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ジャニーズのモテと清潔感。

半端なくモテた人の、モテなくなっている姿をテレビで目の当たりにしてしまった。
ちょうど何かの宣伝で若手女優の波瑠さんが出ていて、そこに国民的スターの男性が司会的にやり取りをするシチュエーションだったと思う。
彼はもう、とにかく女の人がキャーッてなるのが当たり前。たくさんかっこいい役柄をやってきたし、何か言うとまわりがみんなうっとりとその声に聴きほれてしまう、そんな人だ。

にもかかわらず。その人が波瑠さんと話をしている様子が、いかにも「オヤジと若い子」そのものだった。国民的スターのほうは、いかにもフランクで冗談なども飛ばしちゃう、だけどまぁわかるよ、君も俺に憧れているんだろ、的な感じでいろいろと話すのだけれど、いかにも上から若い子に語り掛ける様子に漂う、ちょっと相手を軽く見ている感じ。親切のおこぼれを分け与えているような話し方が、よく社会で見るそれだった。そして波瑠さんのほうは、そつなく笑顔で爽やかに受け答えをする。その様子が、ああ、こういうことあるよね……立場上、例えば上司とか仕事上の取引先とか気を使わなくてはいけない相手に対しての笑顔だったり、あいづちだったり。それが、まさに国民的スターとの間で繰り広げられていた。しかも、彼はすでに結婚し、子供もいるというのに、相手から相変わらず、「男」として求められている前提でふるまっていたのだ。

いやいやまぁ、もうその路線求めてないんだけど…。

テレビの前で思いっきりひいてしまった。その時、ふと、別の国民的スターである木村拓哉は、こういうことないなぁ、とぼんやりと思う。よくいつまでもキムタク的な仕草や口調を茶化されたりもするけれど、やはり娘がいるせいなのか、若い女の子に対して「君もオレのこと憧れてるでしょ、恋愛対象に入れてるっしょ」みたいなくさみが、意外なことにも、あまりしないのだ。かっこいいキムタク、は変わらず貫こうとしているけれど、モテるオレ、みたいなところは捨てている。

そんな話を何かの流れで友達にしたときに、その子が「もともとジャニーズは、女にモテる、ということを避けているからじゃないの」と言った。確かに。木村拓哉だったら、男性が真似したくなるようなファッションと男気。嵐の例えば大野君だったら飄々としているムード。松潤だってオレ様っぽくふるまっているけれど、どの人だって女の子の思いは一方通行で、さっとかわしている気配がある。モテは真正面から受け止めない。だからリアクションもないし、モテているオレ、というものをアピールもしない。

それは意外にも清潔感にもつながっているような気がする。恋愛はいつも生々しく、肉の気配があってそれがリアルで生きているって感じだけれど、そこから抜けた彼らは、いつまでも生身の男の気配が薄い。もちろん現実世界ではいろいろとあるんだろうけれど、画面越しには、恋心は受け止めず、はにかんだり、クールに無視したり、笑顔でかわしたり、それはキャラクターにもよるけれども、そこに価値を置いていないように見える。

だからこそ、ファンはずっと片思いをしている自分を楽しめるんだろう。放課後の教室からそっとサッカーをしている男の子を見下ろす、少女の頃に戻ることができる。と、ファンではないけれど、ちょっとだけジャニーズが好きな人の気持ちがわかるような気がした。

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