はじめて自分で大きい買い物をした

ずっとほしかったiMacを買った。Twitterで自慢したら、きらきらの絵文字つきで「おめでとうございます」と言ってもらえて嬉しかった。
私は気分の上がり下がりが激しい体質なので、買い物をするのがこわい。とくに今は春先なので、躁状態で浪費がしたくなっているのでは、と思うと心配でたまらなかった。「躁じゃないかな、躁じゃないかな」と同居人に何度も確認していたら「すごく心配してるから躁ではないと思うよ」と言われた。

1年延長した大学生活も今月で終わるというのに、私は自分のお金で大きな買い物をしたことがなかった。周りの友だちはみんな、ジャンジャン稼いでジャンジャン使っている。108万円ギリギリのバイトで稼いで、服とか楽器とか、アニメのグッズとかにお金をすがすがしくつぎ込んでいた。

私は大学生活に慣れてきたあたりで精神をやられてしまい、バイトはおろか大学にも満足に行けず、日常生活もうまく送れない状態に陥ったので、そういうお金の稼ぎ方や使い方ができなかった。
ベッドから動けないまま満足に入浴もできず、外に食料品を買いに行くのもむずかしい。だから食べ物は基本的にコンビニか出前になり、食費が妙に増えた。洗濯もできず、限界まで洗濯物がたまったところで、コインランドリーに持って行っていた。授業に出なければと思っても、ちょっとした距離を歩くとすぐに動悸や息切れが起こるので、単位を取るのにタクシーで大学に行かなければならなかった。
ちゃんと風呂に入り、自炊をして、こまめに洗濯をして体を動かしていれば、まっとうな人間としての生活を送っていればかからないで済んだお金が、水漏れみたいにして出ていくのがつらかった。かと思えば躁に入って、いきなりどうでもいいものにお金を使い出すときもある。体を壊す前はそこそこあった貯金が、自分の意志とは関係なく、どんどんゼロに近づいていくあの感じが嫌だ。だから今でも、自分のお金が減るのがこわい。

大学入学のときに買ってもらったノートパソコンの調子が悪くなったとき、Macを買おうとしたことがある。でもそのときは、一括で買えるくらいのお金がなくて、ローンを組むのもこわくて諦めた。アップルのカスタマーセンターのお姉さんもちょっとこわかった。
だけど、だんだん元気になってきて、外で働くのはまだむずかしいけれども、文章を書いたりいじくったりする仕事を在宅でさせてもらえるようになってきて、お金がたまるようになってきた。今月やっと、手元にあるお金が、体を壊す前の残高に追いついた。そして今月から、外に出て仕事ができるようになって、ぜんぜん多くはないけれど、しばらく先までの収入源も確保できた。今だったら、ほしかったMacを買ってもいいんじゃないかなと思えた。

正直なところ、10万円以上する買い物をためらわずできるくらいの余裕はまだない。こんなに大きな買い物もしたことがないし、それだけのお金が自分のところからなくなるのもこわい。でも、自分の意志でお金を使って、ほしいものを買ってみたかった。
稼いでいる人からしたら毎月使っているような額の買い物かもしれないし、自分でも後から考えたら、大したことなかったなと思うのかもしれないけど、いま、自分のお金を自分の意志で使って、自分のほしいものが買えたこと、お金を使ってよかったなと思えることが、本当に嬉しい。画面がすごくぴかぴかしている。

この文章は、新しいiMacで書いています。変換キーを押さなくても変換してくれるの、すごいですね。まだ扱いには慣れませんが、大事に使います。
あと、アップルケアにはちゃんと入りました(こわいので)。

餅井が明るく平和・健康的な暮らしをしつつ、よりよい文章をよりよいペースで書いていくために使わせていただきます。