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今、大切なことを伝えたい

今日は2021年1月2日の土曜日。年が明けました。皆さん如何お過ごしでしょうか。モデリスタです。

今年は私にとって今までにない「チャレンジ」の年となりそうです。

今回は私が約30年間モデリストとして仕事をして来て自分自身を振り返り、そして同僚、後輩を見てきて思うことを綴りたいと思います。

それは、プロとして社会に出る前に、若しくはできるだけ早い時期に「何故そうなるのか」「バランスの目安」等の「理屈」に加えて「応用力」の強化に時間を割く事がとても重要であると思います。

現在、学校では一人の先生が複数人の生徒に授業を行われています。しかし、それらを限られた時間で全てを伝えることは難しく、また、生徒も言われなければ、まだまだその様な事に意識が向く事も少なく、パタンメイキングの手順等を覚える事で精一杯な様に思います。そうすると、社会に出てから日々応用力を強いられる試練が待ち受け、数年掛けて現場で習慣的な「経験値」を身に付けるという方法が頼りという事になるのではないでしょうか。

私は学生時代に洋服を作る事が好きだったこともあり、学校の課題以外でも良く服をつくりました。その中で「テーラードジャケット」を好んで作っていたのですが、当然デザインにより衿巾や衿返り止まり位置等も変わります。すると、衿の落ち着きが毎回違うわけです。今考えると当然なんですが、当時は授業で習った一つの製図バランスの数値を全てのデザインに当てはめていましたから、衿の収まり方が上手くいく事は稀で、そのほとんどが「失敗」で終わってるわけです。あなたにもこんな経験はないでしょうか?プロ対象のセミナーでもテーラーカラーのテーマが上がる事が多いことから、やはりその理屈の説明を受ける機会は少ないのでは無いでしょうか。

私はその様な苦い経験から、テーラーカラーの目安に使う各所の寸法を1ミリ単位で変えながら何度も製図をしては組み立てを繰り返しました。すると分かったことは「条件が変われば変わる、変える所」「条件が変わっても変えてはいけない基準」が有るという事でした。

この2つのポイントの説明がされる。または気がついて製図のバリエーションを幾つかこなせば他の部位においても製図の考え方や勘所が少しずつ掴めてくると思います。

ここで一つ問いかけです。あなたは上身頃の前後天巾をどの様に扱われていますか?また説明を受けた事が有りますでしょうか?

按分として①前天巾=後天巾②前天巾>後天巾③前天巾<後天巾の3通り考えられますが何番のバランスになりますか?また何故そうしてますか?

私は条件によりそれぞれ使い分けています。試行錯誤を繰り返してその答えに辿り着くまでにかなりの時間を要しましたが、今では30分もあれば充分説明も出来ますし、理解もして頂けると思います。先程のテーラーカラー同様に理屈がわかってしまえばキャリアに関係なく使いこなすのはそうむずかしいことでは無いと思います。

答えは人の身体を観察する事にあります。私が出した答えはまた別の機会に、、、


あるプロ向けのセミナーに居合わせた時のことです。スタッフの方に「この製図の引き方を伝えるよりも、何故その見解に辿り着いたのかを説明した方が受講者の方にとって解り易く、応用が出来て有益じゃないですか?」と問いかけたのですが、「それは各自が考える事です」と一蹴された事がありましたが、私はそうは思いませんでした。現に、受講生が説明の途中で逆に「迷子」になったり、その後現場で条件が変われば使えなかったとの声を耳にしました。たしかにプロですから「自分で考える力」は必要です。人によっては、そのスタッフがおっしゃる様に「一を知って十を知る」「自分で考える」事が出来る方もいらっしゃいます。また、プロですからそう有るべきかもしれません。

しかし、何の為のセミナーなのかという事考えると「受講者自身のノウハウが使える様にする為」と私は考えています。もったいぶらずにその理由を伝えても自身の技術やノウハウが無くなるわけではありません。ロウソクの火を他の火の点いていないロウソクに点けても基のロウソクの火は消える事も弱まる事もありません。もっとも、受講料を頂戴しているのなら、しっかりと使える様になってお帰りになって頂きたいと思うのですが、、、


人の成長には二種類有ると考えています。一つは「足し算」の次に「掛け算」へとステップアップする垂直成長と、「足し算」の理屈を一つずつ理解していく様な「基礎・基本」になる水平成長とがあると思います。「応用力」は垂直成長であり、「使える基礎・ノウハウ」の水平成長を出来るだけ早い段階で、いかに短時間で身につける事が出来るかによって垂直成長の「応用力」へのステップアップが左右される様に感じています。あらゆる「テクニック」はあくまでも「基礎・基本」の応用で有り、特別なものではないと感じています。


私は「プロ」とは再現性の高さを第一に挙げています。「プロとは」を伝える時に例えるのが「プロスポーツ選手」です。プロスポーツ選手は試合が本番であり、試合に備えて高い再現性を高める為に日々練習をし、シーズンオフには自主トレも行います。私たちパタンナーにとって「試合」は日々の業務です。「試合=日々の業務」と考えると自主トレは当然業務外になります。もちろん日々の業務の中から学ぶ事も多々有りますが「高い再現性」そして、一日でも早く「即戦力」となると業務外でのセミナー参加や自身での研究が必要となるのではと思います。いかに早い段階で、使える基礎・基本を学び応用力を身につけるかが分かれ目となるように思います。比べるのは乱暴ですが、野球の4番バッターでしたら3〜4割ですと上等ですが、パタンナーはそれではつとまりません。

人には得て不得手が有ります。誰しも時間を掛けて基礎・基本を探る必要も無いと思います。考える事が得意な方は「本質」を探る様にパタンメイキングに向き合い、苦手な方はセミナー等から学び、時間を短縮し、その分応用力を身につける時間に回せば良いと思います。セミナーに参加する時は、その手順等に加えて講師がどの様にしてその見解に辿り着いたのかを考え、解らなければそこを質問するとより理解が深まると思います。そうして「応用力」を身につけ、日常業務の精度とスピードと質を上げ、自主トレの時間も短縮し、ワークライフバランスの質が向上すればと思います。

大切な事なので最後にもう一度伝えさせて下さい。

出来るだけ早い時期に基礎を身につけ「応用力」の強化に時間を割いてください。

今日も最後までお読み下さいましてありがとうございました。皆さんが健康で、笑顔で過ごせる素敵な一年になりますように。







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