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地下にあるラーメン屋さん

近所のスーパーの地下一階には
フードコートというにはあまりにも小さな
ご飯が食べられるスペースが売り場から少し
離れた一画にあった。そこにはトーストや
コーヒー、ミックスジュース
サンドイッチやアイスクリームなどのお店と
ラーメン屋さんの二つのお店があり

小さい頃祖母と姉と餅屋の3人や祖母と餅屋の
2人で買い物帰りに立ち寄りラーメンを食べて
帰った。そこのラーメン屋さんは声が高くて
威勢の良い店主のお爺さん寄りのおじさんと
おばさんのおふたりで賄っていた。
お二人は顔を見るとすぐさま大きな声で
「いらっしゃいー」と遠くの方まで聞こえるんでは無いかと思うくらい元気な声で出迎えて

子供でも手の届く位置にまるで宝石展の指輪が
展示されてるかの如く、あらゆるメニューの
サンプルと手書きの金額が書かれた紙が置いてあり、頼むメニューは決まっているが
一応悩むふりをしてそれを、おばさんは
嫌な顔をせずゆっくりと待ってくれて
餅屋はチャーシュー麺。祖母はタンメンを頼み
暑い時期ならば、ざる麺に切り替えたりなどしてサイドメニューのギョーザを一枚頼み。

注文を受けると、すぐさま真後ろでスタンバイ
してるおじさんに、チャーシュー麺一丁などと
伝えるたびに!甲高い声で、「あいよっー」と
威勢の良い声と共に中華鍋のカンカンっと鍋を
振るう音がして、何か言うたびにおじさんは
「あいよっー」と大きな声で返事する。
その後、フードコートである呼ばれたらブルブルと振動するものではなく、おにぎりの横に
添えていたらうっかりと食べかけそうになる
たくわんみたいな
黄色くて平べったいプラスチックの札に
番号が書いてあり出来上がったら呼びますねと
言われて、祖母の待つ席に戻りウォーターサーバーの水を紙コップに汲んでそれを飲みつつ
待つ、しばらくすると、例えお客さんが
自分らしかいなくても何番のお客様〜と
大きな声で呼んでくれていそいそと向かい。

ワクワクしながらテーブルに運び、その時
サービスで子供の餅屋には、ペコちゃんの
先端がビニールの透明な紙で放送されてる棒付きの飴をおまけにくれてそれも楽しみの一つだった。祖母は毎回タンメンに胡椒をかけるので
お店に置いてあるご自由に使えるGABANの青い大きな筒状の胡椒を忘れずに借りて
それを何振りかして、ふぅふぅと息を吹きかけて美味しそうに頬張っていた。

餅屋が頼んだチャーシューっ麺は醤油ベースの
少し甘めのスープに中太ちぢれ麺にとろとろ系ではなく、少し歯応えのある焼豚って感じの
お肉が何枚も乗っていて、その上に普段家では
弾くのだがそこのは何故だが美味しく食べれた
シャキシャキのもやしと玉ねぎの細切りが
乗っていて歯応えもアクセントとなり
より美味しさを感じた。スープまで飲み切ると
お盆ごと食べ終わったお皿を戻してご馳走と
伝えてまだ食べ終わっていない祖母に
横にある軽食のお店にあるソフトクリームを
ねだり何種類もある中で何故だか惹かれたのが
ゴマ味のソフトクリームだった黒ゴマが練り込まれていて胡麻の香りと甘さが絶妙にマッチして、ラーメン食べた後の濃い口の中を中和してくれて幸せな気持ちのまま。家に帰っていき
その後しばらくの間祖母と出かける事も
なくなり15.6年近く経ち、働き出して1人で
稼いだお金で久しぶりにお店を訪ねたら

当時から時間がかなり経ち
歳を重ねていたがおじさんが
顔を出した瞬間あの時の変わらぬ威勢の良い
「いらっしゃいー」と声を掛けてくれて
更には「今日は1人?おばあちゃんは居ないの?」昔と変わらぬ接し方をしてくれて
覚えてくれてるんだと、胸が熱くなりつつ
いつものチャーシュー麺を大盛りで頼み
流石にペコちゃんの飴は付いてこなかったが

あの当時を思い出しつつ噛み締めて
スープも一滴も残さず飲みきりご馳走と
伝えたら「まいど〜ありがとうね〜」と
最後まで笑顔で元気にお礼を言われて
大満足してまた今度来ようと思っていたら
いつの間にやら、おじさんの体力なのか
体調なのか続けられなくなり、お店は閉じる事になったらしく次行った時にはもう
フードコート時代が改装工事をされていた。

もう二度と食べれないが食べれるならば
食べたい思わせてくれる
思い出の味とおじさんおばさん達の
人情味のあるラーメン屋さんだった。

ご馳走様でした。

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