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「バースデイ / ジンくん(プールと銃口)」について

※上記埋め込みプレイヤーの右上[↓]マークから音源がダウンロード可能です。

バースデイ

知らない星座ばかりの視界に、
オリオン座だけがはっきりとわかる。
知らないことばかりの世界で、
それで良いやって思った。

「幸せ、なんなんだ」なんて口ずさんでた夢。
僕らはもうきっと、とっくに知ってるんだ。

"こんな幸せ"がずっと続かなくても、僕らなら
どんな幸せだって作っていけると思った夜。
愛してるってしっかり伝えてみようかな。
こんな日くらいは。

今思えば悪口ばかりの
目も当てられない日々の先は
思ったよりも綺麗で。
この街も随分変わったね。

昔より星が見える気がした。

"こんな幸せ"がずっと続かなくても、僕らなら
どんな幸せだって作っていけると思った夜。
愛してるってしっかり伝えてみようかな。

最後には
「全部楽しかったね」
って、言って終わりたいな。

幸せの中で。

ある友達の話

2022/11/23(水)、高校の同級生でもあり、吉祥寺Planet KのPAでもある友達の結婚パーティーがありました。
高校時代は部活も一緒、お昼ご飯も毎日食堂に集まって食べていたような、"高校時代の1番の友達"の1人。

フォーク部(軽音楽部)で一緒にバンドをした思い出ももちろんあるけど、彼に半ば無理やり入れられた地学部(天文部みたいな感じ)での思い出は、実は自分の高校生活の物凄く大きなもので、
地学室に集まってアニソンをかけて踊ったり、屋上に入れる特権を使って屋上で遊んだり、でも星はろくに見ずにずっとマリオカートしたり、合宿では昼間にテニスをしすぎて疲れて肝心の夜星を見ずにダラダラ過ごして顧問の先生に怒られたり、顧問の先生の作ってくれるうどんがとっても美味しかったり、
基本的に学校に居場所のなかった自分達の、本当の居場所は地学部だったと思っています。

大学に進学してからは連絡もあまりとらなくなってしまったけど、彼が吉祥寺Planet KでPAとして働き始めてからはバンドとしてもたくさんお世話になって、大事な日を一緒に作ってくれました。
自分のやりたいことをしっかり選んで、力をつけて、頼られる存在になって、あまり改まって伝えたことはないけど本当にかっこいい友達です。

結婚パーティ

僕は高校の頃、思春期を拗らせて逆に恋バナ的なものを避けてきたタイプなので、そういえば彼ともあまりそういう話をしてこなかったため、
奥さんと付き合い始めたときも、SNSでうっすらと「なんか付き合ってんのかな?」と気にかける程度。
そういう意味では、結婚パーティに誘ってくれたのもちょっと意外で、
なんかお互い大人になったもんだね、と勝手に思い、嬉し恥ずかし照れつつ向かいました。

バンドをやっていると、「自分の主催のイベントに人を呼んで、自分の催しを楽しんで帰ってもらう」というそれはもう型式化されていて、「そういうもんだよね」と思ってしまう部分もやっぱりあるのだけど、
今回のパーティは彼と奥さんがバンドを掲げてでもなく2人で作り上げた1日で、純粋に2人を祝いたい気持ちのお友達がたくさん集まって楽しそうにしている様を見ていると、こんな1日が作れるのは本当にすごいことだなあ〜としみじみしてしまいました。(もちろん渦中にいたなりにずっと楽しく過ごしていたけど)

とっても楽しかったんだけど、結婚パーティの詳細をつらつら書いても仕方ないかなあと思うので、そこは割愛します。個人的に一番おもろかったのは餅つき屋さん呼んでやった餅つきタイム、臼にマイキングして餅をつくたびに滅茶苦茶なローがドゥン…って鳴ってたのが良かった。

曲について

本当に声をかけてもらえて嬉しかったなあ。素敵な空間だなあ。と思うと同時に、この気持ちは何かで残しておきたいなあ、と突き動かされるところがあり、
パーティー中にせこせこと歌詞を書き始め、帰宅後DAWに向かい作曲、深夜なので家で声が出せず、近くのカーシェアの車の中でボーカルを録音、
先ほど音源が仕上がりました。すごいスピード感!

今回はかなりしっかり詞先、歌詞を先に書き上げてからそれに対して曲をつけて行った形で、
曲的にも普段自分がやらないようなアプローチが多く、銃口っぽくはないし個人的に彼に宛てた曲なのでソロ名義にしておきました。

先に歌詞以外の話をざっくりしてしまいます。
とりあえず、バラードみたいな内容の歌詞の時に素直にバラードを書くのはつまらないと思っているので(トガっているので)そこそこアッパーな曲にしようとしつつ、
最近、制作のメイン機となっているフェンダーのスーパーソニックというギターのリアの音にハマっていて、「この曲はリア一発で仕上げちゃおう!」と自分にしてはパワフルな音作りでギターから作り始めました。

ギターを決めつつ、歌詞を書いていた段階でイメージしていたメロディをはめて、を繰り返して、ギターとメロだけの状態が最初にフル尺で出来上がり、
ドラムをつけ、ベースをつけ、声を録音して完了です。

彼のバンドの好み的にあんま明るすぎず男臭い感じの曲にできたらいいな〜と書き進めていったんですが、別にそういうニュアンスは出ず、
俺の「古いハードロック」「シンガロングある泥臭いエモ」のイメージの解像度の低さが露呈した気がします。
個人的には書いてて楽しかったです。サビとか、こんなダサくていいんだっけ??って思いながら書いたんですが、歌詞を優先した結果でもあるし大丈夫。

ちなみに内輪の小ネタなんですが、地学部の新歓のときに「地学部の歌」という、地学部に纏わりそうな曲(天体観測とかオリオンをなぞるとか君の知らない物語とか)をパロディしまくったオリジナル曲を作ったことがあって、
それのイントロのフレーズをギターソロの頭で弾いてます。ファズかけすぎてフレーズ掴みづらいけど…

個人的に曲として気に入っているポイントはCメロの終わり「この街も随分変わったね」でキュッとギターソロに翻し、「昔よりも〜」のくだりをギターソロの最後に持ってきたところ。
ここぞの時に出すめっちゃ好きなコード進行も使って、結構いい展開にできたかなあと思っています。
サビがリタルダントして歌と一緒に終わるのもやったことなかったから、「こういう曲あるよね〜!」と思いながら形になっていくのが嬉しかったポイント。

歌詞について

やっと(個人的には)本題となる歌詞について。

結婚パーティで感じたこと、まず一つ目は
「幸せってなんなんだ?」という疑問。
これはマイナスなニュアンスではなく、改めて考えるきっかけになったという話です。

「結婚」についての現代の価値観の変容は、もうわざわざ1から書く必要もないくらいみんなの肌感覚として持っているものな気がするのでそこは割愛しますが、
結婚って、2人の間で「何を幸せとして、何を不幸せとするか」が擦り合わされていないとできないことだと思うんですね。
その点、新郎新婦の2人は「自分達の幸せ」をしっかりと掲げて、皆も皆でそれぞれの尺度で彼らの「幸せ」をお祝いしていて、
僕も自分の「幸せ」の価値観と改めて向き合うことになりました。

知らない星座ばかりの視界に、
オリオン座だけがはっきりとわかる。
知らないことばかりの世界で、
それで良いやって思った。

彼とは地学部時代の思い出もあるので、星の話から始めてみました。
星空って、見上げてもオリオン座くらいしかわかんなくないですか?
元地学部だけど別に星にそんな興味があったわけでもないし、俺は未だにオリオン座くらいしかわからないんですけど、
別にそれでも星空は綺麗だし、オリオン座に対する思い入れだってないことはないし、
この尺度でも全然星空を見上げるなりの幸せは感じられていて、
幸せってそういうことでいいと思うんですよね。

結婚っていろんな捉え方があるけど、「もう貴方しか愛しません」という大きな約束で、
そうやって1人だけを愛することの素敵さって、個人的には脆くもあると思ってしまうんですが、
「あなただけがいれば、他のことはどうでもいいや!」って思えるような瞬間って、とてつもなく素敵なことだなあと思います。

星空を見て真っ先にオリオン座が目に入るように、
他の知らない星座を有象無象としてしか知覚できないように、
例えばどんな人混みの中でも、愛している人は見つけ出せるような気がします。

「幸せ、なんなんだ」なんて口ずさんでた夢。
僕らはもうきっと、とっくに知ってるんだ。

こちらはBase Ball Bear「YUME is VISION」のサビからの引用。
メロもそのまま持ってきています。大胆!

原曲の文脈は一旦置いといて、結婚を選べた2人ならもう自分たちにとっての「幸せ」に気付けているだろうと思うし、
俺も俺にとっての幸せを知っているので、日々幸せに生きられています。嬉しいことに!

"こんな幸せ"がずっと続かなくても、僕らなら
どんな幸せだって作っていけると思った夜。
愛してるってしっかり伝えてみようかな。
こんな日くらいは。

縁起でもないように聞こえるかもだけど、幸せって一つの形のままずっと続くことって無くて、
「こんな日々が一生続けばいいのになあ」なんて本当に夢でしかなく、人は死んでいきます…
でもそれは全くマイナスなことではなくて、きっと2人の幸せの形もそれを取り巻く環境もいい意味で変化していくし、
その変化を一緒に楽しんで乗り越えていけるのが生涯のパートナーなんだろうな、と思います。

これから歳を取っても、環境が変わっても、この2人はその時々の幸せをちゃんと作っていくんだろうなと、
今日新郎新婦が作ったあの空間を見て思ったので、そんなことを歌詞にしてみました。

思わず愛してるって言いたくなるような日だった!

今思えば悪口ばかりの
目も当てられない日々の先は
思ったよりも綺麗で。
この街も随分変わったね。

昔より星が見える気がした。

結婚パーティで感じたこと、二つ目は
「お互い大人になったねえ」というしみじみとした実感。

新郎からもらった手土産に添えられていた手紙に「今思えば悪口ばかりの高校生活だったけど、おかげで楽しかったよ」みたいなことが書かれていて、
ああ、俺たちはもうすっかりあの頃の自分とは違うんだなあ、と改めて実感した次第です。

本当に、本当に人の悪口のみを話題としていた高校時代、俺は歳を取るにつれて「このままじゃダメだ」と思うようになり、アウトプットはもちろんそもそもの考え方や価値観のレベルで大変革を成し遂げたのですが、
きっと彼も彼なりに、今日に至るまでいろんなことを考えて実践して成長してきたんだと思います。
別にあの頃はあの頃で100%楽しかったけど、こうやって成長した未来で結婚をお祝いできるなんて、あの頃は想像もしてなかったからなあ。

お互い、あのまま腐らずにちゃんとやることやってきて、結果としてこんな素敵な日に集まれて、これからもそれぞれの素敵な日々が待っていて、
また交わったり交わらなかったりして、そういう友達がいることが本当に嬉しくて、
そしてそれを嬉しいと思える自分であれることも嬉しくて、
なんだか自分が暮らしているこの街ごと、愛おしいように思います。

地学部だったころは望遠鏡覗いてもろくに見えなかった、見ようともしていなかった星も、今はふと見上げれば結構輝いていて、オリオン座を見てちょっと嬉しくなったりする、
これが「大人になる」ということなのだとしたら、大人になるのも悪くないですね。

最後には
「全部楽しかったね」
って、言って終わりたいな。

幸せの中で。

友達の結婚を受けて、思ったことを曲にして、
その曲の解説に託けて、結局全てを文字に起こしました…
約5,000文字だそうです。長いなあ〜

この曲、あんまりにも個人的な思いを個人的に形にした感覚が強くて、
手紙みたいだし、それにしては自分語りだし、曲ってこんな感じだったっけ?と不安になっています。
ただ、自分の価値観を面白がってくれたり共感してくれたりときめいてくれたりする人が確か世の中にはいるはずだし、いずれの自分に対して残しておくという意味でも、今回はすべて公開しておきます。

先ほどこの記事の公開に先駆けて、本人にはこの曲とメッセージを送りました。
深夜も深夜だったし、まだ反応は帰ってきていませんが、
少しでも喜んで、「他人から曲を贈られる」というケースを面白がってくれたらいいなあと思います。なかなかないからね。

人生にはいろんな選択があって、いろんな苦難もあるけども、
今日の結婚パーティのように、俺と彼の思い出話のように、
最後には「全部楽しかったね」と言って終わりたいな。
彼らにとってこの結婚はその大きな一つになると思うし、
俺もこれから、いろんな幸せを選んでいくんだと思います。

結婚はもちろんゴールでもないし、別に実際のところ改まってスタートって訳でもないと思っていて、
日々は今まで通り刻一刻変化しながら続いていって、たまに今日のことを思い出したりして、
経過点の一つにしては随分素敵で、確かにみんなの中で何かが変わった日。
そんな1日を受けて書いた曲なので、概念的にバースデイという名前をつけてみました。

改めて、これからの2人の生活が色んな幸せで溢れるものになりますように。

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