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神田川の秘密二十三の3 延々と続く河川工事 治水事業は土建業を潤す

二十三の3 延々と続く工事、治水事業は土建業を潤している 

 寺の先は下り坂となり、5分も行かないうちに永福橋に行き着いた。橋の上流は工事中で、上流への遊歩道は塞がれている。いや、遊歩道だけでなく、神田川そのものが鉄板で覆われていた。

工事のために塞がれている神田川

「ここの工事は長いですか」
 閉鎖されている囲いの中から出てきた作業員の人に声をかけてみた。
「長いね。まだしばらく続くよ」
「上流はどこまでが工事区間ですか?」
「おおぞら公園の手前までだ。調節池掘ってんだ」
「あゝ、あの地下に作っているところ?」
「それだ」
「コロナの影響ありますか?」
「ないね」
 作業員ではなく、セキュリティの人らしい。
ぶっきらぼうな応答だが、顔は笑っていた。

 永福橋まではこの前来ていたから、この橋とはもう旧知の仲だ。一瞥しただけで次のひまわり橋に向かう。

 右岸の遊歩道脇の壁にイラストタイルが何枚か嵌め込まれていた。雁、おなが、カワセミ、野草などを短く紹介していた。

永福高校の正面の橋は永高橋という。かなりイージーな命名だ。

次の橋が明風橋でその先は蔵下橋。ここで井の頭線の鉄路と交差する。川と遊歩道は線路の下をくぐり抜ける。次の新泉橋は井の頭通りに架かっているがこの道路は水道道路と呼ばれ、橋の下には水道管が見えていた。水が鉄管で神田川を横切っている。

蔵下橋
神田川を渡る京王線とその下に設置されている
上水道鉄管

 神泉橋の右岸のたもとにOISCAの本部ビルが見えた。

神田川の河縁に建つOISCA本部

「こんなところに本部があったのか?」と川旅老人は足を止めた。OISCAとはその昔、ミャンマーで出くわしている。確か三五教という宗教団体の教祖がいて、OISCAの理事長をしていると聞いたことがある。ミャンマーの北部、インレー湖の近所で植林事業をしていたが、ミャンマーの友人は「右翼団体だ」と言っていた。


OISCAの先には張り巡らされた2メートル以上も高さのある白い鉄板が続いていて、
川と遊歩道は完全に遮断されていた。ここも工事中になっている。

栄泉橋、宮前橋は渡れない。白の鉄板壁が頭上を圧迫してくる。途中に東京都建設局の掲示板があって、
『神田川整備事業(その211)のお知らせ』
ー杉並区和泉二丁目地内 工事延長131m 鋼管杭(∮1000)196本
 橋梁工事 宮前橋事業費 11億3173万円(護岸を1m整備するのに約864万円
 かかっています)ー

 読み終わって長々と続く護岸をしげしげと眺めた。
目の錯覚か、そこには幅1メートルに1万円札が864枚張り付いて下流へと続いているのだった。白昼夢だ。

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