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鳥は先日、生きるか死ぬかの修羅場から抜け出したばかりだった。羽根は抜け落ち、青いグラデーションは汚れて乱れていた。そしてその瞳は冷え切り、凍えていた。 鳥は木々が多く茂った公園に一時的な居場所として住み始めていた。自分とはまるで違う生き方の鳥達の姿を目にする度に、鳥は知らず知らずの内に昔よく唄わされていた歌を口ずさんでいた。 強めの風が吹く春の日だった。その日、鳥は老人と出逢った。 老人は公園のベンチに一人腰掛けて、どこを見ているわけでもなくぼうっとしている。鳥は老人から