曽野綾子　　強い人

強い人というものは、


多分、

怖さを感じない人のことを

指すのではない。

人は誰でも怖さを感じる時がある。

想像するほどに

恐ろしく感じる。

様々に

想像することができればできるほどに

恐ろしく

怖くなるのものだ。

経験のないことに

挑戦するときには

怖さを感じて

当たり前なのだ。

怖さに

耐える人のことを

言うのである。

『人びとの中の私』

その怖さに

耐えることができるようになると

また

多くの経験をするようになると

ある程度の

予想することもできるようになる。

すると

怖さも

幾分

和らいでいくように思う。

何とかなると

腹をくくることでも

怖さに

向かっていくこともできる。

怖さに耐えるというよりは

自分から

その怖さに

挑むことができるようになると

怖さが

怖さでは

なくなっていくのだろう。

それに

ほどほどの期待

ほどほどの諦め

すると

怖さというものが

自分の味方となる。

そうできるのが

強い人。