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12/31 『境界線上のホライゾンⅪ〈下〉』を読んだ

面白かった。

イヤーやり遂げた、という感慨が強い。ここ一ヶ月はこの上中下巻をずっと持ち歩いてどうにか年内に読み終えようと頑張っていたので。予定じゃある程度余裕をもって読み納めできるかななんて思ってたのに、結局ギリとなってしまった。
お話は、こちらも最後の大仕事とばかりに運命と一大決戦に赴くが、最初に運命が顔見せしに来た時点でもう早くも論破されかかってるのがちょっと面白かった。言われた運命も意地でも抵抗してやるって感じだし、もうそういう段階ではなかった。とにかく今までの全部をぶつけて、残ったものを答えとする。
そうして始まった”幸運”との戦いだが、これもまあ、勝つか負けるかのスリリングな勝負というより、これまでの再確認という感じ。
いくらなんだって全員が”幸運”相手に全勝するか? という疑問もちょっと湧いたが、ただこれは”幸運”側に立って考えてみると、「運命としての何もかもに恵まれた状態として生み出された上で、そうではない”不運”とされてる自分に相対し、踏み砕いて、その位置を乗っ取りなさい」と言われるのって、本当にそれって”幸運”かなって感じだよね、と思える。他ならぬ自分自身を相手に幸運か不運か競うってもうそれ自体が一つの災難だし、そして無謬にして無辜なる幸運の存在に、そうした存在にしか訪れないであろう災難が降りかかってしまったら、それは、負けるのだろうね。

かくして末世が打ち破られ、先の未来が開かれて物語は終わる。続編が随時刊行中であることは知ってたけど、かような終わりを選ばせない物語ならば、それもむべなるかなということだったのだろう。正直に申せば、彼らの考え方や意向のすべてに同調できるわけではないのだけども、ここまで皆の幸いを志向し、失わせず何もかもを拾って未来へと繋げていって、それを成し遂げてきた様を見るのは、気持ちの良いものだった。その厚みと重みが懐かしくなった頃に、またいずれ出逢いたい。

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