むこうぎしにてをふって
テーブルの上、瑞々しく張りつめた黄金色の宝石が、みっちり詰まって並んでいる。茹でて艶々になったそれは、綺麗にお皿に並べられて食卓を彩っていた。毎年夏だけのお楽しみ。
「あーっ! とうもろこし!」
大好物に姉がすぐ駆け寄る。祖母はその様子に笑って、ほら、と、私達に一つずつ渡してくれた。
「まだ熱いから気ぃ付けて食べな」
「ありがとう!」
姉妹でかぶり付くとうもろこしは、どんなごちそうより美味しいものだった。姉はよく器用に縦一列だけ食べ、そのあと親指の腹で、出来た溝に他の列を崩し