獣医学生だけど臨床科目に興味が持てない件


「獣医学部です」というと「そしたら動物のお医者さんになるんですね!」と言われる。それは世間の獣医学部に対する印象は良くも悪くも「動物のお医者さん」であると常々感じる瞬間だ。
僕はこの「印象」があまり好きではない。自分が「動物のお医者さん」になりたくないからだ。
なんなら獣医学部に所属していながら「犬猫を治療して何になる」とさえ思っている。
昔から「人を助けること」は大事だし、自分の人生のテーマであると感じているが、このテーマに獣医臨床が合致しているとは思えない。犬猫を治療しても人を救えるわけではない。確かに犬猫を治療して飼い主の心が救われることは多いと思うが、それは精神的な救いであって人の癌のような身体的な疾病を治療することによって救いをもたらすことはできない。
犬猫を治療する獣医臨床の存在意義は大学でも学ぶし、典型的な意義を答えることはできる。ただ、「人を助けること」には直接的に関与していないと感じることが多い。
「人を助けることができる」臨床医は、確かに人を助ける、救うことができる。ただ、その技術的な限界を痛感することがあるんじゃないかなと思う。ただ、その技術的な限界は「研究」によって拡張されてきている。この「研究」に携わりたいと強く願い、実験動物に造詣が深い獣医学部を選択した。遺伝子疾患マウスを用いたり、免疫不全マウスを使って免疫応答をみたりして、それが人の技術的な限界を拡張できたらいいなと思う。研究室もそれを目指して実験動物関係の研究室に入った。
「なぜその病気になるのか」については興味があるが、「犬猫をどう治療するか」について興味が持てない。犬猫の治療が人間への治療に応用できる可能性はあるのだろうか。犬猫の治療は人医療の「お下がり」である場合が多いと聞いたことがある。
煽りとかではなくて、小動物臨床獣医の人達はどんなモチベーションでやっているのかすごく気になる。どうやってモチベーションを保っているんだろうか。
序盤に書いた「犬猫を治療して何になる」というのは自分の価値観に合っていないということであって、小動物臨床の意義は否定しないし大事な職業だと思っていることは最後に断っておきたい。




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