『犬好き』『猫好き』が嫌いっていう話。

 タイトルが全方位攻撃すぎますね。
 正確には『犬や猫が好きならすべてが許されると思っている人』が嫌いという話となります。

 いきなり脱線しますが、映画や漫画におけるネタバレってありますよね。ネタバレを知りたくないか、それとも事前に知っておきたいか。個人の好みだと思います。ネタバレを事前に知っておくことで作品をより楽しめるといった研究を以前目にしたこともありますが、私はネタバレを極力知らない状態で作品に臨みたいタイプです。

 ちなみにこの話を続けるにあたっての前提として、作品公開直後のネタバレに限定します。映画であれば劇場公開中の作品、くらいで考えておいてください。まだその作品をこれから閲覧する人が多いと想定できる状況ですね。

 さて、この場合、大きく分けて『ネタバレを知りたい人』『ネタバレを知りたくない人』の2パターンに分類されます。個々の考えはあれど、ネタバレ知りたくない派に対して、ネタバレ知りたい派が『ネタバレは事前に知っておくべきだ!犯人はヤスだ!』なんて耳元で叫ぶことなんて誰もしませんよね。少なくとも一般良識があれば。

 私はホラー映画が大好きで、心霊スラッシャーエログロ邦画洋画問わず観ます。映画あるあるとして、ピンチでも『赤ちゃん/子供は死なない』といったのがあるのですが、それらの垣根が取っ払われた映画も結構ありまして、この「果たしてこの赤ちゃんは無事に生き残るのか」というドキドキも込みで映画を楽しんでいます。もちろん赤ちゃんが死んじゃったら悲しいですが、それも含めて作品の魅力として楽しんでいます。

 ここで犬や猫の話に戻します。
 映画には動物が出てくることも多いですね。特に人間の良きパートナーとして犬や猫は抜群の登場頻度を誇ります。
 そんな彼らがホラー映画に登場したら? もしかしたら凶暴な人食いワニや、殺人鬼によって無残な姿にされてしまうかもしれません。犬や猫がかわいそうな目にあうのを見るのが嫌な人もたくさん居るでしょう。その気持ちはわかります。
 しかしながら、最近こういったシチュエーションにおいては『動物の生死はネタバレしても良い』という考えの方が散見されます。
『ネタバレ!犬は死にません!』というのが普段の生活の中で目につくようにあふれてくるわけです。

 私は思いました。

 ふざけるな、と。

 そういった動物の生死も、作品を楽しむための重要なエッセンスとして機能します。監督や脚本が~みたいな偉そうなことは言いません。あくまで私個人の感情です。私は、動物の生死の行方も楽しみに映画を見ます。
 そんな時に方々から動物の生死結末ニュースが出てきます。それも劇場公開された直後に。横からさも良いことしているかのような正義面ニコニコ笑顔でこちらの顔面をぶん殴ってくるわけです。

 ・・・さてね。こういったネタバレをする人の気持ちを考えてみたいと思います。この方々は犬や猫が好きでたまらないのでしょう。犬や猫が酷い目にあったり、あまつさえ死んでしまったりするなんて直視できない!耐えられない!こんな感じでしょう。順当だと思います。
 さらにはこのように考えているのでしょうか。
 犬や猫のような愛らしい可愛らしい動物がいじめられる様子を好む人なんていない!そんな奴は人間じゃない!そんな奴はごく少数!自分のようにまともな感性をした正義の仲間達に対して、犬猫が無事であることを広く伝えてあげないと!そうしたら自分のように清い心を持ったみんなは喜んでくれるでしょう!自分はなんて良い人間なのだろう!キャッキャッ!

 まぁ、かなり悪意がある書き方しましたが、要するにこういったネタバレをする方々の頭の中では、動物の生死の結果を伝えることはネタバレではないと認識されているのだと思います。

 昔からネット界隈においては、ネタバレにならない情報をあえてネタバレと表記するという遊びがありました。『ネタバレ コナン=新一』といったものですね。解説するまでもないですが、コナンが新一と同一人物なんてのは作品の大前提なのでネタバレでもなんでもないわけです。この遊びで重要なポイントは『ネタバレ』と書いているところです。ネタバレじゃないのにネタバレと書くからこそ面白みが生まれるわけです。

 『犬は死にません!』といったネタバレにおいても、取り扱いがこれくらいの軽さで繰り広げられているようにみえます。『ネタバレ!犬は死にません!』と書くのは、つまり動物の生死を本格的にネタバレとして扱うつもりがないわけです。だって公開直後の映画であえてネタバレ!なんて叫ぶ必要ないでしょう。
(無論、ネタバレという言葉でミュートしている人に対する配慮という可能性はあるでしょうが・・・本当にあるかな・・・?)

 今回、私の身近な例として映画のネタバレを使って解説したためネタバレに対する怒りの記事みたいになりましたが、違います。最初に書いたようにそこは個々の自由です。もうちょい配慮してくれと思うこともありますが、受け手側も自衛する方法だってあるわけなのでね。空気次第ですよね。
 そこではなく、ネタバレに限らず、『私は動物が好きだから!こんなに素敵なことをしちゃう!犬猫の生死結末情報拡散!』のような、本来であればマイナスとされる行動をすること。およびそれらが犬猫を盾にしていた場合に何故か許容、あまつさえ賞賛される傾向があること。
 この空気が気持ち悪く、腹が立つ。ただ、そういう話なのでした。

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