発行代を含めて3,500円ほどで受診できたので、検査に慣れておくという意味ではおすすめです。

血液検査

普通の検査と同じく採血が行われます。座って行いますが、お願いすればベッドに横になって行うこともできます。採血前に朝食を食べた時間を聞かれるので覚えておきましょう。

余談ですが、僕は事前に血液検査を行い、アレルギーの値を把握していました。

パイ予備に入るとまず最初にオリエンテーションがありますが、その際に「非特異的IGE、スギ、ダニ、ハウスダスト」の値を測るように言われます。なので近くの病院で測ってもらったところ、IGEは79、スギはクラス4、ダニ、ハウスダストはクラス0(陰性)でした。かなりホッとしたのを覚えています。

血圧

・対策
かなり心配していた科目の1つでした。僕は元々高血圧気味で、試験前には「142/70」という値が出ていました。しかしS判定を目指すのであれば、特に上(収縮期血圧)の値を下げなければいけません。

第一種航空身体検査の基準では、「160/95以下」であれば適合となります。しかし、S判定基準はより下にあるはずです(一般的には、140/90以上だと高血圧とされる)。そのため、昨年航大に合格した先輩にお話を伺うなどして、収縮期血圧の値を「130」にすることを目標としました。

具体的な対策として、以下のことを実行しました。

・塩分を少なめにする
→納豆やめかぶのタレを半分残す。野菜を普段の2倍食べる。ドレッシングは最小限にする。
・ナッツ類を食べる
・禁酒
・水を飲む(1日2リットル)
・胡麻麦茶を飲む
・血圧を下げる運動をする(1km泳ぐ)
*血圧・尿検査が異常値を示す可能性があるため、試験の3日前から激しい運動は控えましょう。

僕が調べたところ、トクホの商品で血圧低下をうたっているものはこの胡麻麦茶しかありませんでした。なので、Amazonで箱買いし、1日1本を目安に飲む生活を続けました。

また、ネットで検索したところ、「ためしてガッテン!」のサイトで血圧を下げる方法が記載されていたので、それを1ヶ月ほど続けました。同じ方法を紹介しているサイトを以下に貼っておきます。

これらの対策が功を奏し、なんとか試験前日までには血圧を「135/70」まで落とすことができました。

・再検査
試験当日、僕はかなり緊張していました。診察室に入り、先生に腕を出して測ってもらうと、先生の顔がみるみるうちに曇り、もう1度測定されました。それでも先生は首を傾げ、さらにもう1度測定され…

そうしてようやく検査が終わったとき、問診票に先生が「150」と書き込んだのが見えた気がしました。あれ、高すぎない…?

そのまま試験が終わり、家に帰っても頭の中は血圧のことでいっぱいでした。そして再検査通知が来ることを信じ、対策を続けました。

そして迎えた発表の日、血圧項目で再検査対象となりました。

航大の再検査は、自分で見つけた医療機関に検査をしてもらい、診断書を期限日までに送付する形式です。そのため、診断書の提出締切日までに、とにかく多くの医療機関で検査をしてもらい、一番よかった値を提出しようと決めました。

翌日、家から近い内科にさっそく行き、測定してもらったところ、なんと一発目で血圧が「130/70」と出ました。ホッとしました。

その後、診断書の送付を完了させ、無事に2次試験を突破することができました。

平衡機能

・歩行
「目をつぶって6mまっすぐ歩く」というものです。

対策としては、とにかく練習を重ねました。家の廊下に6mの長さをとり、養生テープを貼ってその上を何度も往復しました。

コツは、少し勢いをつけて歩くことです。また、自分は左に曲がってしまう傾向があったので、事前に練習を重ねて体の傾向を知っておくと、本番で慌てずにすむと思います。

・足踏み
床に円が書かれ、その中心から放射状に角度が書かれた部屋で行われます。内容としては、「目をつぶってその場で50回足踏みをする」というものです。「膝をしっかりあげること」を特に注意されます。

これも、対策としては練習が一番です。部屋にテープで立ち位置を決め、足踏みを何度もしました。理想は50回終わった時に、位置・角度ともに最初のポジションから動いていないことです。

コツとしては、両足をしっかり閉じて足踏みすること、目をしっかり閉じることを意識しました。本番で薄目を開けながらやっていた受験生もいた、ということも聞きましたが、不合格になったら元も子もないため、普段の練習からしっかり目を閉じて位置をキープできるよう練習した方がよいと思います。

・両足直立検査
「目を開けた状態・閉じた状態でそれぞれ30秒直立をキープする」という試験です。特に難しいものではないですが、突然やると面食らって失敗するかもしれないので、事前に何度か試しておいた方がいいと思います。

・マンテスト
慣れていないと少し難しい科目です。内容としては、「片方の足のかかとをもう片方の足のつま先につけ、目を開けた状態・閉じた状態で各30秒直立をキープする」というものです。


こんな感じで足をつけて立ちます。右足・左足どちらが前でも大丈夫です。

コツとしては、次の2つのことを意識しました。

・足のかかとに重心をおく
・他のことを考える

実際にやってみて、僕自身の感想としては前につんのめる、もしくは横に倒れてしまうことが多い印象でした。そのため、かかとに体重を乗せることで安定して直立することができました。

また、主に目を閉じている時、直立することにだけ意識を集中させると、逆にバランスを崩してしまいそうになることがありました。そのため、試験本番は僕の好きなサッカーチームのチャントを頭の中で歌いながら立つことで、適度に意識が散って姿勢をキープできました。

・遮眼書字
一番練習の成果が出る科目といっても過言ではないかもしれません。

縦長の長方形が4つ書かれた紙に、それぞれ「アイウエオ」とカタカナで書きます。その際、順番に「目を開けた状態」「目を閉じた状態」「目を閉じて顔を右に傾けた状態」「目を閉じて顔を左に傾けた状態」で書いていきます。文字列の傾きが一定の角度を超えると不適合になるようです。

(写真)

また、鉛筆を使って書くのですが、持ち方も普通とは異なるので注意です。鉛筆の上半分を持ち、ヒジを机につけずに書いていきます。

(写真)

コツとしては、とにかく自分のクセをつかむことです。僕の場合、左利きだからなのかわかりませんが、顔を傾けた時に文字が左曲がりになってしまう傾向にありました。そのため、少し右曲がりに書くぐらいのイメージで書くと、まっすぐに書けるようになりました。

回数ですが、僕は毎日最低10回は練習するようにしていました。

僕は本番では書き直しがなく、1回で成功することができましたが、他の人に聞いたところ、傾きがひどいと3回まで書き直しをさせられるようです(鉛筆の色を黒→赤→青と変えて書くらしい)。なので、絶対に1回で成功させるように練習し、実際に成功したので安心したのを覚えています。

尿検査

腎臓が正しく働いているかを測定する検査です。

対策としては「とにかく水を飲む」ことを意識しました。血圧の項でも書きましたが、1日2リットルを飲むことを意識しました。2次試験に合格した友達に話を聞くと、2週間前から1日4リットル飲んでいた猛者もいるらしいです。すごい…

僕はこれをAmazonで箱買いして、1日1本ずつ飲んでいました。元々たくさん水を飲むという習慣がなかったので、最初の3日間ぐらいはとても大変でしたが、1週間もすると慣れました。

ただ、水をたくさん飲むので必然的に頻尿になります。僕はちょうど大学の夏休み期間だったので、ほぼ家にいる生活を送っていたためなんとか耐えることができました。

また、尿蛋白の値も見られることになります。なので、主に試験の3日前ぐらいからそういう行為はやめておきましょう(察してください)。

精神科問診

若い男の先生と1対1で問答をします。堅い雰囲気でしたが、圧迫面接のような感じではなかったです。質問としては以下のようなことを聞かれました。

・両親の年齢
・趣味
・自分の長所・短所
・パイロットに必要な素質

特に両親の年齢などは、試験の最初に書く問診カードにも書く欄があります。事前に聞いておくほうがいいと思います。また、できるだけ明るく、ハキハキと答えることを意識するといいと思います。

クレペリン検査

制限時間内に計算をできるだけ多くする検査です。検査内容についてはこちらを参照してください。

また、公式サイトには企業用の受験ページしか表示されていませんが、こちらの書籍にはクレペリン検査の用紙が1枚ついてきます。僕も購入しましたが、本の内容についてはともかく、実際の用紙で練習できるということはとてもいい経験になりました。

計算は前半と後半に分かれており、休憩を挟みます。コツとしては、

・前半の1行目の計算はそんなに頑張りすぎない
・後半の1行目の計算は一番頑張る

ことです。これは、検査によって得られる曲線が前半はV字型、後半は右肩下がりになると正常とみなされるからです。ただし、わざとその形を作り出そうとして計算の答えを消しゴムで消すなどの行為は厳禁です。あくまで普通にこなせば大丈夫な試験なので、自信をもって望むといいと思います。

ロールシャッハ

一見すると何にも見えない絵を見せられ、選択肢の中から何に見えるかを選ぶテストです。

以下に練習できるサイトのリンクを貼っておきます。

コツは2つあります。

・ネガティブなイメージのものは選ばない(血・黒い影など)
・雲や煙は選ばない

総じて、なるべくポジティブなものを選ぶといいと思います。

MMPI

質問に対して「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3択で答えるテストです。ただし、注意事項でも言われますが、「どちらでもない」はできるだけ選ばないようにします。

以下に練習できるサイトのリンクを貼っておきます。

コツとしては、ロールシャッハと同じくポジティブな回答を心がけることです。

脳波

ほぼ対策できることはありません。前日の夜にはしっかり寝ておきましょう。平常心で臨むことが一番です。

参考にしたもの

パイ予備の対策動画

1次試験合格後、マイページ上に2次試験対策動画が配信され、それを元に自分で対策を進める形でした(例年は対面で実施も、コロナのためオンデマンド配信)。

内容はとても丁寧で分かりやすいものでした。1次試験と異なり、自分で対策できる内容がほとんどだったため、特に不自由なく試験まで過ごすことができました。

note記事

1次試験に引き続き、こちらのnoteを参考にしました。

2次試験の概要から対策、さらには前泊する場合のホテルの取り方なども書かれており、3,000円の価値があるnoteでした。
(あくまで僕個人の意見なので、参考程度に見てください)

追記:2023/02/12現在、100円に値下げされています。

最後に

身体検査は先天的な要素と、自分で改善できる要素が入り混じった試験です。先天的なものはどうしようもない部分がありますが、僕が紹介した項目はどれも、練習すれば上達するものです。

ぜひ、練習できる科目は練習を万全に積んで、2次試験を突破してほしいと思います。

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