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鉄道に関する技術上の基準を定める省令:14.停車場・車庫 第34~38条

「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の勉強ノートです。
条文は下記リンクで公開されています。

またこの解釈基準が国土交通省から示されています。

略称については、
鉄道に関する技術上の基準を定める省令      → 技術基準
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解釈基準 → 解釈
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解説   → 解説
と記載します。


第34条

停車場配線について2点定められています。かなりふわっとしていますが、駅によってケースバイケースすぎるので、性能規定とするとこんな感じになってしまうのでしょう。

  1. 列車の運行に適合したものでなければならない
    そりゃそうでしょとしか言えない。

  2. 待避線の有効長は、待避する最長の列車に対して十分な長さとしなければならない
    待避する列車より待避線が短いと、せっかく空けた本線をほかの列車が通れません。下図赤線部分が停車場の待避線にあたるものと思われます。

https://www.haisenryakuzu.net/documents/metro/tokyometro/tozai/  を加工

第35条

駅の設備としては、客扱い・荷扱い・情報提供に関する設備が必要とされています。解釈基準の具体例を下図にまとめました。
荷役って何だろうと思ったので調べておきました。

荷役:荷物の積み下ろし作業
荷役設備:荷物の積み下ろしを行うためのクレーンなどの設備

駅に必要な設備

第36条

プラットホームに関して規定されています。

▶有効長(1項)

  1. (通常)
    発着する列車の最前方の旅客車~最後方の旅客車まで以上の長さ+旅客の安全・円滑な乗降を支障しないものであること

  2. (車両に直接接続する形式のホームドアを設ける場合)
    最前方乗降口前端~最後方乗降口の後端以上の長さであること

  3. (運用上やむを得ない場合)
    ドア非扱い+案内放送等の転落防止措置により、列車長よりホームの有効長を短くできる
    →東急大井町線九品仏駅は列車長よりホームが短く、溝の口寄り1両はドア非扱いとしています。

「車両に直接接続する形式のホームドア」とは!?ちょっと調べても分かりませんでした。見たことも聞いたこともないです・・・知っている人いたら教えてください。

▶幅(2項)

下図のとおりです。

プラットホームの幅

▶ホーム上の柱・壁~ホーム縁端の距離(2項)

たぶん下図のとおりです。こ線橋口は結構ホームの幅ギリギリのところある気がする(京浜東北線蒲田駅とか)んですが、どうなんでしょう。

ホーム縁端との距離

▶ホーム上旅客の安全確保(3項)

解釈基準に細かく示されています。

1.ホーム・車両乗降口の床面はなるべく平らであること
だいたい平らだろ・・・と思いましたが、代々木駅はホームに段差があります。こういうのはなるべくやめてね、という条文です。混雑して足元が見えないと結構危ないからね。

https://www.homes.co.jp/cont/town/town_00276/  から引用

2.ホームと車両の間隔はなるべく小さくすること
ただし構造上やむを得ない場合は旅客に警告する装置をつけること
車両に直接接続する形式のホームドアがある場合は除く

直接接続するドアとは・・・
ホームと車両の間隔が大きいと、転落したりして危ないです。大学の同期がよく落ちてました。
旅客に警告する装置とは、隙間からピカピカ光を出したりする設備を指すと思われます。その他可動ステップ(ホームから自動で張り出して隙間を埋める装置)が銀座線上野駅などに設置されています。

鶴見線浅野駅(たぶん 記憶が曖昧)

3.ホームの線路側ではない縁端には転落防止柵をつけること
 地方のホームだけの駅とかでよく見る柵です。

https://ekinavi-net.sakura.ne.jp/railway/jr-nemuro01/haobi/index.html  から引用

4.床面は滑りにくい仕上げにすること
ツルツルじゃなくて多少凹凸があるような感じにしてねという感じだと思います。

京浜東北線上野駅

5.ホーム上旅客に対して列車接近を知らせる設備を設けること
 ただし電気設備がなかったり技術的に難しい場合はこの限りではない
 車両に直接接続する形式のホームドアがある場合も除く
列車接近を知らせる設備とは、下記のようなものです。
・列車接近放送
・列車接近表示灯
・回転灯などの照明設備
・スレットライン
・ホーム上の表示板に接近時に光が走る

6.ホーム縁端の笠石は滑りにくい仕上げにすること
 車両に直接接続する形式のホームドアがある場合は除く
笠石とは、天面に来る素材のことです。ここでは「床」です。先ほど出した京浜東北線上野駅の写真を見ると分かりますが、ホームの縁の笠石は黒い滑り止めゴムがつけられています。

7.普通鉄道のホームで130㎞/h以上の通過列車がある場合は下記いずれかが必要
①ホームドア又は可動式ホーム柵
②列車通過時に旅客がホーム上に出ない措置
③ホーム係員による注意喚起等

②の措置は都内だとまぁ見ないですが、えちごトキめき鉄道筒石駅ではホームは引き戸でコンコースと仕切られ、特急が通過する際は警報が鳴るような仕組みになっているそうです。

8.跨座式、懸垂式、無軌条以外の鉄道で、列車速度が速く運行本数が多い区間は、下記の措置が必要
非常時に列車を停止させるための押しボタン・転落検知マットの設置
②転落時の待避用のホーム下待避スペース
③構造上難しい場合はホームに上がるためのステップ

9.動力車操縦者が乗務しない路線のホームにはホームドア又は可動式ホーム柵が必要
ゆりかもめのように乗務員が乗務しない路線にはホームドアなどが必要です。

10.磁気誘導式鉄道のホームにはホームドア又は可動式ホーム柵が必要
ドア・柵が必要なのは、リアクションプレートに大きな誘導電流が流れているため、軌道内転落時に感電する恐れがあるからかと思われます。大江戸線などが磁気誘導式です。

▶ホームドア・柵等の開口部~ホーム縁端との間

旅客の居残り防止措置が必要です。
センサーを用いて居残り検知する方法がいろいろあります。

▶可動式ホーム柵

通常の使用において、旅客が転落や触車しない構造である必要があります。

ちなみに天井高までのフルハイトタイプ=ホームドア、よく見る胸くらいまでの高さのもの=可動式ホーム柵と言われます。

第37条

通路・階段に関して規定されています。
①幅は1.5m以上
②階段にはおおむね高さ3mごとに1か所の踊り場を設けること
③階段には手すりを設けること

第38条

車庫について規定されています。当たり前のことが書いてあるだけですが、明文化しないと適当な場所を車庫に指定しちゃったりするヤツがいるからでしょうか。
1.車庫は収容する車両に応じた収容能力を有する必要がある
2.車両検査修繕施設は車両に応じた検査・修繕設備を有する必要がある

以上です。

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