踏切道改良促進法
踏切道改良の促進により交通事故の防止・交通の円滑化を図る法律である「踏切道改良促進法」を見ていきます。
国土交通省のHPがかなりしっかり作られているので、これを読んだ方が良いかもしれません。。。
◆用語
条文で規定されているわけではないものもありますが、理解のためにまとめます。
踏切道
鉄道と道路(道路法による道路)が交差している場合の踏切道踏切道密接関連道路
踏切道と交通上密接な関連を有する道路道路管理者
道路法18条1項で道路管理者として規定されるもの。
国土交通大臣・都道府県・市町村などが道路管理者となりうる。地方踏切道
道路管理者が国土交通大臣ではない踏切道国踏切道
道路管理者が国土交通大臣である踏切道特定道路改良
改良指定された踏切道に、他の道路管理者が管理する踏切道密接関連道路がある場合、改良指定を受けた道路管理者は、密接関連道路の道路管理者に変わって密接関連道路の改良を行うことができます。この改良を「特定道路改良」と言います。道路外滞留施設
踏切遮断時には踏切の前に歩行者・自転車が滞留しますが、これが車道にあふれると車の渋滞がひどくなってしまいます。これを避けるため、踏切前に設けたスペースを道路外滞留施設と言います。このスペースは民地であることが多いため、土地所有者との協定によって確保されます。
◆踏切道の改良
踏切道改良は下記の流れで実施されます。国土交通省のHPに良い図があったので載せておきます。
1 改良する踏切道の指定
交通量・事故発生状況などを考慮して、国土交通大臣が指定します(促進法3条)。
改良指定は、都道府県知事・市町村長から国土交通大臣に申し出ることもできます。その場合は該当する踏切道に関わる鉄道事業者・道路管理者・市町村長の意見を聴取する必要があります。
実際に指定された際には、該当する踏切道に関わる鉄道事業者・道路管理者・都道府県知事・市町村長にそのことを通知しなければなりません。
改良すべき踏切道の基準は、促進法施行規則2条に「改良すべき踏切道の指定に係る基準」として示されています。
踏切自動車交通遮断量5万/日以上
踏切自動車・歩行者等交通遮断量の和が5万/日以上かつ歩行者遮断量2万/日以上
1時間あたりの遮断量が40分以上
交通量が多いのに踏切道の歩道が極端に狭い
遮断機、支障放置装置未設置
通学路であったり、老人福祉施設・障害者支援施設の近くで安全確保が必要
その他必要性が高い
2 改良方法の決定
鉄道事業者・道路管理者は、改良の方法を決めなければなりません。改良方法については、促進法施行規則3条に「踏切道改良基準」として示されており、「特定改良方法」とされています。
立体交差化
構造改良
平滑化
舗装の着色
歩行者等立体横断施設(歩道橋・地下道など)
保安設備整備
踏切道密接関連道路改良
駅出入口新設
その他効果があるもの
3 改良計画の作成
鉄道事業者・道路管理者は、下記事項を含む改良計画を作成しなければなりません。
踏切道の名称
改良の方法
改良に要する期間
改良と一体で進めることで効果を発揮する事業があればその内容
その他国土交通省令で定める事項
改良する踏切道の位置・鉄道線区名・道路名
工事の概要
工事費用総額・内訳
工事着手予定時期・完了予定時期
近傍の他の踏切道に関する事項があればその内容
その他踏切道改良に重大な関係を有する事項
ただし
保安設備の整備
舗装の着色
その他特定改良方法で指定から5年以内に改良が完了するもの
は計画の提出が不要です。
4 改良の実施
鉄道事業者・道路管理者は、改良計画に従って改良を実施します。
5 改良の評価
鉄道事業者・道路管理者は、交通量・事故の発生状況・その他安全かつ円滑な交通の確保に関する状況について、評価をしなければなりません。評価結果は国土交通大臣に届出る必要があります。
その他 滞留施設協定
鉄道事業者・道路管理者は道路外滞留施設箇所の土地所有者全員の合意のもと、「滞留施設協定」を締結し、該当箇所の整備・管理をすることができます。協定では下記事項を定めます。
どこの道路外滞留施設を対象とするか
整備・管理の方法
協定の有効期間
協定違反した場合の措置
協定の掲示の方法
その他必要な事項
協定を締結しようとする場合には、その旨を告示し、告示から2週間は利害関係者が閲覧できるようにしなければなりません。利害関係者はこの期間内であれば意見書を提出できます。
協定締結したときはその旨を公示し、
協定の写しを鉄道事業者・道路管理者の事務所に備える
協定滞留施設またはその敷地内の見やすい場所に、事務所で協定を見られる旨を掲示
しなければなりません。協定は滞留施設の地権者が変わっても有効です。
◆災害時の管理
地震などの大規模災害発生時には、列車が駅間で非常停止することで踏切の長時間遮断が発生することがあります。これにより緊急車両の通行に大きな支障がでた例があり、今後は踏切が災害復旧の支障にならないように各種措置を取ることになりました。促進法13条以降では措置について規定されています。
1 管理方法を定める踏切道の指定
災害時の管理の方法を定めるべき踏切道は、「国土交通大臣が省令で定める基準に該当する踏切道」のうち、踏切道災害時管理基準に適合する管理方法の設定が必要なものです。(促進法施行規則13条)
「国土交通大臣が省令で定める基準」は下記のとおりです。
鉄道と
道路法48条の19_1項各号に該当する道路
災害対策基本法2条10号に規定される地域防災計画において緊急輸送確保が必要とされる道路
が交差する踏切道であって、
市街地にある
災害時に長時間遮断して他箇所迂回に10分以上かかる
もの。
踏切道災害時管理基準は、下記内容が記載されています。
災害時の連絡体制(鉄道事業者・道路管理者・関係機関)
鉄道事業者、道路管理者がとるべき具体的措置内容・手順
鉄道事業者・道路管理者が災害発生直後にとるべき措置とは、下記事項について記載します。
踏切道の点検
長時間遮断の発生、復旧見込みの情報提供
長時間遮断の解消
鉄道事業者・道路管理者の災害時踏切道管理の措置に関する定期訓練実施について
改良指定と同様に、管理方法を定めるべき踏切道を都道府県知事・市町村長から国土交通大臣に申し出ることもできます。
2 管理方法の決定
指定を受けた踏切道の鉄道事業者・道路管理者は、管理基準に適合した「踏切道災害時管理方法」を作成して国土交通大臣に提出する必要があります。
その他 地方踏切道改良協議会
鉄道事業者・道路管理者は、地方踏切道の改良・災害対策に必要な協議を行うために、下記構成で地方踏切道改良協議会を組織できます。
鉄道事業者・道路管理者
都道府県知事
地方整備局長
地方運輸局長
市町村長、密接関連道路の道路管理者、道路協力団体、その他で必要なもの
◆費用負担
改良・災害時管理の費用は、鉄道事業者・道路管理者が協議して負担します。ただし保安設備の整備は鉄道事業者持ちです。(促進法18条)
費用は国・都道府県・市町村から補助金が出ることがあります。(促進法19条)
◆参考
https://www.road.or.jp/event/pdf/20210727-1.pdf
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/fumikiri/fu_index.html
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