11/2 『燃えよ剣』を観た

面白かった。

司馬遼太郎原作・岡田准一主演の映画でいったら『関ケ原』を観たことがあったが、それも面白く観たけど戦国時代のこともあんま知らなかったし、饗されたものの半分も食べられたような気がしなかった。しかし今回は幕末舞台で新選組の話だったのでまだ幾分か知識もあり、半分くらいはいただけたんじゃないかと思う。某ソシャゲをやってる影響もでかい。「アレに出てきたキャラクターとそっくりだなぁ。いやむしろこっちを参考にしてあっちの方でのキャラクターを作ったんだろうな」と思えるキャラもいたんだけど、後から調べたら原作には出てこないらしく、びっくり。別の司馬遼太郎原作からの出向だったのだろうか。
また、脇役でいうとウーマンラッシュアワー村本がとてもいい味を出していた。中盤だけなら主役陣とほぼ肩を並べる大活躍ぶり。今まで演技の経験とか聞いたことないが、よくぞまあ見出したなという感じ。村本のことはそんな好きでもなかったけど、悔しいが認めざるを得ない。
そして、なんといっても土方歳三。幕末という時代がとんでもない激動の時代だったことは彼の周りの人びとの栄枯盛衰を見ればわかるが、土方だけはそういったものにまるで流されず囚われず、真っ直ぐにブレることなく己が道を突き進んでいた。そのように描いていたというだけのことなのかもだが、ただ、そうであるにせよ、何故そこまでできたのか、と疑問とも感嘆ともつかぬ思いが湧く。作中でも士道とは何か、という問答があり、土方はそれにピシャリと答え、「新選組」という名前の由来ともなっていた場面だったが、果たしてそれが本当に答えたり得ていたのか、よくわからない。俯瞰してみれば、どこか空虚な論であったようにも思える。ただ、攘夷だったり佐幕だったり、強い思想や信念に拠り所を持つ人ほど時代の激しい流れに翻弄され、土方より先に命を散らして行ってしまったことも確かだ。時代の節目であらゆる価値観が破壊と創造の境界を漂っていたからこそ、ひとえに己の情熱だけで突き進んでいった土方は、最期には誰も彼について来れなくなってしまったし、しかし誰しもの心に鮮烈な印象を遺したのかもしれない。

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