2番目のガン/食道がん その3〈 信頼 〉
先生の心強い言葉
検査後の先生の説明では、「3つの癌は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で治療する」と言われました。入院して一度に3箇所の治療をせず、まず一番下にある癌から治療し、様子を見て後日、再入院してその上にある2つの癌を治療することになりました。治療後は、狭窄と言って、治っていくほどに削ったところが引きつって食道が狭くなってきます。食べ物などが通りづらくなり、バルーン拡張術で食道に風船を膨らまして広げると言うことも説明を受けました。食道の長さは、25cm程。切歯(前歯)からだと40cm程。後日の内視鏡検査報告書には、私の3つの癌は、34〜38cm IIc・32〜34cm IIc・28〜30cm IIcとありました。
www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse652.pdf より
私の下位置にある癌は、幅4cm程で食道を一周ぐるりしているので、かなりの範囲を削るのでしょう。先生は、「食道は、大まかに4層になっていて、癌が3層までで止まっていれば大丈夫。私は3層まで内視鏡で削れます、しかも広い範囲で削れます!」と、不安だらけの私にとても心強い言葉を言ってくれました。外来の先生と入院してからの主治医と手術などの執刀医とそうゆうことがわからない私は、『入院したら他の先生ではなく、この先生が私の担当で、癌を削ってくれるんだ』と思い安心してこの日の診察と説明を終わって入院手続きをし、12月半ば過ぎの寒い中、帰宅しました。不安な気持ちで待っていた妻に症状、治療方法、先生のこと、全てを話しました。妻は「そう」とだけで別段何も言いませんでした。入院は年越しになりました。
やっぱり、怖くなりました。
年が開けても病院から入院日の連絡がありません。日に日に癌が広がっているんじゃないか、3層を破って深くなってるんじゃないか、急に進行するわけがないと思っていても焦ってしまいました。悪い方に考えてしましました。ひとつ治ってもまだあと2つも・・・狭窄、バルーン拡張、私の食道はどうなるんだろう、缶を横に潰して繋げたグニャグニャの管を想像しました。この頃は、夜になると自宅のベランダで何となく星を観るようになりました。
〈死〉という文字が頭から離れなくなりました。
またまなのですがこの頃、著名人が食道癌で次々と亡くなっていました。『ちょっと前までテレビなどで元気だった人が・・・』先生は、私に大丈夫と言ってくれたものの、やはり怖くなりました。大腸癌からギリギリ助かったのに、また今年、食道癌。しかも3か所も。癌の確率高過ぎます。神様は何かを試しているのか、何かの試練なのか、星を見てはため息ばかりついていました。そんな私を見て、何も言わない妻もきっと辛かったと思います。『いつまでもグチグチジトジト考えてもしょうがない。治療中は、自分はぐっすり寝てるだけだ。先生を信頼し先生に頑張ってもらって、治療が終われば、次は気合いで自分が頑張るしかない。大腸癌の時のあの苦しさを乗り越えた自分じゃないか。術後、狭窄とかどんな苦しい症状になるかわからないけど、そうゆうことも含めて癌と向き合うしかない。』そう思うようになりました。すると、ため息が深呼吸に変わり、ヨッシャ!と言う気持ちになりました。やっと病院から知らせがあり、1月中旬今度は妻も同行してもらい入院しました。
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