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鉄道に関する技術上の基準を定める省令:1.法体系

「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の勉強ノートです。
条文は下記リンクで公開されています。

またこの解釈基準が国土交通省から示されています。

略称については、
鉄道に関する技術上の基準を定める省令      → 技術基準
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解釈基準 → 解釈
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解説   → 解説
と記載します。

今回は第1条「目的」、第3条「実施基準」に関連して、技術基準まわりの法体系についてまとめます。

◆省令の由来

この省令は鉄道営業法の第1条に基づいて作成されています。

ーーー↓鉄道営業法第1条↓ーーー
第1条
鉄道の建設、車両器具の構造及び運転は、国土交通省令で定める規定によること。
ーーーーーーーーーーーーーーーー

以前は鉄道の技術面を規定するものとしては、旧5省令と呼ばれる下記がありました。

  • 普通鉄道構造規則

  • 特殊鉄道構造規則

  • 新幹線鉄道構造規則

  • 鉄道運転規則

  • 新幹線鉄道運転規則

旧5省令では鉄道施設のスペックが割とガチガチに定められていたようですが、新技術への対応・事業者の創意工夫を促進するために、ガチガチに仕様を規定するのではなく、あくまで性能を規定する技術基準にまとめられました。

◆実施基準

各鉄道事業者は技術基準をもとに、各社の事情に応じて作成した「実施基準」を作成する必要があります(技術基準第3条)。実施基準は技術基準の各項目に対応し、数値化するなど具体的に記載する必要があります。作成した実施基準は国土交通大臣・地方運輸局長に届出する必要があります。

◆解釈基準

しかし実際問題として、性能規定である技術基準を実施基準に落とし込むのは難易度が高いため、技術基準の解釈を具体化・数値化した例を示し、実務の参考になりうる「解釈基準」が鉄道局長通達として出されました。解釈基準は通達であり、法的強制力はありません。強制力がないことで、新技術に柔軟に対応できるようになっています。

◆解説

そして「解説」ですが、これは解釈基準がどのような考え方・経緯で作成されたのかをまとめたものであり、技術基準・解釈基準を読み解く上での参考となる文書です。国土交通省・鉄道総研・各種協会・事業者によって策定されました。

※ちなみに土木に関しては、「鉄道構造物設計標準・同解説」というものが鉄道局長通達に基づいて鉄道総研で作成されています。解釈基準・解説よりもさらに詳しく、具体的な設計方法の指南書になっているようです。

◆まとめ

それぞれの関係を図にしました。


参考


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