空気階段 第7回単独公演「ひかり」感想と雑記

空気階段 第7回単独公演「ひかり」(7/6)
【@熊本城ホール シビックホール】

公演内容について、個人的に響いた点と合わせて感想をじっくり書きました。
(公演・配信終了したためネタバレ有りです)
(※結構詳しくネタバレしています　ご注意下さい)

空気階段は昨年春の「熊本蟹」以来。単独公演への参戦は全芸人さんの中でも本公演が初めて。熊本公演があると知り即決。近くなら行こうかなと珍しく行きたがる母を連れて、いざ桜町へ。
シビックホールの適度な広さが心地良い緊張感をもたらしてくれていた。

幕間の音楽と光の演出がとても美しかった。
客入れBGMも海辺にまつわる曲で固めているようだった。開演を待ち遠しく思いつつも、心地良く浸っていられるこの雰囲気。ここで聴いたみなと(スピッツ)がずっと忘れられない。これから先、みなとを聴くと、この開演前に穏やかに揺蕩う青い光と波をきっと思い出すだろう。

【オープニング】

道着姿、精悍な顔つきで並ぶ2人。
空手🥋…と思いきや露出狂指導。
掛け声、「ワチャァッ！！(露出)」を合図にゴダイゴのMonkey Magicでオープニングへ。

これがやばい。もうめっちゃカッコいい。脳ごと弾けそうな快感があった。今までおにぎりあたためますかのイメージだった(※)Monkey Magic、こんなにテンション上がる曲だとは思ってなかった…！こういう気付きが得られる現場、大好きだなぁ！！
(※西遊記は慎吾ちゃんの世代です ｳ〜〜ｷｨｨｨ〜!!! )

♩ゴジラのテーマ

【国民のために】 🔑：提督
自⚪︎党熊本1区から初当選した議員を呼び出す、怪しい風貌の権威。お前を話題提供会長に任命する！得体の知れない120歳の権威が放つ『ハマコーめっちゃ面白かったぞ？！』がとても良い。
卵型の謎機械で洗脳される新人議員。
♩アラベスク第1番(ドビュッシー)
パチンコの換金は本来違法なんだ？やったことないからこれで初めて『三点方式』というシステムを知る。
「お前らが納めた税金で、俺は！細い犬を飼う！！！！」
政治に無関心な国民が増えている裏側で、本当にこういう好き放題をされていても、分からないままなのかもしれないな…なんて思わされたりも。

♩幻想即興曲(ショパン)
♩結婚相談所(小島麻由美)

【いえしあすかyg】  🔑：逆再生の青年
結婚相談所。
弁護士の青年が求める条件は「自分は逆再生で居たいのでそれを受け入れてくれる人」
逆再生アプリを介して職員と意思疎通を図るも、頻りに訴えるのは『ポ⚪︎チン』 『でっかいポコ⚪︎ン』『ポコチ⚪︎とち⚪︎ぽこの違いを 述べよ』 『曽根、ちん⚪︎こで 卒論書け。』etc…
隣に座る母の笑い声が一際大きくなる(親子共々お下品に滅法弱い)。
「YouTubeはお母さんに禁止されてます！！」だけ順再生されるのなんでなんww お母さんに禁止されてるとか言う人がいかにも発しそうな遺憾の意「ﾝ〜〜〜〜!!🥹」 が憎可愛い。ほぼ冬彦。

♩トルコ行進曲(モーツァルト)
♩舟唄(八代亜紀)

【舟】🔑天竜島
「巌流島に向かう佐々木小次郎」的な侍と船頭。
静かに海を漂う舟。水墨画のような背景と波音の美しさよ。たっぷり間を取ってからの「…迷いました。」の出オチがシンプルながらも美しい。でも鳥撃った目的分かんなさすぎて草。映像と動きを合わせるの結構難しそうだよなぁ。何気にコント師の腕が光る瞬間。

♩水の戯れ(ドビュッシー)
♩情熱の薔薇(THE BLUE HEARTS)

水の戯れ、個人的に非常に好きな曲で密かに血液が沸騰。
パリ五輪開会式でも生演奏されて嬉しかったなぁ。

【希望ヶ丘高校新聞部】 🔑先輩
新聞部のクセ強先輩と陰キャ男子。
かたまりさんのウザいリア充に対するキレ方がリアルで良かったなぁ。先輩の誤魔化し方は何故ヤジマリーなんだ…バラ色の青春とは程遠い2人かと思いきや
先輩〜〜〜〜〜🥹✨✨！！！！！！！

♩ちっぽけな勇気(FUNKY MONKEY BΛBY'S)

♩亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー)
♩新世界より(ドヴォルザーク)

訓練されたお笑い民「モグライダーの出囃子だ…」

【何日もめっちゃ頼み込んだらウィーン•フィルハーモニー管弦楽団に入れてもらえた人】  🔑シコり音

♩地獄のオルフェ(オッフェンバック)

指揮者：かたまり  謎楽器奏者：もぐら

「ありがとうございました！！」ってまさかの入れてもらえたのは指揮者の方なのかよ！！
存在しないパート(多種多様音色豊かなシコり音＋最後に屁一発)で演奏していた奏者は意気揚々と「おう！また呼ぶわ！」と。

♩時代(中島みゆき)

【ひかり】 50分近くの超大作となる表題作。
これが凄かった。とにかく凄かった。無粋ながらもあらすじを記して振り返ろうと思う。あらすじ無しでは語れない。抵抗を感じる方は飛ばして下さいね。

主人公は絵本作家の東(あずま)ひかり。
出版記念サイン会に現れた見ず知らずのオッサンは、12年前に亡くなったひかりの父が『器』となる男性に憑いた姿。
ゴミだらけの三途の川を1年間休まず掃除し、整理券を得て順番を待ち、器(もぐら1体しかない)に憑いて人間界に降りる権利を得ることができるという。 各々の心残りを解消し次第、次の順番が来るのだと。器に入ってから妻にも会いに行ったが、金属バットを振りかざし追い返されたという。

父の心残りは「ひかりの描いた絵本を読みたい」。
心残りを解消し光に包まれていく父に、慌てて来年7月に結婚式をするのだと報告するひかり。新たな心残り「結婚式でバージンロードを歩く」を宣言し、天に還る父。

目覚めたオッサンは既に別人。オッサンに器の詳しいルールを聞いたひかりは、器の提案により1人ずつ心残りを果たすお手伝いをする事で、父の順番を早める活動をする事に。
そこからは次々と現れる器とくだらな過ぎる心残りに全力で付き合う事に生活を捧げるひかり。

ある時、息子に会いに来た器と、ヘルパーの役割を急ぐひかりとの間で高額な交通費を出す出さないの押し問答。器はここに至るまでの並々ならぬ想いや、息子の存在は「ひかり」だったと感慨深く話す。三途の川の清掃は地獄のように辛いという。それでもここに辿り着いた。一旦立ち止まり、ひかりも父への思いを語る。

♩ピアノソナタ 悲愴 第二楽章(ベートーヴェン)

結局は先を急ぐひかり。前澤社長のリポストで得た100万円を器も何故か簡単に受け取り、息子の元へ。現れた息子は、現在はジャーナリストである希望ヶ丘高校新聞部の先輩。息子曰く「自⚪︎党には提督がいる」など聞き覚えのあるフレーズが登場し、これまでのコントとの接点が結ばれていく。
息子と楽しい時間を過ごし、器は光に包まれる。
次の器は個室ビデオ店へ。
更に次に個室内で目覚めた器が「え？！ラッキ〜！！」とｎ人連続(うち1人は何かを奏でていた)でその場で何度も光に包まれる場面は腹が捩れそうだったが、数人後に目覚めた器がVRゴーグルに戸惑いそのまま退店した事で窃盗罪で警察に逮捕されてしまい、器ヘルパーにとっても大ピンチという局面に。結婚式まで残り少ないのにここで順番を止めている場合ではない。
そこを救ったのはひかりの婚約者である弁護士の男性。逆再生の男。まさかの裁判でも逆再生。無事無罪を勝ち取り解放される器さん。
そして迎えた結婚式当日。

♩結婚行進曲(メンデルスゾーン)

「悪い！遅くなった！！」と駆けつけた父に金属バットを振りかざして出迎えたのは、妻…ではなく年老いたひかり。あれから随分長い月日が経ってしまっており、ひかりには孫が誕生していた。夕方17時の音楽に合わせてゆっくり、ゆっくり手を取って歩む父と娘。
光に包まれる父。

器「……天竜島はどこだ？」

〜Fin〜

結局式当日には間に合わなかったんだな…と胸が痛くなった。時間は経ってしまったけれど、ささやかにバージンロードの約束を果たす父と娘の姿。こんなん泣くって。良かったね…良かった……！
ぐっと引き込まれるストーリーもさることながら、これまでのコントと次々と繋がっていくのも凄かった。
どんなにくだらない心残りにも真剣に向き合ってくれるようなひかりとなら、あのポコ⚪︎ン弁護士もありのままの自分(逆再生)で生きられるのかもしれない。2人の馴れ初めやどうやって仲を深めていったのか気になる。

♩JUMP(忌野清志郎)  

エンディング
熊本公演、県外参戦者(九州内)多め。もぐらさん、「一言だけお伝えしたい…」と切り出して

鶴屋 ラララ♩ 鶴屋 ラララ♩
鶴屋 ランラララ ラ〜ラ♩
ハーイハーイ ハイセンス 鶴屋♩

郷土のデパート 鶴屋百貨店のCMソング

↑もぐらさん自身もこれが「何の何かは分からない」まま覚えて歌って下さったのだそう。しかし鶴屋に行かずしてこの曲を知る術はほとんど限られている。恐らくというかほぼ確実にRKKラジオ「午後2時5分一寸一服」を聴いたんだろうなとにんまりする。
(この番組のおかげで、鶴屋に行ったことがない県民も全員鶴屋ラララだけは知っている)
あと某店のラーメンを食べた話をなさったかな。

素晴らしい公演だった。観に行って本当に良かった。足を運べる場所で公演を開催していただけたこと、加えて千秋楽の配信がたっぷり再延長されたのも助かった。確かな糧となりました。宝物が増えました。本当に熊本にも「ひかり」を当てていただき、ありがとうございました。

会場ごとの入場特典、ポスター図柄なの嬉しいよね〜！

電子チケット
スマホの上からスタンプをポンと押された  すごい。