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フェギア1833の記憶

1.はじめに

 気付けば香水沼に転落して紙幣を燃やす日々を送っている今日この頃。皆様如何お過ごしでしょうか?
 私は、先日フエギアにて今年最後の香水を購入しました。
 フエギアについては、2019年夏に発売した「バジェ デ ラ ルナ」がかねてから気になっていたのですが、あまりにも見づらいWebページに「わ、惑星!?これは素人お断り系か!?」と怯えを抱いて以降ずっとご縁がなかったという経緯があります。

惑星(下図参照)

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 しかし、Twitterで香水賢者の相互さんがフエギアをおすすめされていたのと、香水沼どっぷりの友人が銀座店に行ってみたい!と言っていたのをきっかけに、ふたたびフエギアに興味を持ちました。そして、12月某日。友人と勇んでフエギア銀座シックス店に乗り込む運びとなったわけです。
 ちなみに、店舗に行く前に予習しよ!と思って、Webページをのぞきましたが各香水の匂いが一切想像できずに早々に諦めました。フエギアについては、様々な理由によりまずは実店舗に足を運ぶことをおすすめします。
 何なんだあのお洒落惑星図は!?(2019年とまったく進歩のない同じ感想)

2.フエギア銀座シックス店

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 さて、ワクワクどきどきしながら足を踏み入れたフエギア銀座シックス店!
 エスカレーターを昇ると、眼前に現れる異空間!それこそがフエギアの店舗です。
 弁柄色の土壁で囲まれた空間にはいくつものアーチ状の出入り口があり、薄暗い店内を橙色に揺らめく灯りが照らす様はさながら洞窟のよう!店内にズラーっと並んだフラスコ(フエギアではフラスコを用いて試香します)が圧巻です。一歩入るなり、異界の雰囲気を味わえます。良いですね〜好き!!
 この洞窟空間が好きな方はもう要注意ですよ。十中八九購入しちゃうね。私はそうでした。ガハハ。
 さて、私が来店した日は平日ということもあり然程混雑していませんでしたが、ご時世を踏まえて人数制限、検温、消毒などの対策がなされていました。混雑時は並んで待つかたちになりますので時間に余裕を持って行くのが◎
 そうして、入店するとすぐに店員さんから「どういった香りをお探しですか?」と訊かれました。私はサンダルウッドが好きなので「サンダルウッドを使ったものを…」とお伝えしたところ、なんとサンダルウッドを使った香水はかなり沢山あるとのこと!フエギアはウッディベースの香りが多いようです。さて、困った。前述のとおり事前チェックがまともにできていないので早速つまずく私。「なんかこう、甘くなくて、オリエンタルすぎなくて、できれば冷たい匂いで…」とまとまりのない要望を口走ってしまいました…でも、大丈夫!感じの良い店員さんが嫌な顔ひとつせずに、候補となる香水をひとつずつ丁寧に紹介してくださいました。助かる〜!!
 というわけで、次項から実際に試香した香水と購入に至った香りについてご紹介していきたいと思います。香水沼歴ピヨピヨ素人の感想なので、ゆる〜くお読みいただけると幸いです。

3.アンバー デ ロス アンデス


ウード、サンダルウッド、ジャスミン
アンデスの神秘の洞窟で発見された、太古の木材の透明でアクアテックな側面(公式より)

 これは、めちゃくちゃ好きな香りですね!!
 最後まで購入を迷いました…!肌にのせた瞬間にアンバーの匂いが立ち上がり、後には冷たく穏やかなサンダルウッドの匂いが広がります。
 まさに、アンデスの山々にしんしんと降る雪を思わせるような静かな香りです。
 ウードも入っているので、お香らしさも覗き神聖な雰囲気が感じられます。しかしながら、オリエンタルすぎないところが良いですね。
 サンダルウッドの香水といえば、やたらとオリエンタル寺!寺!寺ァ!みたいなものが多いですが(オリエンタル寺も好きです)、いつも寺になりたいわけじゃないのよ…でもサンダルウッドが好きというタイプの私に抜群にハマりました。
 また、温かみがあるサンダルウッドではなく冷たい匂いというのが凛として素敵です。
 はじめの香りの立ち上がりのアンバーがやや癖があって少し苦手かな?と思ったのですが、香りが馴染むにつれて気にならなくなりました。
 店員さん曰く「冬に綺麗に薫る香水」とのことです。
 いや〜これは正直今でも欲しいと思っているので軍資金が溜まり次第(いつになるのかな!?)入手したい気持ちでおります。

4.バジェ デ ラ ルナ

アイリス、サンダルウッド、アンバー
不毛な大地は最も起こらなそうな種のために肥沃にさせられる。月面に沿って成長するアイリス、異世界に属する砂漠。

 こちら、最も気になっていた香りです〜!名前をうっかり失念して「月の地名?みたいな名前のやつです」と意味不明な供述をしていまいましたが、バッチリ店員さんが案内してくださいました。感謝!!
 月の谷、の名を持つこちらの香水はアルゼンチンに実在する地名「月の谷」にちなんだものだそうです。月の谷ってロマンチック〜!サンダルウッドだし絶対好きでしょう!!と確信をもってムエットをもらおうとしたところ、店員さんに「こちらはかなり人によって香り方が違うのでぜひ腕に!桃の匂いがする方もいるようです」といわれて、腕にふってもらいました。ドキドキしながらくんくん嗅いだところ……灰!めちゃくちゃ灰の匂い!?!!エッ!?白檀どこいった?アイリスも掴めん!もはや灰っていうか廃墟の匂い!!私の腕どうした!?
 という感じで、こちらは残念ながら私の肌には合いませんでした…試して本当に良かった…どうやらサンダルウッドが綺麗に香り立つかどうかはかなり個人差があるらしい。というか桃の匂いがした御仁は一体どうなってるの!!私の肌では完全に灰よ。
ちなみに、気になってアルゼンチンの「月の谷を調べました」

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ええっ!?!!異世界やんけ!!!
この寂しくも荒涼たる風景…!なんかもう灰の匂いで合ってる気(?)がしてきた…
人によっては綺麗に薫るそうなので、ぜひお試しください。

5.Komorebi



ムスク、チェリーブロッサム、アンバーグリス
日本の光の概念。木の葉を透過した太陽の光の透明な交わりは、湿潤な空気の中で桜の音色を広げ琥珀色の風に突然遮られた。

 日本の桜の情景からインスピレーション受けてつくられた香水。木漏れ日、といっても光ではなく、光が当たってできる影をイメージしているそうです。
 陰翳礼讃的な感じですかね。
 瑞々しさを感じるフローラルな桜の甘い匂いにどこか動物みのあるムスクが馴染みます。優しくもどこか影のある美しい香りです。
(余談ですが、フエギアのムスクは全体的に一般的に想像しがちな柔らかい丸みのあるムスクとは異なり、僅かな荒々しさと獣の気配を感じました)
こちらは、四季を通じて使える香水とのことです。
 ただ、ちょっと私には甘すぎるかなーと思ったり。上品ですし、けっして甘ったるい匂いではないのですが、自分には今ひとつしっくりこなかったです。ちなみに同行してくれた友人に「もっと影のある匂いの方が似合いますよ!」言われ、「えぇ、影に影を重ねたら闇になってしまうのでは…」と思った。闇の女……!!
 しかし、とても良い香りだったのでまた季節を変えてチャレンジしてみたいです。

6.エットヘム


ブラックペッパー、サンダルウッド、シダーウッド
外が凍えるように寒いとき、火は居心地の良さを創る。最高の木とスパイスはようやくたどり着いたこの気持ちを祝福するためにここに集められた、、、そこは、ホーム。

 最後にご紹介するのがこちら!ストックホルムにあるホテルのために作られた、「アットホーム」という名を冠す上質かつ安らぎのある香り!!私は最後の最後にお試ししたこの香りが、つけた瞬間に「ピン!」ときて結果的に購入に至りました。
 温かみのあるサンダルウッドの上品な香りです。つけた瞬間は、ラムレーズンみたいな匂いがします。そしてだんだんと穏やかなサンダルウッドの温もりが広がってゆきます。木の温もりが、さながら凍てつく冬空から暖炉のはぜる温かい室内に入った瞬間のような安らぎをもたらしてくれるんだな〜。ブラックペッパーはほのかに感じる程度ですが、少しスパイシーさがでて◎です。
 とにかく落ち着く良い匂いという印象です!上品な香りでもあるのでつける場を選びません。個人的には近くよりも、やや離れた距離からの香り方が好みなので肘の内側につけています。派手さはないけれどつけるほどに癖になる。そんなお気に入りの一本です。

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7.おわりに

 さて、以上が初フエギアの振り返りでした。
 初来店にしてまんまと買っちゃったよ!チョロい!でも満足!!
 フエギアはお店の雰囲気と接客がとてもよいので、ぜひ気になる方は店舗に足をのばしてもらいたいです。数多並ぶ試験管の中からお気に入りの香りを探す作業はとても素敵な体験でした。
 また、宇宙仕様の成分表だけではいかんせん香りのイメージがしにくい(香料が3種類しか明記されていないこともあり)のと、サンダルウッドやムスクといった馴染みのある香料でも天然香料ゆえか、実際にかいでみるとかなり従来の印象と異なってびっくりしました。
 私はムスク系とお酒系の匂いはちょっと苦手だな〜と思いました。気になった香りはムエットではなく、必ず肌にのせて試すのがおすすめです◎
 フエギア、完全に個人的な印象ですが「獰猛かつエレガント」というイメージを持ちました!ほのかに野性味のある一癖ある香りの数々は、一見すると気難しくも感じるます。ですが、その中から自分にぴったりの香りに出会えたら他にはないやみつき感があります。
 今回購入した「エットヘム」は冬向きの香水なので、次はフエギアで夏向きの香水を探したいな〜と思っています。
ギラギラと燃える夏シーズンにまたお目にかかりたいと思います。


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