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エンダーエンバーミング

Heavenzさん。

これは適当でいいか、とあることを妥協した。
その結果が浮き彫りになってはじめて、あの妥協が無性に目障りに見えてくる。妥協しなかった分は悪くない結果が出ているだけに、余計に目につく。

そんなことを考えていたとき、「腐り落ちてゆく 愛してるものは全て」と唐突に言葉のかけらが蘇って、ああこの曲だと分かりました。気持ちがどれだけ揺れていようと、冒頭のピアノの音は変わらなくて。自分の感情が今に転覆しようと傾いていく船だとしても、ピアノも変わらないし、この曲も変わらない。

傾いていくのは周りではなく、私自身の感情である。そう気づけることには大きな意味があると。田園の憂鬱から「おお、薔薇、汝病めり!」の一言を引用して、そう言っていた人がいました。

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この曲がただきれいな曲でなくてよかったなと思いました。まっすぐにきれいなことばを、透明なほど澄んだ声で歌っていたとしたら、きっと心の置き場はそこにはなかった。爛れる、翳る、濁る、拗らせる。ラスサビから軽く拾い上げるだけでもこんな感じ。言葉に色があるとするなら、絵の具を混ぜすぎて澱んでしまったような色をしているのかな。感情が折り重なって一曲に織り込まれているような、重層構造っぷりが好きです。刺激的な爽快感も気持ちいい。

……ルカさん超かっこいい(語彙力喪失)。

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蛇足
心は本当に複雑で。引っ掛かりをそのままにすれば、思考の糸が自分の首に絡みついて絞めあげていくように苦しい方へ苦しい方へと突き進んでいく。勝手にあれこれ考え続けてしまう。

この曲のかけらを思い出せたので、今こんなものが書けました。よかった。


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