DCCについて

今回は先日、私のTwitterの個人アカウントにてフォローさせていただいている方がスペースを開いており、そこで「何故日本型でDCCが広がらないか」について少し話題に上がり、私個人も不思議に思っていたことから、少し考えてみたことを綴ってみようと思います。
また、読者の皆さんは、恐らく「DCCそのもの」についてはご存じかと思いますので、その辺りの話は割愛させていただきます。


単刀直入に、私が考えた結論は

要因その1…主流のゲージがNゲージであること

要因その2…コントローラー等のインフラの普及率が低いこと

の2点が大きな要因かと思います。

それではまず1についてです。

この要因のもっと深いところにあるものを考えてみると、Nゲージの車両の大きさがDCCを積み込むにしては小さすぎること、車両本体の金額に対して、デコーダー等揃えなければいけない費用、搭載した後、できるようになることのバランスが取れていないことがハードルになっているように思えます。

車体の大きさについては、身も蓋もない話にはなってしまうので、あえてここでは触れませんが、車両本体の金額に対しての費用については、他の物で考えてみるとむべなるかなと思います。

そこでスタバのフラペチーノに置き換えてみましょう。

2022年8月現在、完全ノーマルの「コーヒーフラペチーノ(以下ノーマル)」はショートサイズが(税込)460円です。
ここにチョコチップとクリームが追加された「ダークモカチップフラペチーノ(以下モカフラペチーノ)」はショートサイズ(税込)525円です。
(なぜこの2種類かと問われると私が15年前、高校生の時にドはまりしたからです笑)

この2つの差額は65円となり、ダークモカチップフラペチーノの値段はコーヒーフラペチーノの値段のおよそ14%増しとなります。

「クリームとチョコチップをオプションって考えれば、こんなもんだよね」と納得できますよね?

これが仮にノーマルとモカフラペチーノの価格差が340円、およそ75%増しの値段設定だったらどうでしょうか?
「オプション料高くないか…」となりますよね?

これと同じ感覚がNゲージとDCCに必要なものの値段の関係で働いているように思えます。

話を鉄道模型に戻しましょう。

分かりやすい製品を例として挙げると、2022年08月現在、EF65-1000の値段が(税込)7,700円です。
そこに機関車用のデコーダーを付けようとすると、品番:DN163K4aのデコーダーが(税込)5,720円となり、およそ本体代に対して約74%となります。

あくまでDCC化を「オプション」と考えると、高すぎますよね。

ここでスケールをHO/16番で考えてみると、様子が変わってきます。

例としてKATOのEF510で考えてみましょう。

車両本体が(税込)14,080円、制御のみでよければ品番:DZ143を付けるとなると(税込)5,160円となり、およそ36%となります。

このケースでは「オプション」として考えるなら、割と許容範囲じゃないでしょうか。

勿論、更にサウンド付きを求めるとなると、ESUのスピーカー付きのデコーダーを用意しなければいけませんが、DCCサウンド搭載済みHO/16番の電気機関車における世界標準の値段は50,000円から60,000円となりますので、仮にEF510をサウンド付きに改造しても、相場くらいの値段にはなるんではないでしょうか。


続きまして要因その2についての考察です。

インフラ率の普及ですが、これは読んで字のごとく、コントローラーやインストールする時に必要なデバイス、ソフトが、総趣味人口に対して持っているモデラーの人数が少ないように思えます。

この要因の根本にあるのは、純国産の製品がないことと、それに伴い価格が見合っていないこと、ではないでしょうか。

国産品がないことによって一番何が困るかというと「説明書」です。
「説明書なんて、英語さえ読めれば問題はない」という主張は大変ごもっともですし、そんなに重要なものかと言われると、微妙なところではありますが、「母国語で説明書を読めない」ことへのハードルはかなり高いと思います。
また、最近では日本の各モデラーさん達がブログで開設する記事を沢山上げてらっしゃいますが、必ずしも自身が欲している情報に辿り着けることは稀ですし、何より公開主は責任が取れませんから「自己責任でお願いします」となりますよね。

そこで説明書が必要になってくるわけです。

謂わば説明書は「メーカーお墨付きの解説書」なわけで、これが母国語であるのとないのとでは、ハードルの高さが違ってきます。

また、先述した価格面でも国産品の有無が大きく関わってくるのが、製造コストで、製造コストを調整できる国産品にすると価格面で何ができるか、と言う点で一番大きいのは「価格競争ができること」です。

私は記憶がないので、伝聞ではありますが、日本でインターネットが普及していく過程で各通信会社が、モデムを街頭でティッシュ配りの如く配るという荒業をした時期があったそうです。

今から考えるととんでもない話ではありますが、まだ普及していないものを普及させる為には、「価格を抑える」ということがかなり大きなハードルを下げる手助けになってくれることは間違いないでしょう。

また、先述のスタバの例えの通り、あくまでDCCは「オプション」である以上、車両本体の値段に対して30%前後までに抑えるというのが、普及しやすくする目安なのではないかなと感じます。


かなりの駆け足でしたが、DCCが日本型に広がらり辛い要因についての話は以上です。

個人的には、これからHO/16番でイギリス型のような「DCC Ready」の製品だけでもいいから出てくると嬉しいなと思っております。

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