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初めてのガン/大腸癌その3

〈 こたつの上が好きな小さい頃の家のうさぎ 〉

入院前日の外来

紹介してもらった病院は、自宅から歩いて10分もかからない中核病院です。
外来は全て予約制。受付で紹介状を渡し、アンケートに記入し、外科の受付を済ませ、30分程待ち診察室へ呼ばれました。
外科の先生は、ここの病院長だった。『赤ひげ』ならぬ『白ひげ』のその先生は、前線で活躍しているベテラン外科医といった貫禄で、信頼のおける風貌が不安な僕の心境を払拭しました。不安な患者の医師に対する初見も大事です。患者が医師を選べるとすれば合格。『この先生でお願いします』といった感じでしょうか。
持ってきた内視鏡の画像を見ながら、「ひどいですね。そうとう痛かったでしょう。こんなに悪くなって来た人は初めてです。」と先生は言いました。

ドラマと違う「癌宣告」

お腹を指診した後、隣りの部屋で診察着に着替えて、いろいろ検査が始まりました。採血、そして点滴。移動して腹部レントゲン、生まれて初めて経験する CT とエコー。最後の検尿まで一気に終わり、しばらく待って再び、診察室へ呼ばれました。CT の画像を見せられ、「これが腫瘍、大きいです。もう、これは癌です。」医者からのあっさり癌宣告。
よくドラマとかであるあの重い感じの癌告知シーンとは違ってました。「やっぱり癌か」と覚悟はしていましたから何故かそんなにショックではありませんでした。「大腸癌は、治りますから。そんなに落ち込むことはないですよ。鳥越俊太郎さんみたいにがんばってる方もいますから。それに幸い、肝臓に転移してません。」これだけの症状だから肝臓転移が私の頭にはありましたが、ほっとしました。先生は丁寧に現状を説明してくれました。
「で、腸閉塞。ここからずっと小腸まで便が溜まいます。それとここね、大きな胆石があります。これもいづれ採らなきゃね。でもまずは、大腸。
この便を出さないと手術ができないんだけど、来週切れるかなぁ。いつ入院できますか。早い方がいんですけど明日とかどうですか。」

甘い考えでした

この時、私は四、五日仕事が詰まっていました。「いつ大腸が破裂してもおかしくない状態だから危険です。爆弾抱えてるようなもんだから。とりあえず明日入院して、外出したらいい。スケジュール聞いときましょう。」と先生に言われると「じゃ、明日入院します。よろしくお願いします。」ということになりました。「で、今日これから時間があったら、胃カメラ飲みませんか。胃の方も見ときたいんで。」と言われ、大体、病院嫌いな私が、生まれて初めての大きな病院に一人で来て、いっぱいやったことのない検査を立て続けにして「あっさり癌宣告」受けて、最後に胃カメラは、精神的にも肉体的にも無理でした。「昨年の今頃ですが、健康診断の胃カメラの画像があります。それじゃだめですか。」「じゃぁ明日、それ持って来て私に見せてください。」診察が終わり、入院の説明を受けて支払いを済ませ、一度家に帰って妻に説明してから仕事に行きました。この時妻はどう感じたんでしょうか。何を思っていたのでしょうか。私の話を淡々と聞いていました。
この時点では、私は手術は『腫瘍のある部分の大腸を切除して、結腸どうしを繋ぎ合わせて、2週間で退院だ』と甘い考えでいました。消化器外科と内科と泌尿器科との「チーム医療」ということまで考えもしませんでした。また「緊急手術」と「待機手術」ということも後で知りました。

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