規格と遊び方の関係(アメリカ編)
さて、今回は規格と遊び方の関係、第2弾ということで、「アメリカ編」をお届けいたします。
前回ご紹介したヨーロッパに比べ、アメリカの住宅事情と聞くと、皆さんは「広大な土地に、大きな邸宅」というイメージを持たれるかと思います。
しかしながら、都市部となると、世界中何処へ行っても似た事情のようで、東京や大阪と変わらないと言う統計が出ております。
その当たりはネット検索をすると沢山出ておりますので、今回は割愛いたします。
それでは、早速ではありますが、私が10年ほど前、MTH社から発売されていたNYC Dreyfuss Hudosn Class J-1と20th Century Limited 1940年編成が余りにも欲しくて、製品ページを眺めていた際に気が付いた「R=438mmを通過」と言う記載が気になり、「アメリカ型はR550が最小通過半径」と言う頭があったので、アメリカ型専門店に何故かを問い合わせた際の回答をご紹介いたします。(一部抜粋しております)
機関車でもR438を通過可能なのは『ごく一部のある一定の機種のみ』です。
以前のTMSの記事で『カトー製日本型は通過した』というのを読んだことがありますがあれは特例でしょう
ヨーロッパとアメリカのメーカーでは製品製作上の考え方、模型業界内での決まり事がそもそも異なります。
ヨーロッパは『フランジを高くしてでも出来るだけ狭い場所でも楽しめるように』でアメリカは『場所の広さはそれほど気にせず(といっても最低ラインはアメリカ定尺ベニヤの4×8フィート=約122×244cm)、それよりも実感を』です。
だからフランジ高さもアメリカ製品は低めです。
アメリカ形客車でも『R457(=18インチ)通過可能』を謳っているメーカーもありますが1970年代から生産されている室内装置も無いチープな出来、それでいて価格は一人前な製品(=具体的にはコンコー社の72フィート及び85フィート流線型客車、旧リバロッシやIHCの客車など)です。
ただし、今となってはそこまで苦労をしても、それより数段出来の良い製品が豊富にあるのでだれもやらないみたいです。
米国の客車は基本的に日本型に例えるならば新幹線クラスの車体長を持っています。
プラス、ウォルサーズ辺りの製品は実車同様、台車部の台枠表現までされていてここに台車が当たるのです。
旧型客車辺りでは付属の分解図に『魚腹台枠の一部をカットして台車部品を一部外せばR550程度まではクリアする(もちろんオリジナルは英文です。わかりやすく書き直しています)』とは記載されておりますが…。
リバロッシ、IHC、コンコーといった前時代にアメリカ形客車を販売していたメーカーは台車マウントでした。
これらはヨーロッパのメーカー(=Rivarossi、ROCOなど)がOEM生産を行っていた時期があるためですが、それが許せないユーザーの多くは車体マウントに加工していました。(カプラーの車体マウントパッドを発売していたメーカーもある位です。)
もしアメリカ形で客車を楽しみたいのであれば72フィート級までにされた方が良いかと思いますが多くは『ショーティー(=短縮型)』であることをご承知ください。
ただしアサーン社ではショーティーの流線型及び旧型客車の生産を中止にした可能性があります。
他社の多くでもショーティー製品が時代に合わなくなっているため生産を中止にするメーカーが大部分です。
(ショーティーでも実車を知っていれば適材適所で使用出来る車種もあるのですが…。)
ここまでは客車についてお伝えしましたが仮に急半径でアメリカ形を楽しまれている方は当店で伺っている範囲では小型〜中型ディーゼル機関車(それも2軸ボギーまで。3軸は不可)+40〜50フィート級貨車(or 34〜50フィート級木造客車)で運転されている方が大部分です。
これならば少なくともR490程度は通過可能なはずです。
以上の回答はHOゲージのメーカーに絞った際のお話しで、アメリカにはHOゲージ以外にもう一つ、絶対的な王者として君臨しているメーカーがあります。
OゲージのToy Trainメーカーであるライオネル社です。
私事で誠に恐縮ですが、ライオネル社のNYC FlyerとSanta Fe F7+ショーティーのStream Linerはいつかは手に入れたいと思っています…笑
さて、ここからはライオネル社からのYoutubeチャンネルの抜粋です。
こちらの2本の動画は、いずれも4×8ftのべニア板を基準にTrain Tableを制作しております。
以上のことから、アメリカにも「基準となる最小限のスペースは4×8ftべニア」という前提の下、「迫力を求めるならO、精密さを求めるならHO、より車両を繋げたければN」と言った「志向に合わせてゲージを選ぶ」と言う潜在意識があるように思えます。
従って、ヨーロッパ、アメリカ両地域では「決まったスペースありきのオーバル線路」によって規格と遊び方が決まっているようです。
駆け足でしたが、今回はこちらで終わりです。
次回は一番様々な意見が飛び交いそうな日本編をお送りできればと思います。
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