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現代語訳:鉄道抵当法③ 第3章 強制競売・強制管理 第4章 罰則

明治38年の法律である鉄道抵当法を現代語訳しました。現在も有効な法律です。
意訳している部分・あいまいな部分もあるので、あくまで参考程度にお願いします。

条文はこちらから。

第1・2章の現代語訳はこちら。

第3章 強制競売および強制管理

第40条

鉄道財団に対する抵当権の強制執行は、強制競売または強制管理によって行う。
②抵当権者は自己の選択によって、前項に掲げた1個の方法または2個の方法の併用によって強制執行することができる。

第41条

公証人が作成した高清証書による抵当証書・信託証書・これらに記載した事項を変更する契約証書は、強制執行に関して民事執行法(昭和54年法律第4号)第22条第5号に規定する執行証書とみなす。

第42条

強制執行は、鉄道財団所有者である会社の本店所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。

第43条

強制競売の申し立ては、書面によって行うこと。
②申立書は下記の事項を記載し、申立人・代理人はこれに署名捺印すること。ただし署名捺印の代わりに記名捺印することができる。
1.債務者である会社および鉄道財団所有者である会社の商号・本店所在地
2.競売にかける鉄道財団の表示
3.競売の原因
4.年月日
5.裁判所
③申立書には、執行文を添付した債務名義の正本のほか、鉄道抵当原簿の謄本を添付すること。ただし強制管理が開始された場合には、鉄道抵当原簿の謄本の添付は必要ない。

第44条

強制競売の申し立ては、競落期日までは競買人の同意がある場合に限って取り下げができる。

第45条

競売手続きの開始は決定をもって行う。
②決定開始には、申立人の名称・住所・第43条第2項第1~4号に掲げる事項を記載し、決定を行う裁判官が署名捺印すること。ただし署名捺印の代わりに記名捺印することができる。

第46条

裁判所が競売手続き開始の決定を行ったときは、すぐに鉄道抵当原簿に競売申し立ての登録を行う必要があることを、国土交通大臣に嘱託すること。
②国土交通大臣は、前項の嘱託を受けたときはすぐに登録を行い、その旨を裁判所に通知すること。

第47条

裁判所が競売手続き開始の決定を行ったときは、租税その他の公課を主管する官庁公署に対して、一定期間内に鉄道財団の所有者に対する権利の有無およびその限度を申し出る旨を、官報で公告すること。

第48条

裁判所は国土交通大臣の意見を聞き、鑑定人を選定し、競売にかけるべき鉄道財団を評価させ、その評価額をもって最低競売価額とすること。

第49条

裁判所は競売期日を定め、官報で公告すること。
②前項の公告には下記事項を記載すること。
1.競売にかけるべき鉄道財団の表示
2.競売期日の場所、日時、入札締め切り時間
3.最低競売価額
4.競落期日の場所、日時
5.執行記録を閲覧できる場所

第50条

削除

第51条

鉄道事業を営むものではないが競売に参加する者は、競売の申し込みと共に、補償として最低競売価額の100分の5に相当する金額を、現金または有価証券(社債、株式の振り替えに関する法律(平成13年法律第75号)第278条第1項に規定する振替債で、国土交通省令の定めるものを含む。以下同じ。)で提出、預けること。
②前項の規定は、競買人として抵当権者が参加するものについては、その債権額が最低競売価額の100分の5以上に相当する場合に限って適用する。

第52条

競売は入札方式で行う。

第53条

裁判所は競買人の前で入札を開封すること。
②競落となる同価額の入札が2つ以上あるときは、裁判所は同価額の競買人で再度の入札をさせること。
③再度の入札を行っても同価額の入札があるときは、裁判所は抽選で最高価額買人を決めること。

第54条

削除

第55条

裁判所は下記の場合、職権で新たな競売期日をさだめること。
・競売期日に入札がない場合
・競売期日に有効な入札がない場合
・最低競売価額に達する入札がない場合
②前項の場合において、裁判所は鑑定人の意見を聞き、最低競売価額を低減することができる。

第56条

入札は変更・取り消しができない。
②入札は、入札を行った競買人以外の者の競落が決定したとき、競落ができない決定が確定したとき、競落を行わずに競売手続きを終了したときは、効力を失う。

第57条

裁判所は最高価額競買人の名称を・競買価額を表示し、競売の終了を告知すること。

第58条

裁判所は競売に関する調書を作成し、下記の事項を記載すること。
1.競売にかけた鉄道財団の表示
2.競売申立人の表示
3.入札・開札の日時
4.すべての競買価額・競買人の名称・住所、入札がないこと、有効な入札がないこと、最低競売価額に達する入札がないこと、第53条第2・3項の手続きをおこなったこと
5.競売の終了を告知した日時、最高価額競買人の名称、競買価額

第59条

裁判所は競落期日に出頭した債務者、鉄道財団の所有者、抵当権者、競買人に競落の許可についての陳述を行わせること。

第60条

強制競売申し立ての取り下げ、強制執行の取り消しがあった場合、または第48~53・57条の規定に違反して競売を行った場合に限り、債務者、鉄道財団の所有者、抵当権者、競買人は競落の許可について異議を申し立てることができる。

第61条

裁判所は異議の申し立てが正当と判断される場合に、さらに競売を許可するときは、職権で競売期日を定めること。
②前項で競売期日を定める場合の競落の可否は、決定してから言い渡すこと。

第62条

競落の許可について異議の申し立てを行った者は、第60条に掲げた理由がある場合に限って競落を許可する決定に対して即時抗告を行うことができる。
②競落期日に出頭し、競落の許可に異議を申し立てないものは、競落を許可しない理由がない場合に限って、競落を許可しない決定に対して即時抗告できる。
③広告は執行停止の効力を有する。

第63条

裁判所は競落に関する調書を作成すること。

第64条

競落を許可する決定が確定したときは、裁判所はその決定の謄本を国土交通大臣に送付すること。

第65条

競落代金は、競落を許可する決定が確定した日、または第73条の許可を受けることを要する者にあっては、その許可を受けた日から1週間以内に裁判所に支払うこと。ただし債権者が競落人である場合においては、自己が競落代金中より受け取るべき金額を控除し、その残額のみを支払うこと。

第66条

競落代金の支払いがあったときは、競売にかけられた鉄道財団に関する権利は競落人に、競落人が会社の発起人である場合はその会社に移転する。
②抵当権は前項によって鉄道財団に関する権利が移転したときに消滅する。

第67条

第73条の許可を受けないとき、第73条の期間内に許可の申請がないとき、だ65条の期間内に競落代金の支払いがないときは、裁判所は職権で競落許可決定を取り消し、新たに競売期日を定めること。
②前項によって競落許可決定を取り消されたときは、許可は取り消されたものとする。
③競落人は新競売に加入することができない。かつ、新競売において競落代金が最初の競落代金より少ないときは、その不足額及び手続の費用を賠償すること。

第68条

裁判所は競落代金から競売の費用を控除し、その残額は国税徴収法(昭和34年法律第147号)、その他の法律に規定する租税公課の優先権に関する規定、抵当権の順位に従い、租税公課・抵当権によって担保される債権に配当し、さらに残額がある場合には、鉄道財団所有者に交付する。
②前項の場合、裁判所はその旨を国土交通大臣に通知し、競売申し立ての登録抹消を嘱託すること。
③国土交通大臣は前項の嘱託を受けたときは、下記の手続きを行うこと。
 1.第46条第2項によって行う登録および抵当権の登録を抹消すること
 2.競落許可決定があったことを管轄登記所に通知し、競落人または競落人によって発起した会社が取得した不動産に関する権利の登記、および第11条第2項によって効力を失った登記の抹消を嘱託すること。
 3.競落人または競落人によって発起した会社が取得した自動車に関する権利の登録、および第11条第2項によって効力を失った登録の抹消を行うこと。

第69条

競落を行わずに競売手続きを終了したときは、裁判所はその旨を国土交通大臣に通知し、競売申し立ての登録抹消を嘱託すること。
②国土交通大臣は前項の嘱託を受けたときは、第46条第2項によって行った登録を抹消すること。

第70条

裁判所は、2回以上競売期日を開始しても入札がない場合、有効な入札がない場合、最低競売価額に達する入札がない場合は、抵当権者の同意がある場合に限り、競売に掛けた鉄道財団を個々のものとして競売に掛けることができる。
②前項の場合において、裁判所は抵当権者の意見を聞き、鉄道財団に属するものを分割して競売に掛けることができる。

第71条

前条の競売に関しては、第48・49・52~66条、第67条第1・3項、第68・69条の規定を準用する。
②競買人は競買の申し込みと共に、補償として最低競売価額の100分の5に相当する現金または有価証券を預けること。

第72条

削除

第73条

競落人は競落許可決定が確定した日から3カ月以内に許可を申請すること。

第74条

競落人が会社の発起人であるときは、前条の許可の申請には定款および会社の設立登記謄本を添付すること。

第75条

削除。

第76条

国土交通大臣は第73・74条の規定による申請があったときは許可すること。

第77条

第73条の許可は、競落人または競落人によって設立された会社が競落代金を支払ったときにその効力を生じる。
②第73条の許可が効力を生じたときは、競落人または競落人によって設立された会社は、鉄道事業の許可に属する権利および義務を継承する。

第78条

強制管理については、第43・45~47条の規定を準用する。

第79条

強制管理開始の決定が確定したときは、裁判所はその決定の謄本を国土交通大臣に送付すること。

第80条

前条の決定の謄本の送付があったときは、国土交通大臣は1人または数人の管理人を選任すること。ただし強制管理の申立人は適当な人材を推薦することができる。
②商事会社は管理人になることができる。

第81条

国土交通大臣は管理人を監督し、管理方法を指揮し、管理人に与える報酬の額を定めること。
②国土交通大臣は前項に掲げた事項について、債務者、鉄道財団所有者、抵当権者、鑑定人の意見を聞くことができる。
③国土交通大臣は、管理人に担保を提供することを命じたり、解任することができる。

第82条

国土交通大臣はが管理人を任免したときは、その旨を債務者、鉄道財団所有者、抵当権者、裁判所に通知すること。

第83条

鉄道財団所有者が管理人選任の通知を受けたときは、すぐに鉄道財団を管理人に引き渡すこと。
②管理人は鉄道財団の所有者に対し管理に必要になる書類その他のものの引き渡しを求めることができる。
③鉄道財団の所有者が前2項の引き渡しを行わないときは、裁判所は管理人の申し立てによって執行官による引き渡しを行わせること。

第84条

強制管理の申立人は、管理人の請求によって管理の費用を立て替えること。

第85条

管理人は鉄道財団の管理および収益について必要な裁判上・裁判外の行為を行うこと。

第86条

鉄道財団の管理について官庁に対する取締役および執行役の責任は、管理人が負う。

第87条

管理人は毎事業年度の終わりに、鉄道財団の収入から下記を控除した残額を抵当権者に交付すること
・管理費用
・管理人の報酬
・租税公課

第88条

管理人は毎事業年度およびその業務施行の終了後、債務者、鉄道財団所有者、抵当権者、国土交通大臣、裁判所に計算書を提出すること。
②務者、鉄道財団所有者、抵当権者は、計算書の送付があった日から1週間以内に裁判所に異議申し立てができる。
③前項の期間内に異議の申し立てを行わない者は、計算を承認したものとみなす。
④意義の申し立てをがあったときは、裁判所は管理人に聴取し、国土交通大臣の意見を聞いたあと、裁判を行うこと。

第89条

管理人は前条第2項の期間を過ぎ、または前条第4項の裁判を経た後でなければ、抵当権者に対して配当額の交付をすることができない。
②管理人の配当額の交付を行ったときは、抵当権者の名称・配当額を国土交通大臣・裁判所に通知すること。

第90条

強制管理の取り消しは、裁判所の決定をもって行う。
②強制管理の申し立てを行った抵当権者が弁済を受けたときは、裁判所は強制管理の取り消しを命じること。
③強制管理の申立人が管理費用を立て替えをしないときは、裁判所は管理人の申し立てによって強制管理の取り消しを命じることができる。

第91条

前条第2項の場合に関しては第68条第2・3項の規定を準用する。
②前項の場合を除く他、強制管理の取り消しに関しては第69条の規定を準用する。

第4章 罰則

第92条

次の場合においては、取締役・執行役・管理人を10万円以下の科料に処す。
1.第8条第2項の公告を行わなかったとき
2.第9条の規定に違反したとき
3.第20条の同意を得ずに鉄道財団に属するものを鉄道財団から分離したとき
4.登録に関して不正の記載をしたとき。第30条の2第2項の登録を怠ったとき。第31条の登録の申請を行わなかったとき。
5.鉄道財団目録に不正の記載をしたとき。第34条の届出を行わないとき。不正の届出をしたとき。
6.管理方法について国土交通大臣の命令に違反したとき。
7.第88条の計算書を提出しないとき。不正の計算書を提出したとき。
8.配当額の交付を行わなかったとき。第87条・第89条第1項の規定に違反して配当額の交付を行ったとき。
9.第89条第2項の通知を行わなかったとき。


鉄道抵当法は以上です。

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