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第13話:いよいよ迎えた本番

この話は、行き当たりばったりで小学校受験をする事になり、バタバタ受験をした結果無事私立小学校に合格するまでの受験反省ストーリーです。前回の話はこちらから:

いよいよ11月も目前に迫り、都内の小学校受験日が解禁される。我が家が受験する学校は私立・国立含め計5校であった。受験スケジュール順(≠合否発表順)に各学校を紹介しておこう:

学校A(私立):倍率が高いので、胸を借りるつもりで受ける学校A。あとに続く本命校を迎える前に、娘・両親、共にガチガチ感を払拭しておきたかった。

学校B(私立):倍率が鬼高いが、雰囲気が肌に合う気がしたため受けることに。本命というにはあまりに現実味が無さすぎたが、一応本命校。(東大を目指していればどこかしらには受かるだろう方式)

学校C(国立):現実的な第一志望。ずっと難易度の鬼高い私立Bの対策をしてきたので、過去問を見る限り試験のレベルは大分マイルド。考査も面接も心配していないが、何よりも心配なのが2回に渡る抽選で振り落とされないかどうか。ただし抽選の倍率はそんなに高くないと聞いていたため、自分は漏れなく受かるとなぜか思い込んでいた。

学校D(国立):「国立は抽選があるので弾数が多い方が良いわよ!!」との先輩ママの教えに基づき、受けることにした国立B。著書を読むと共感できるが、学校自身からの情報量が少ない。そして倍率が鬼高い。試験も考査もなかなかハイレベルらしい。

学校E(国立):国立はたくさん受けとけ!!方式で加えた志望校。ペーパーが無い。考査および面接は問題ないだろうとは思うが、抽選の倍率がもはや宝くじレベル。おそらく、この学校を受ける誰もがそんな感覚であるが、かなり良い感じの学校であると耳にする。

以上が我が家の受けた5校である。数だけ見れば5つも!・・・と思われるかもしれないのだが、5校中4校は倍率が10倍超えである学校だったので、本当に計画性がなかったなと11月になって気づいた。(遅)

いよいよ前日

待ちに待った11月に突入し、あっという間に試験日前日を迎えた。ここまで来るともうできる事もできない事もどうにもならないので、腹をくくるしかない。

前日の私の脳内は試験一色で、忘れ物はないか、受験票は紛失していないか、タイツは破けていないか、親と子のスリッパはあるか、ハンカチ&ティッシュはあるか、とにかく忘れ物が一番怖い。何度も何度も考えてしまう。乗るべき電車は何時か、混んでいるのか、遅延したらどうするのか、など交通手段のシミュレーションもつい何度も重ねてしまう。

明日のことばかり考えていて落ち着かなかったので、一度紙に書き出してみることにしたのだが、書き出しているうちに、ある事を思いついた。

試験大成功のイメトレ

その夜、寝かしつけの絵本は軽めに終わらせ、昼間に書いた明日のプラン用紙を娘に読むことにした。できるだけ緊張が伝わらぬよう日常感を出しつつ過ごしたが、それでもやはり子供に多少なりとも感じ取るものはあるだろう。不安なのは親も子も一緒である。ならばいっそ明日の流れを一つ一つ確認していくと落ち着くのではないかと思った。明日の試験プランを子供と一緒に読んで、イメージトレーニングをする事にしたのだ。ただし、ただ羅列したものを読み上げるのではつまらないので、娘を主人公とした物語風のお話にして読み聞かせた。

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朝起きて眠いがなんとか目を覚まし、電車が混雑していて身体がギュウギュウになるが頑張って我慢したり、サーキットの順番が先頭で焦ったがバッチリこなせた、面接では怖くて声が小さくなりそうだったけど思い切って大きな声を出せた、など、想定されるトラブルを取り上げつつ、それをうまくこなしていく自分を想像させた。

イメトレの効果もあり私も娘も安心し、その日は深く眠ることができた。

学校Aの試験日、朝

学校Aから指定された試験日時は早かった。脳が起きてからフル稼働するまでには最低2時間は必要と聞いた事があったので、当日は空が暗いうちに起きざるを得なかった。当然、めちゃくちゃ眠いのだが、シャワーに入って目を覚ます。寝癖も治るし目も覚めるので一石二鳥であった。

朝一のグループだったのか、とにかく時間が早かった。通勤ラッシュの時間とバッチリ重なり、都内のサラリーマン&ウマンに紛れて紺スーツ親子が満員電車に突入する羽目になった。

・・・が、これは想定済みであった。前日のイメトレを行っていた事もあり、娘は動じる事なく満員電車に乗り込んだ。それどころか、めったに経験しない状況を楽しんでさえおり「あはは見て、足一本でもたおれない〜」などと遊んでいた。つくづく本番に強いヤツである。

同じ車両内に、我が家と同様の受験生親子がいたのだが、満員電が不快すぎて子供が泣き出してしまっていた。このタイミングで泣いて果たして本番までに持ち直せるのか・・!?と健闘を祈るしかなかったが、内心、イメトレやっといてよかったあああああと思っていたのを覚えている。

学校への道のり

緊張感が伝わらないようにできるだけニコニコしながらお気楽な調子で学校に向かった。娘も緊張していない風だったが、いつもよりピシッとしていたし口数も少なく、実は緊張しているのだろうなと感じた。能天気な娘でさえ緊張している。。本番ってすごい!

しかし・・・学校までの道のりをたどりながら、改めて思ったことがある。それは娘は緊張して初めて完成するということだ。普段のやや多動気味な行動にピリッとした緊張感が加わることにより、とっても良い感じになる。まるで落ち着いている子みたい!!!(←普段違うんかい)そして同時に、この緊張感が有限である事も想像できた。緊張感をもってくれるのもよくて3、、いや2校くらいかもしれない。早めに本命校を持ってきておいてよかった。

忘れ物の発覚

学校について手が震えそうな所をぐっとこらえつつ受験票の受け渡しを済ませると、待合室に案内された。しかし、ここで私はある忘れ物をしてしまった事に気づく。それは、子供の暇つぶし道具であった。自分のはもちろん持ってきていた。子供の試験中、親が待機していないといけないのはわかっていた。・・・しかし、到着してから案内があるまで、子供も静かに待っていないといけない事は、完全に失念していた。

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周りは想定通りというように、折り紙、お絵かき帳、絵本などそれぞれ何かしら持ってきてた。私は苦肉の策で、ハンカチを取り出して折り紙代わりにし、なんとか5分ほど遊んでやり過ごした。幸いにも早めに声がかかったので、無事何事もなく娘を試験に送り出すことに成功した。

整列して初めてわかった、早生まれの特徴

娘を送り出す際、教室にいた全員が一度ピシッと並ぶのだが・・・この学校、ある程度の月齢別に分けて試験を行う学校であった。よって同じクラスの子達はおそらくみんな同じくらいの月齢であるのだが・・・

早生まれ、落ち着き無ェ〜〜〜〜〜

ゆらゆら、ぴょんぴょん、キョロキョロ、、、

全員ではないにせよ、少なくとも半数近くがちょっと落ち着きない様子。今まで通っていたお教室ではありえない光景だ。お嬢ちゃん達、今から試験始まるけど大丈夫!?と思わず言ってしまいそうになるような圧倒的フワフワ感。

・・・なんだ、


うちだけじゃなかったのか。

心底安堵した。いや、それどころか、これならいけるかも!!!と思ったのを覚えている。もちろん、娘もいつもであれば同じような状態なのだが、今日は程よい緊張感が加わっているため、いつもよりピリッとしている。バシッとしている。めちゃくちゃ落ち着いて見える。人生初めて抱く感想である。

今まで月齢関係なくクラスで過ごしていたため、追いてかれないように追いてかれないようにと前ばかり向いていたが、どうやら3月生まれとしてはなかなか良い感じに仕上がっていたのだと思う事ができた。

待ち時間の間の親の思考

娘が試験に出かけている間、親は各々待合室で時間を潰すのだが、この時の過ごし方について、先輩ママからアドバイスをもらっていた。すなわち、「本の内容なんて何ひとつ入ってこないから、作業系がオススメだよ」と。それでも私は一応真面目そうな書籍を一冊持参して行ったのだが・・・

本当にそのとおりだった。

本を読めど読めど1行も内容が入ってこない。今ごろ何してるかな・・・大丈夫かな・・・と気になって仕方がない。時折聞こえる笛の音や子供の歓声に全神経を集中して聞き耳を立ててみるが、もちろん何もわからない。どうしてるかな・・・と思いを馳せる。ループ。

それにしても、胸を借りるつもりで受けた学校Aだったが、受けている間にすっかり志望度が変わってしまっていた。実はこの学校、他行事と日程が重なった事もあり説明会に出席しなかったほどの志望度だったのだが、受付スタッフ含め、先生方を観察していると十分に質の高い教育が期待できそうだと思った。校舎の作りは自体はごく普通のものであったが、不思議とそこで生徒が活き活きと活動しているであろう素直さ、力強さみたいなものを感じとる事ができた。

胸を借りるつもりで受験しに来たが、案外ここもなかなか良い学校なのかもしれない、と思い直していた。(←どこから目線だよ)

退出

試験を終えて帰ってきた娘は、自信に満ちあふれて輝いて見えた。子どもがこの様子で帰ってくる時は今までの経験上、いかんなく実力を発揮できた時だ。とりあえずは不完全燃焼で終わってしまった、という事態だけは免れたようだ。

のちに娘から詳しい試験内容を聞いたが、本当にこれ以上ないほどの出来であった。少なくとも娘の良い所はしっかりアピールできた感があったので、これで駄目ならば本当に合わないという事だろう!と謎の達成感につつまれていた。

結果待ちにふわふわソワソワした1週間

練習校としてスタートしたつもりのA校だったが、予想以上の手応えに期待がふくらんでいたし、思っていたよりも好印象な学校であったので、え、もうここ受かったらここで良いんじゃない!?くらいまではテンションが上がっていた。(小学校受験あるある:めんどくさくなって志望度の逆転)結果までの日々はかなりフワフワした気持ちが続いた。

・・・とはいえ冷静になればまだ試験は始まったばかりで、他校の試験日は着々と近づいてくる上、国立の抽選もぼちぼちスタートする。

そわそわした気持ちを押し殺しつつ、家では引き続きペーパー対策やサーキット練習を続けていた。次に試験を迎える本命校・私立B校はペーパーが難しい事が予想されていたため、過去問にチャレンジしてみた。・・・が、全然できなくて改めて撃沈した。そんな日々をしばらく過ごした。

学校C(国立)の1次抽選

A校の結果がまだ出ないうちに、せわしなく今度は国立であるC校の抽選日がやってきた。この抽選にまず通らなければ受験することさえ叶わない。我が家の中ではこのC校が現実的な本命校であり、せめて最初の抽選だけは通らなければならない。しかし、この抽選、我が家はまあ通るだろうな、と思っていた。

実はこの数週間前、受付には夫に向かってもらったのだが、その際に夫から送られてきた写真から状況を察したのだ。

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女子の受験人数がめちゃくちゃ少ない。

これもどうやら国立あるあるらしいのだが、国立志望の女子は男子に比べて少ないらしい。しかし募集は男女半々である。国立は私立に比べると多少ワイルドな子もいるので、私立小と国立小を併願して受ける女子親は少なめなんだとか。(わかるようなわからないような・・・)

しかしむしろ我が家にとっては好都合。この1次抽選は考査可能な人数にまで絞り切るのが目的なので、人数が少なければ少ないほど当選の確率は高くなる。

夫から到着の連絡を受ける事数十分、ついに連絡がきた。

メッセージを確認すると・・・




「当選した!!」



との報告が来ていた!

ぃよっしししししししし!!!!とりあえずは第一関門突破である。ようやく受験資格の獲得。無事第一志望である学校にチャレンジできる事がわかり一安心した・・・が、

その晩、夫に抽選の様子を詳しく聞くうちに新たな問題が発生した。「この学校、通うの大変じゃないか?」と。

今更である。

今更ではあるのだが、説明会、願書受け取り、受付、抽選、、と計4回通ったからこそリアルな距離感を感じ始めたのだ。合格した際には通いやすいように学校の近くに引っ越すつもりではいたが、そうした場合、今度は沿線的に夫の職場からは離れてしまう。学校近くから毎日職場に通うイメージが湧いたのか、この時点で国立C校に対しモチベーションが下降気味になっていた。

すぐさまやってくるB校の試験

A校の結果もまだで、C校の1次試験前に、今度は私立であるB校の1次試験の日程が来た。結果が出ないまま試験を次々と受けるのがなんとも暗中模索感たっぷりである。

この年、B校の試験は金曜日であったのだが・・・金曜日といえば most グダグダになる day of the weekである。(日本語で言え)大人と同じく、子供も週末に向けてどんどん残体力が減ってくる。今までの生活を通して金曜の子供の集中力の無さを知っていたので、少しでも最高のコンディションに近づけるべく前日は幼稚園を休むことにした。(試験関連で休んだのはこれが初!)

前日はゆっくりし、河川敷まで行ってちょっと運動し、過去問のペーパーを解き、(その日も全然解けず☆)早めに寝ることにした。この日もB校パターンのイメトレ原稿を作り、娘と一緒に読んでから眠りについた。

遠さ&寒さで心折れそうになる私立B校

B校の試験日の朝はこの季節にしては恐ろしく気温が低く、想定外にコートを着込んでいく事になった。B校へは最寄駅からだとアクセスが極悪だったので、少し遠い別路線の駅まで歩く事にしていたのだが・・・寒さの中30分歩く道で危うく心折れる所であった。受かったら引っ越し必須だな・・・と頭で考えつつ、向かう。

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幸い電車ではヒーターがついていたので、身体も心も温まりメンタル回復できた。B校の駅に着くと同じような紺色族が多数見かけられた。時間は少し早めだったので、最後のお手洗いに寄ってから、学校へ向かった。

学校に着くとあっという間に母子分離され、娘は別室へと消えていった。別れ際チラッと見た所、先生にしっかり挨拶だけはできていたので安心した。私は待機室に案内され、前回と同じく親はひたすら待機であった。もう1校目で「本は無理!」という事を学習していたので、今度は数独ドリルを持ってきていた。

数独のおかげで、待ち時間は集中している間にあっという間に過ぎた。それはよかったのだが・・・若干集中しすぎたのかもしれない。傍から見ればすごい目つきで数独に取り組む怪しい保護者としてマークされていなかったかなぁ、とあとになって心配になってきた。

待ち時間は終わり、今回もテンション高めの娘が帰ってきた。表情からして試験がうまく行ったのか??と期待しつつも、質問はあとにしてとりあえず学校をあとにした。

聞けば聞くほど嫌な予感がする、試験の出来

話を聞けば聞くほど、「え、そんな事ってある?」というほど簡単な内容ばかりだった。前評判とまるで違うのだ。不思議に思いどんどん情報を掘り進めて行くと、割と致命的な勘違いをして取り組んでいたのではないか、という仮説を思い立ってしまった。

もし娘の言う通りの内容であった場合、問題の難易度的にそれでは半数近くが満点をとったのでは?と思えるような内容であった。恐る恐る、自分の仮説を娘にぶつけてみた。

「それってさ・・・もしかして1つに丸をするんじゃなくて、当てはまるもの全部に丸をつける問題だったんじゃない?」と聞いてみた。

すると本人、

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「あ・・・」



うわあ。


思い当たっちゃうのかーい。



いやそれでも娘が合っていると信じたいが、もし仮に私の解釈が合っていた場合、

終〜〜〜了〜〜〜〜!!

である。そうして本命校であったB校への期待は泡となって消えたのであった・・・。その日の午後、ショックで立ち直れなかった私はヤケクソで室内アミューズメントパークへと向かい、(受験中はウィルスを気にして遊びに行けなかった)灰となった心を癒やしたのであった。。

A校の結果発表

そんな中、ようやく最初に受けたA校の結果が出ていた。例の、かなり手応えを感じた学校だ。もはや本丸のB校への望みが薄くなってしまったので、いつの間にかA校にかなり望みを託していた。

いやいやそれでも倍率だけを見れば決して低くはない倍率である。数多の生徒の中から娘が選ばれるなんてそんなラッキーな事はあるだろうか。

しかし実力を120%発揮できたので、もしかしたら・・・?と期待してしまう。なぜならば模試ではそういった時は最高点を叩き出してきたのだから。

ドキドキしつつ合否通知を開封すると・・・




まさかの!!!








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不合格であった。



デッスヨネー。

B校の出来がいまいちだった中、望みを懸けていた私立A校の凶報は刺さった・・・。いや繰り返すようだが、元々は練習目的だったのだ。だがいざ試験を受けるうちに、良い学校だし良い先生だし、実力出し切れたし、なんとなくいけるような気がしてきてしまったのだ・・・!

が、やはり縁は無かったようだ。唯一の救いは、試験で完全燃焼してきたので「まあ、合わなかったんだろうな・・・」と思えた点である。思い当たる節が無いわけではない。ショックもほどほどに、次に向けて切り替えるしかなかった。

残り4校に望みをかける。

思ったより長くなってしまったので、続く!

当時の自分に教えてあげたい事

倍率の事を特に考えずに志望校を設定して、「5校も受けたらどれか当たるだろう!」くらいの劇的に浅はかな思考で設定した受験校。

いわゆる確実に行ける「滑り止め」がゼロの状態で挑んだ受験でした。たしかに「どこかに受かる」事が目的だとしたら無計画な志望校達でしたが、我が家にとってはこれが正解だったと思っています。

なぜなら、たとえその「滑り止め」学校に合格しても、乗り気のしない学校に6年間学費を払い続ける気持ちにはなれなかったと思います。そして受験していると何度も忘れそうにはなりますが…公立には行けるのです!

なので、我が家の志望校は「受かったらぜひ行きたい!!」と憧れの気持ちを抱ける私立学校と、通学範囲内の国立校のみ設定しました。

とは言え、ですよ。。。

小学校受験は、チャレンジしたのに駄目だった、というこの不合格自体がやはり悲しいものですね。。。子供の良し悪しを判断しているのではない、とは言うものの、自分の全エネルギーをつぎこんできた事と、何よりも子供自身が成長にとって大切な時期を受験に注いで一生懸命頑張ってきたこと。この想いが報われない結果は、やっぱり凹みますよね。凹みました。当時は。(今は全く凹んでいない)

次回、B校&国立勢の試験結果もまとめてお伝えします!



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