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第7話:そして始まったペーパー対策

この話は、行き当たりばったりで小学校受験をする事になり、バタバタ受験をした結果無事私立小学校に合格するまでの受験反省ストーリーです。前回の話はこちらから:

これまでは頑なにペーパー対策をしてこなかった我が家。

途中まで順調であった模試の点数(=選抜クラスへ上がる最低条件)だったが、ペーパーが敗因となってまさかの下降を見せ始めてしまった。

このままではベテラン先生の授業を受け続ける事になる・・・!!と、ついに重い重い腰を上げてペーパー対策を始める我が家であった。

下に兄弟がいる状態でペーパー対策をする大変さ

いやいやペーパーなんて30分もあれば終わるでしょ?隙間時間にシュッとやりゃいいじゃん、と思われると思うだろうが・・・意外と終わらないのだこれが。下に兄弟がいる時は特に。

まず、始めるまでに時間がかかる。クーピー、クレヨン・えんぴつ、ブロックなどをもろもろ用意する。下の子が一人で遊んでくれるよう気分を乗せておもちゃを用意する。上の子を呼んでもあれやこれやと脱線してなかなか来ないので、椅子に座らせるまでも時間がかかる。その間に下の子飽きる・・・の繰り返しなど、準備をして椅子に座ってもらうまで大体10分・・・いやひどいと30分もかかる。

次に、ペーパーの問題文は全て読み上げなければならないので、親がつきっきりとなる。いざ始めたら始めたで、今度は下の子の合いの手が入る。あれとって、これとって、おむつ交換、危険行為の阻止等、おちおち問題文も読めないし、問題を解いている間の娘も見られないので、どこにつまづいているのかがいまいちわからない。

そして問題を間違えた場合、すかさず正解を解説をするのが理想なのだが、、、先程の様子でわかる通り、そもそもどこでつまづいているのかわからない。娘に聞き取りをするも、「うーん・・?」と歯切れの悪い答えしか返ってこない。らちがあかないので、かなり易しいレベルに噛み砕いて質問をするも「うーん?」と更に歯切れの悪い娘。しかも間違える。だんだん苛立ってくる親。

そんなこんなやっているうちに下の子が飽きる。かまってサインも限界なので、伝家の宝刀、テレビをONにして静かにしててもらう作戦。するとテレビを覗き見せんとす、娘。

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貴様ァァアアアアアアア!!誰のためにぃいいいい!(いや本当誰のためだよ)

ちょっとちょっと!説明するよ!と娘の意識をペーパーに戻し、ブロック等を使って丁寧に図形の問題を説明し、娘がわかっているか見る。焦点の定まらない娘。

なんとか横目でテレビを見ようとする娘。

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こっちを見ろぉおおおおおおおおおおおお!!!

今の説明聞いてた?と聞くと案の定、歯切れの悪い娘。(そりゃそうだ)テレビが見えない位置まで机ごと移動してから、気を取り直してもう一度説明する。ここでなんとなく理解。(ひどい時はそれでも集中力散漫である)

・・・とまあようやくこれで一問解いた、という感じなので、下に兄弟がいる状態でペーパー対策をする事は、かなり無理ゲー状態であるし、親の苛立ちたるや凄まじいものである。

子どもが問題を解けないのは仕方ないのだ。それは親だってわかっている。しかし子どもは解説を聞こうともしない。親が色々な工夫を施して確保したペーパー対策の時間を、子供は一切求めていないし、そんな事よりテレビが見たいのだ。それを我慢できるような年齢でもない。

しかも、以前解説した問題を何度でも間違える。昨日丹精込めて解説したはずの問題が、今日もできない。むしろ昨日できていた事さえも今日はできない。そんな事は日常茶飯事である。

「期待しない」にも限度があり、こちらの努力と子供のモチベーションが全く噛み合わないので、もはや誰一人ペーパーをやりたくない状態なのである。よく勉強で言われる「自分からやりたがるまで待つ」作戦も、たかだか5、6歳の子供には通じない。

最終的には下の子にはiPadを持たせて完全放置、という形に落ち着いてしまった。この時ばかりは仕方なかったのだが・・・この状況を作り出している小学校受験業界を当時は恨んでいたものだ。

下に兄弟がいてもペーパー対策ができたタイミング

とはいえこんな事ばかりやっていると下の子がデジタル漬けになってしまうので、iPad放置時間を短縮すべく我が家では以下の3つのタイミングを狙ってペーパー対策を進めていた。

1.朝ごはんを食べ終わってから幼稚園に出発するまでの時間
朝はパパがいて大人の手が2つあるので、一人がペーパーを見て、もう一人が下の子を相手をするようにしていた。ここをパパに担当してもらえると色々とメリットが大きいのでオススメできる。のちのちヒートアップしてきた時に、一歩引いた立場の人が教えられるのは子供にとってとっても良い。また、父母間の協力体制が出来上がるので、母親だけが小受に奮闘して消耗する、という状況になりにくくなる。

2.休日
休日はパパがいるため、上記と同じ理由でペーパー対策が進めやすい。

3.下の子のお昼寝タイミング
規則正しく寝る子なら期待できるタイミングである。ただ我が家の場合、下の子のお昼寝タイミングはまばらであった。運良く寝たからと言って、「ハイ、ペーパーやるよー」と即切り替えるのも難しいので、あったらラッキーくらいのボーナスタイムである。

他にも、下の子が寝たあとなどのタイミングもあるにはあるが、我が家ではこのタイミングでは行わなかった。眠い脳にムチ打ってペーパーやろうとしても不正解率半端ない。就寝直前に親子ケンカして嫌な気持ちのまま寝るのも嫌だし、何よりも子供は早く寝るに限る!!(そして親が休む事も大事!)

我が家が実践したペーパー特訓方法

そんなこんなで下に兄弟がいると障壁はありまくりだが、「できないできない」と嘆いても模試は待っちゃくれない。できる事からやるしかない。上記のようなタイミングや、下の子にiPadを渡したりしながら、ちょくちょくペーパー対策を進めた。超絶出遅れた分、我が家なりに工夫してペーパー対策をしたので、特に苦戦しやすい部分の参考になればと思い、対策方法を以下に残しておく。

左右系の問題と我が家の特訓方法

突然だが、普段の生活において「右」「左」は意識して言葉にして使っているだろうか?実は私自身が左右をろくに覚えないまま社会人になってしまったくらい、左右を気にせずに生きてきた。そんな私に育てられた娘も当然、左右の把握は苦手であった。

しかし、小学校受験では左右がよく使われる。

・右手を挙げている子に丸をつけてください
・自分の家からまっすぐ歩いて、最初の交差点を左に曲がった先がくまさんの家です。くまさんの家に丸をつけてください。
・右足けんけんしてください。そのあと左足に変えます。

などなど・・・ペーパーではもちろん、サーキットでも左右が出てくるのでパッと把握できなければならない。(さらに、鏡にうつった右手はどれ?なんて問題も。。)

今から受験する親子がいるとしたら、日頃から「右」「左」を意識し、「次のとこをそっちに曲がろうね」ではなく「次の角を右に曲がろうね」など指示語を使わない会話を意識して生活する事をオススメする。左右は一朝一夕では覚えられないので、長い時間をかけて覚えていくしかない事の一つである。

普段から子供の右手首にだけ髪ゴムなどをつけて「こっちが右」と覚えると同時に、自分(親)の右手首にも同様の髪ゴムをつけておくと良いかもしれない。自分の右はわかるが、ペーパー上の子の右はわからない、という事が多いので、他人の「右」がわかるとなお心強い。モノクロよりも色があった方が記憶に残りやすいという説もあるので、カラフルな髪ゴムをオススメする。

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旗あげゲームなども左右の練習になるので、オススメである。

図形問題と我が家の特訓方法

娘は、空間認識や図形の問題は得意であった。昔からパズルや工作が好きであったので、イメージしやすかったのだろう。間違えた所も解説すればすんなりと理解できたし、やればやるほど正答率も上がっていった。

空間認識系の問題は、間違えてよいので、間違えたあとの解説でいかに、回転だったり視点移動する様子を見せられるかに限る。私はブロックや紙で実演してみせたが、mayaなどの3Dモデリングソフトを扱える親御さんがいたらぜひ見せてあげて欲しい。

お話問題と我が家の特訓方法

長い話を聞いたあと、話についての質問がいくつか出題される方式である。きっと小学校受験をするような家庭は絵本の読み聞かせを昔からしており、あまり苦戦しない家庭が多いのではないだろうか。

普段から絵本を読んでいれば、最後まで聞く事に問題は生じないと思われる。ただし、ただ話を聞くのと細部を覚えておくのでは、神経の使い方が異なる。聞いた話をいかに絵としてイメージできるかが大事なので、家でペーパーの話を読んだあと、一度で良いのでお話の挿絵を一緒に描いてみる、というのが効果的でオススメである。(子供に描かせなくとも、子供から話を聞き取りつつ、親がササッと描いてしまうのでOK)一度やるだけでも、「イメージの仕方」が具体的に見えるので、細部の覚え方のヒントになる。

季節系の問題と我が家の特訓方法

書店で売っているような小学校受験用の季節フラッシュカードなどで手っ取り早く覚えるのもアリだが、時間があれば体験できるのが一番である。正月、節分、お花見、潮干狩り、七夕、盆踊り、海水浴、お月見、クリスマス、大晦日など…一年にはたくさんの行事、そしてそれに伴う無数の道具や植物がある。一度体験する事によって「ほら、あの時の…」と子供も思い出しやすくなるし、後に絵画制作等にも役立ったりするので、やはり体験するのが一番。・・・でも時間がなければフラッシュカードで!

大きく4つに分けた模造紙を壁に貼り、覚えていった季節のものをペタペタと貼り付けていくのも、視覚的に理解できて良いかもしれない。

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ペーパーでカンニングしない特訓

これはお教室に通わないと対策できない事の一つである。子供なので、わからない問題があった時は、ついつい隣の子をチラ見したくなるのは仕方がない。何を隠そう、わが子も最初の方はめちゃくちゃチラチラ見ていた。「間違えても大丈夫だから他の子だけは見ないように」「見た所で隣の子が合っているとは限らない」と繰り返し教えるのも大事だが、一度模試で実際に「隣を見ない」の項目で×をもらう事によって「ほらね、チェックされてるよ」と一度あえて失点させるのも手である。

以上、我が家が苦戦したペーパー分野への対策方法である。とはいえ今までペーパー対策「ゼロ」から「人並み」くらいに増やしただけなので、劇的に点数が上がる事は期待していなかった。

それでも爆上がりした偏差値

期待はしていなかった。・・・が、人はやるとやらないとでは本人の自信が違うのか、次の模試に向かう時は、ものすごいやる気で模試会場へ消えていった。帰ってきた時も「すっごいできた!」と自信満々であったので、私達は少々期待を抱きながら結果を待つこととなった。

ソワソワする事約1週間。郵送されてきた模試結果を開いてみると・・・

偏差値、上の下!!!

いよっっしゃあああああああああああああああああああ!!!!!

ついに「選抜クラス」へ上がる条件の一つを満たしたので、選抜の授業を受けられる!!!

次の日がちょうどお教室の日だったので、早速担任であるゲンキ先生に時間をもらい、相談に行った。まずは模試で目標となる点数をとった事を報告し、その後現状のクラスに対する印象や今の気持ちなどを話した上で、選抜クラスへ移れないかと交渉してみた。

ゲンキ先生「娘さんですね、はいはい、もう2回、偏差値目標超えてますよね!娘ちゃんなら全然問題ないと思います!来週からハキハキ先生の選抜クラスに移りましょう!」

私達「ありがとうございます!」

・・・と、思ったよりあっけなく快諾されて「おや、もしやもっと早く交渉すればよかったのでは???」と内心拍子抜けしたほどであったが、とりあえずはめでたし、めでたし。

そして・・・

えっ2回?

そう。実は条件は目標値を1度ではなく、「2回連続超える」事が条件だったので、本当は条件は未達成だったのだ。でも先生は「全然問題ない」と太鼓判を押していたし勢いでもう決定してしまったし・・・。なんならもっと早く交渉しても良さそうな雰囲気だったし・・・

ま☆いっか!

ラッキー!

って事で無事、次週より選抜クラスに移る事になりました。

続く!

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最後小ズルい感じで選抜クラスに上がってしまいましたが・・・実は、私達はこれで断られていたらお教室を辞めるつもりでいました。

前回の模試が帰ってきた時に、その生まれ月別の平均点を見て驚愕したのですが・・・4月生まれと3月生まれとでは、ペーパーの平均点が10点以上も離れていたのです。つまり偏差値を「上の下」くらいまで上げるには、4月生まれと肩を並べて競わなければならないし、3月生まれの中では上位に組み込むくらいのイメージでないと、目標値に届かないという事がわかってきました。

この事実に気づいた頃、私達は「次の模試で点数がとれなくても、それでも交渉する」と決めていたし、もしそれでも選抜クラスにあげてもらえないようであれば、さすがに時間の無駄になるので「お教室は辞めよう」と考えていました。

というのも、娘はペーパー以外の項目は結構こなせていたし、普段の幼稚園生活の方が受験レベルとしては高かったので、お金を払って普段より低いレベルの教室に通う意味が見い出せなかったのです。元々「ペーパーはできなくてもOK」と考えていた私達にとって、4月生まれを含んだ偏差値で高得点を得る条件自体が理不尽に感じてしまっていました。

結果的には良い点数を出せたので結果オーライでしたが、、ただでさえ始めるのが遅かったのに3,4ヶ月もったいないことをしてしまったなぁ、と今なら思います。

メンタルが全ての小学校受験

ところで、今回あたかもペーパーの点数を上げられたから偏差値が爆上がりした!!!みたいな流れで書きましたが・・・実はペーパーに関しては、元々平均よりだいぶ下だったのが、平均よりちょい上に行ったくらいでした。(我が家的には爆上がりっちゃ爆上がりなのですが)それ以上に、実は今回の模試、ペーパー以外の部分がほぼパーフェクトだったのです。

これは後々実感する事なのですが、小学校受験はメンタルが全てです。メンタルを制すものは受験を制すと言っても過言ではない。その時、自信が持てるか持てないかだけで試験の出来はめちゃくちゃ左右されます。直前にケンカしたり自信を失えばメンタルはガタ落ちだし、逆に「なんでもできる!」くらいに自信つけて行った時はかなり高得点を叩き出します。

メンタルが良い状態にあると、集中力が出ます。思い切りが良くなります。自信が態度に出ます。声も大きくなります。「できている」事を実感して、更に良い結果を招き、今までできなかった事もできたりします。

そういった意味では娘はすごいラッキーな事に、本番大好き人間でした。舞台に立つのが最高に好きなタイプ。普段そうでもなくても、本番だけは神がかったパワーを発揮するタイプでした。

なので、今回の話で高得点を叩きだした模試は、実はペーパーの点数だけではなく、当日のコンディションが最高に良かったから、という要因も大きく影響していたようです。

それではまた次回!

次回はストーリーから離れ、私立小学校に対する入学前の印象と、実際入学してみてどうだったのか、についてまとめました。

それよりも次の話を!という方は以下からどうぞ^^


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