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2番目のガン/食道がん その2〈 ファインプレー 〉

〈 ※上の画像は、5回目の食道癌治療の放射線設計図です 〉

初めての大学病院

私は、紹介していただいた大学病院の消化器内科の先生に診てもらうことになりました。テレビドラマに出てくるようなネクタイをしたカッコいい教授っぽい先生をイメージしていたのですが、その先生は昭和の臭いのする、昔家々を往診して回っていた町医者的な、そんなイメージの先生でした。『この先生は信頼できる』私は、第一印象でそう感じました。まず、前の中核病院で撮った内視鏡カメラの画像を先生と一緒に見ました。先生は「この辺とこの辺とこの辺が、ちょっと怪しいかなぁ。」と言っていましたが、私には全くわかりませんでした。初めて見る私の食道。癌らしきものは何もない、肌色のチューブ管だと思いました。

癌の可視化

そして内視鏡カメラ検査をしました。大学病院でも「ぐっすり眠られるようにしてください!」としっかり先生にも看護師さんにも伝えていました。治療室で準備をしてベッドに横になって先生を待っていると先生が入って来て、「じゃぁ、眠たくなる薬を入れますからね。」と点滴のジョイントから注射器で流した後、先生が部屋の電気を切ったところで私はストンと眠りました。今回の内視鏡カメラ検査は、ヨード染色液を使う検査でした。

食道内の凹凸のない病巣を見つける時、ヨード液を散布すると、染色の濃淡で癌が見つかるのです。正常な粘膜上皮細胞は染まり、癌など異常のある部分は染まらないのです。不染帯の範囲で病変がよりはっきり判るのです。私は約1時間ほど熟睡して目覚めました。今回も、まったく痛くも苦しくもなく楽に内視鏡検査を受けることができました。検査が終わり、先生からの説明がありました。私の食道は一面、赤茶色の錆びた水道管の中の様な画像でした。ただ所々、ヨード液が薄いところがありました。先生は「小さいのがいっぱいありますけど、とりあえず大きな癌が3ヶ所。こことこことこの辺、でも大丈夫ですから。」『小さいのがいっぱい、、、大きいのが3ヶ所も、、、』私は食道癌も大腸と同じようにポリープや腫瘍のようなものを考えていたので、癌が面になって広がっているとは思っていませんでした。〈愁然〉から〈Oh! my god!〉でした。それから先生は時間をかけてわかりやすくしっかりと私に説明してくれました。これがインフォームド・コンセントなんだなと実感しました。

そしてもうひとつ、私は思いました。

消化器内科の医者なら誰でも、私の初めの内視鏡カメラの何も映ってないような画像から、『これはおかしい』と疑うのでしょうが、それでも私を診てくれた中核病院の消化器科の先生は、そこで再検査せず、大学病院での再検査を決めたことが、私への大事なファインプレーだったんだと感謝しました。

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