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残り一か月、誰が支配下登録を勝ち取るか

一年の半分が終わり、後半戦がスタートする7月1日。折り返し地点でもあり、気持ち新たにスタートする日となりますが、プロ野球選手、特に育成選手にとってはシーズン中の支配下契約まで一か月を切り、育成選手として入団した3年目以降の選手や育成選手として再契約した選手にとっては、この機会を逃すと一旦契約が切れる為、切羽詰まった一か月にもなります



埼玉西武ライオンズ「ポジション別分布図」


埼玉西武ライオンズ「年齢【年度】別分布図」



ライオンズは現在、支配下67人、育成枠15人となっており、残り3枠を15人で争っています



今年から改めて三軍制度を復活させ、6月末時点で22試合行うなど、実践の場を増やしてきましたが、現在どのような成績を残しているのか確認してみたいと思います

なお、三軍成績に関しては球団のホームページに掲載されているスコアシートを基に集計していますが、集計に漏れがあるかもしれません。私同様、集計されている方がいて、間違っていると気付かれた方は出来れば教えていただけないでしょうか?よろしくお願いいたします


・投手


#111 斎藤大将【育成再契約】

二軍成績:19試合 18.2in 84打者 16被安打 3被本塁打
23奪三振 8与四球 1与死球 12失点 6自責点
【防御率 2.89/WHIP 1.29/K% 27.4/BB% 9.5/K-BB 17.9】

三軍成績:2試合 2in 7打者 1被安打 0被本塁打
1奪三振 0与四球 1与死球 0失点 0自責点
【防御率 0.00/WHIP 0.50/K% 14.3/BB% 0.0/K-BB 14.3】


トミー・ジョン手術を経て昨シーズンから復帰を果たしているが、三軍では4月末に二度登板しただけで、基本的には二軍選手の扱い

手術前の2020年と比べ、ストレートの平均球速が3キロほどアップし、140キロ台に乗ったが、昨シーズンと比較すればほぼ横ばいでこれが最大値ではないか

対左ではK%が30%を超えるなど、左キラーとしては需要がありそうだが、チームがそこにこだわるかどうか


#112 粟津凱士【育成再契約】

二軍成績:12試合 13in 53打者 9被安打 1被本塁打
10奪三振 6与四球 0与死球 1失点 1自責点
【防御率 0.69/WHIP 1.15/K% 18.9/BB% 11.3/K-BB 7.5】

三軍成績:4試合 5in 19打者 3被安打 0被本塁打
7奪三振 2与四球 0与死球 1失点 1自責点
【防御率 1.80/WHIP 1.00/K% 36.8/BB% 10.5/K-BB 26.3】


斎藤同様、トミー・ジョン手術を経て昨シーズンから復帰しているが、三軍では4月に三度、6月に一度登板しているだけでこちらも二軍選手扱い

ストレートの平均球速が143キロまで上がり、シンカーに関しては二軍で10in以上投げている投手の中でダントツのPitchValueを記録。ゴロ打球が60%を超えるなど打球のリスク管理も申し分ない

粟津自身に問題はない。あとはチームにとって緊急性を要するかがカギとなる


#113 伊藤翔【育成再契約】

二軍成績:15試合 16in 68打者 10被安打 0被本塁打
13奪三振 13与四球 0与死球 3失点 3自責点
【防御率 1.69/WHIP 1.44/K% 19.1/BB% 19.1/K-BB 0.0】

三軍成績:7試合 6.2in 27打者 4被安打 0被本塁打
12奪三振 3与四球 0与死球 2失点 1自責点
【防御率 1.35/WHIP 1.05/K% 44.4/BB% 11.1/K-BB 33.3】


一昨年オフにトミー・ジョン手術を行ったこともあり、今シーズンが本格復帰一年目となるが、起用法を見る限り、二軍と三軍を行ったり来たりしている

ストレートの平均球速は143キロとルーキーとして投げていた2018年当時に戻ったが、戻るだけではダメなので、ここから上げていけるか

三軍と比べ、二軍ではK%とBB%に大きな差が生じており、スタッツだけを見ても来年が勝負といったところ


#114 上間永遠【育成再契約】

二軍成績:2試合 8.2in 40打者 11被安打 1被本塁打
4奪三振 7与四球 1与死球 6失点 6自責点
【防御率 6.23/WHIP 2.08/K% 10.0/BB% 17.5/K-BB -7.5】

三軍成績:7試合 42.2in 179打者 40被安打 3被本塁打
26奪三振 11与四球 2与死球 19失点 18自責点
【防御率 3.80/WHIP 1.20/K% 14.5/BB% 6.1/K-BB 8.4】


伊藤同様、今シーズンが本格復帰一年目となるが、こちらは三軍で6試合に先発するなど、トミー・ジョン組4人の中で唯一、先発(ロングイニング)での起用が続いている

二軍で2試合しか投げていなのでサンプル不足ではあるが、ストレートの平均球速はまだ手術前に戻っていないし、元々打たせてとるタイプで"スタッツ映え"する投手ではない

今シーズンは三軍で実践経験を積みながら、改めて鍛え直し、投手として全てにレベルアップした来シーズン以降が勝負となるだろう


#116 J.ヘレラ【育成2年目】

二軍成績:5試合 24in 107打者 25被安打 4被本塁打
13奪三振 12与四球 3与死球 19失点 18自責点
【防御率 6.75/WHIP 1.54/K% 12.1/BB% 11.2/K-BB 0.9】

三軍成績:4試合 9in 48打者 17被安打 0被本塁打
6奪三振 4与四球 0与死球 11失点 8自責点
【防御率 8.00/WHIP 2.33/K% 12.5/BB% 8.3/K-BB 4.2】


昨シーズン途中から加入し、出力不足は否めないものの、まとまりのあるピッチングを披露。WBCコロンビア代表にも選出されるなど期待された今シーズンだったが、出れば打たれるの繰り返しで二軍はおろか三軍でも精彩を欠く

5月28日の試合を最後にマウンドから離れており、怪我をしていると思われる。ストレートの平均球速が140キロでオーソドックスな右腕ゆえ、ここから大幅にベースアップできないとさすがに厳しい

兎にも角にもまずは怪我を早く治したいところ


#120 出井敏博【育成4年目】

二軍成績:9試合 12.1in 63打者 19被安打 0被本塁打
11奪三振 7与四球 0与死球 11失点 5自責点
【防御率 3.65/WHIP 2.11/K% 17.5/BB% 11.1/K-BB 6.3】

三軍成績:7試合 10in 38打者 7被安打 1被本塁打
8奪三振 3与四球 1与死球 1失点 1自責点
【防御率 0.90/WHIP 1.00/K% 21.1/BB% 7.9/K-BB 13.2】


育成4年目を迎えた今シーズン、後がない立場ではあるが、三軍での登板が増えるなど、立場的には後退している

スタッツを見ても三軍で残せている結果が二軍では残せておらず、ストレートの平均球速も143キロまで投げられるようになったが、大卒4年目、26歳という年齢を考えると、これ以上の伸びしろがあるか?

出井ならではの武器が欲しい


#121 三浦大輝【育成1年目】

二軍成績:5試合 5.1in 29打者 8被安打 1被本塁打
4奪三振 4与四球 1与死球 4失点 4自責点
【防御率 6.75/WHIP 2.25/K% 13.8/BB% 13.8/K-BB 0.0】

三軍成績:16試合 21.1in 90打者 16被安打 3被本塁打
20奪三振 9与四球 0与死球 13失点 6自責点
【防御率 2.53/WHIP 1.17/K% 22.2/BB% 10.0/K-BB 12.2】


今年入団した唯一の大学生育成投手ということもあり、三軍では最多の16試合に登板するなど多くの登板機会を与えられている

ここ2試合の成績が芳しくないこともあり、成績を落としているが、それまでは【K-BB%】が20.0%を超えるなど一定の成績を残している

6月からは二軍での登板も増えているが、ゴリ押しするストレートのPitchValueが大きなマイナスとなっており、レベルの違いに苦しんでいる様子

まずは経験を積む一年となりそう


#124 豆田泰志【育成3年目】

二軍成績:19試合 20.2in 88打者 16被安打 2被本塁打
26奪三振 12与四球 0与死球 9失点 8自責点
【防御率 3.48/WHIP 1.35/K% 29.5/BB% 13.6/K-BB 15.9】

三軍成績:7試合 7in 28打者 5被安打 0被本塁打
10奪三振 3与四球 0与死球 3失点 3自責点
【防御率 3.86/WHIP 1.14/K% 35.7/BB% 10.7/K-BB 25.0】


育成3年目を迎えた今シーズン、先発(ロングイニング)から中継ぎ(ショートイニング)での起用に代わり、ストレートの平均球速は144キロ前後だが、回転軸&回転数に優れているのか、面白いように空振り奪っている

特に6月以降は【K% 39.5/BB% 5.3】と圧倒的なスタッツを残しており、この手にタイプにありがちなフライボールピッチャーでもない

育成として入団した選手は3年間を終えると一旦は契約終了となる。言い換えればフリーの立場となり、他のチームと契約することも可能となる。一軍のブルペン陣が怪我人続出で人材不足という訳ではないが、このnoteを書いている今すぐにでも支配下登録すべき投手である。朗報を待ちたい


#128 菅井信也【育成2年目】

二軍成績:6試合 18.1in82打者 17被安打 1被本塁打
18奪三振 14与四球 1与死球 10失点 9自責点
【防御率 4.42/WHIP 1.69/K% 22.0/BB% 17.1/K-BB 4.9】

三軍成績:2試合 10in 42打者 10被安打 0被本塁打
10奪三振 5与四球 0与死球 2失点 2自責点
【防御率 1.80/WHIP 1.50/K% 23.8/BB% 11.9/K-BB 11.9】


4月に三軍で2試合投げてからは二軍で先発中心の登板が続いている

二軍、三軍共に一定のK%を記録するなど魅力はあるが、身体が出来上がっていないからか、投球フォームの再現性が乏しく、それがコントロール難に繋がっているのではないか

まだ焦る時期ではない。経験を積んで、来年以降の支配下登録を目指して頑張って欲しい


・野手


#115 R.コドラド【育成2年目】

二軍成績:2試合 3打数1安打(二0,三0,本0)
1三振 0四球 0死球 0盗塁 0盗塁死
【打率 .333/OPS .667/ISO .000/K% 33.3/BB% 0.0】

三軍成績:22試合 74打数11安打(二3,三0,本2)
32三振 8四球 1死球 0盗塁 0盗塁死
【打率 .149/OPS .506/ISO .122/K% 37.6/BB% 9.4】


昨シーズン途中から加入した、原石ともいえる選手ではあるが、今シーズンは三軍で全試合に出場するなど経験を積んでいる

スタッツを見れば一目瞭然だが、ハッキリ言って見るべき成績は残せていない。こういった選手に対しても実践経験を積ませて、可能性を探るのが三軍制度の意義ではあるが、ここまで打てないと本当に光るのかという疑念を抱く

そろそろ目に見える結果なり経過を見せたいところ


#117 牧野翔矢【育成再契約】

二軍成績:5試合 7打数1安打(二0,三0,本0)
2三振 1四球 0死球 0盗塁 0盗塁死
【打率 .143/OPS .393/ISO .000/K% 25.0/BB% 12.5】

三軍成績:16試合 46打数13安打(二1,三0,本0)
15三振 6四球 0死球 3盗塁 2盗塁死
【打率 .283/OPS .670/ISO .022/K% 28.3/BB% 11.3】


トミー・ジョン手術から復帰した今シーズン、4月18日に三軍の試合に復帰して以来、順調に試合経験を積み、6月16日からは二軍の試合にも出始めている

捕手である以上、守備が優先されるポジションではあるが、森友哉が移籍したことでチーム単位の捕手打撃成績【※打率、OPS、wRC+】は軒並み12球団で最下位

打撃にも光るものがある牧野には将来の正捕手としても十分に候補となるだろう

トレード自体に消極的、もしくは相手チームの要求を飲めないのか、緊急補強をするつもりがないなら、一軍でマスクを被ったことのある牧野は使える状態にしておきたいところ


#118 野村和輝【育成1年目】

二軍成績:4試合 14打数1安打(二0,三0,本0)
6三振 0四球 0死球 0盗塁 0盗塁死
【打率 ..071/OPS .143/ISO .000/K% 42.9/BB% 0.0】

三軍成績:19試合 62打数14安打(二2,三0,本1)
15三振 8四球 0死球 0盗塁 1盗塁死
【打率 .226/OPS .616/ISO .081/K% 21.1/BB% 11.3】


高卒から1年間の独立リーグを経て入団したが、三軍で経験を積む日々を過ごしている

今のスタッツを見てどうこう言うべき選手ではない。まずは経験を積むことが大事なので。その中で注目したいのが、6月に出場した三軍の5試合(スタメン4試合)で【10-3 3三振 5四球】と多くの四球を選べていた事

多少ボールの見極めが良くなったのであれば明るい兆しともいえる


#119 モンテル【育成1年目】

二軍成績:14試合 34打数8安打(二1,三0,本0)
8三振 0四球 1死球 1盗塁 2盗塁死
【打率 .235/OPS .522/ISO .029/K% 22.9/BB% 0.00】

三軍成績:11試合 40打数14安打(二1,三0,本1)
10三振 3四球 0死球 5盗塁 1盗塁死
【打率 .350/OPS .845/ISO .100/K% 22.7/BB% 6.8】


クラブチームや独立リーグを渡り歩き、入団テストでの高い身体能力を買われ入団

三軍で20打席以上立った選手の中ではトップの打率を記録。持ち味の足を活かし、5盗塁を決めるなど、二軍へのアピールも成功している

年齢(年度)で言えば、投手だと平良海馬、隅田知一郎、佐藤隼輔、野手だと古賀悠斗、西川愛也、高木渉と同じで時間の猶予が少ないのも事実。私の記憶だとライオンズは2014年に活躍した斉藤彰吾以来、代走中心の選手を使いたがらない印象【※それでも127打席に立ち、サヨナラ弾を含む、2本塁打を放っている】なので、足をアピールポイントにどこまで総合力を上げられるかがカギとなる


#122 是澤涼輔【育成1年目】

二軍成績:21試合 46打数11安打(二3,三0,本2)
11三振 1四球 1死球 0盗塁 0盗塁死
【打率 .239/OPS .706/ISO .196/K% 22.0/BB% 2.00】

三軍成績:6試合 14打数8安打(二2,三1,本1)
0三振 2四球 1死球 0盗塁 0盗塁死
【打率 .571/OPS 1.718/ISO .500/K% 0.0/BB% 11.8】


法政大学時代、ほとんど試合に出ていなかったにもかかわらず、育成指名されアマチュア野球に詳しい人も驚かせた選手

岡田雅利、中熊大智が怪我で長期離脱、齊藤誠人もコンディション不良からか出遅れたこともあり、早い時期から出番を得る。プロの世界ではこういった運も大事

流石に三軍相手みたいには打てないが、既に2本塁打を記録するなど、強く振ろうという意識が垣間見える

捕手を一人、支配下登録するとなれば、一軍経験のある牧野の可能性が高いが、是澤が契約を勝ち取っても驚きはない。とはいえ今シーズンは大いに経験を積んで欲しい


#123 ジョセフ【育成3年目】

二軍成績:12試合 17打数3安打(二0,三0,本0)
4三振 2四球 0死球 3盗塁 0盗塁死
【打率 .176/OPS .440/ISO .000/K% 21.1/BB% 10.5】

三軍成績:18試合 57打数17安打(二4,三2,本0)
8三振 8四球 1死球 3盗塁 2盗塁死
【打率 .298/OPS .833/ISO .140/K% 11.8/BB% 11.8】


昨シーズン途中からスイッチヒッターに挑戦、前年の秋季キャンプや春季キャンプを経ていないこともあり、転向当初は明らかにぎこちない動きだったが、2年目を迎えかなりスムーズな動きとなった

ちなみに今シーズン、二軍での対左(10-0)と元々の右打席で打ててない

ジョセフも時間との戦いとなってくる。正直言って7月までに支配下登録されることはないだろうし、首脳陣およびフロントに対し「もう一年見よう」というアピールが出来るか?


・まとめ


まとめを書いている時点でまだ「豆田泰志、支配下登録へ」のニュースをまだ目にしていませんが、遅かれ早かれ支配下登録はするでしょう。そして二軍降格後、バッティングにおいて精彩を欠いている柘植世那を見ていると、牧野翔矢も7月ギリギリには支配下登録されるはず

特に捕手は今オフのドラフト戦略においても重要で、今のメンバーから選ぶか、今年も改めて一人獲りにいくか。そうなると将来の大砲候補や粒ぞろいと言われる大学生投手は後回しかなど、何通りものシミュレーションが必要になります

森友哉の移籍と山川穂高の(表面上は)コンディション不良により、チームをイチから作り変えることになった松井監督元年、育成選手からの選手供給もチーム強化において重要な一面となりますので、ここからコアプレイヤーが生まれることを期待して見ていきたいと思います


では👋👋



参考資料






ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。