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トンガリ倶楽部の図書室
2022年11月18日 01:37
卯月の花嫁よ 誰も目覚めぬ眠れぬ時間ひとり、婚礼衣装に袖を通す。何もあたたかくない袖。ぬくもりは暦に置いてきたままで、相手のことを置いてけぼりにするような儀式だけが行われる。嫁入り道具なんてものも存在しない。ここには、いのちの気配がしない。鋭く冷たい風だけが、私に見送りの唄を贈ってくれた。 こんな姿、きっとひと月だけ。できればそうでありますように。祈る、祈ることしか。爪の