曽野綾子　正視する

まともに見るのが最高ですね。

怖いと感じる時

よく見ることがないと

想像が膨らみ

その恐怖の塊が

どんどん膨らんでいってしまう。

想像力があるほどに

恐怖も

大きく膨らむ。

恐怖に負けず

そのものを

じっとよく見るようになると

何だ

違うじゃないか

ということになるかもしれない。

そうであっても

よく見ることで

どんなものかが分かるようになり

そして

どうすればいいのかも

考えることができるようにもなる。

すると

何とかなりそうな気がしてくる。

避けると、

それをすることなく

避けてばかりいると

恐怖だけが

大きくなるばかりと

なる。

どんどん怖くなるから。

どんどん怖くなり

逃げることすら

できなくなる。

でもよく見て

よく考えて

行動するようにすると

その恐怖は

恐怖ではなくなる。

与えられた機会となっていく。

ありがたい機会となる。

「まともに見るのが最高ですね」

正視することが

いちばんいい方法となる。

『死を問う』