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ぼたもちは、こしあんです

ぼたもちは、断然こしあんだ。
それも丁寧に大事になんども濾したすべすべなめらかなやつ。

我が家の愛犬、ぼたもち。
通称ぼたは、まさにこしあんのそれだった。
やわらかい毛の手ざわりはもちろん、性格も丁寧で、よく「ぼたは英国紳士」と冗談を言うほど雑なところがなかった。

生後2ヶ月のぼたを迎えると決めたとき、ネットで調べ恐れおののいた粗暴な甲斐犬の要素は皆無だった。(そのあと出会った甲斐犬たちは、ほぼみんな人懐こくかわいくて、ネットの情報がいかに偏ったものか再認識したのだけど)

2023年2月10日。
東京にめずらしく雪が降った日、ぼたが亡くなった。
病名は「消化器系リンパ腫」。
11歳と3ヶ月だった。

それから約8ヶ月が経った。
今でもぼたのことを思わない日はないし、泣かない日もない。
なにをみても、いや、別にきっかけなんてなくても、ぼたを恋しく思う。
でもこうした感情も、いずれ少しづつ薄れぼやけてしまうかもしれない。
ぼたの感触や重さや匂い。息づかいやあたたかさ。
私をみあげてくれる、あのかわいいまなざし。
なにより、ぼたと一緒にいたときのしあわせな空気感。
その全部が。

だからこうして文章にして残そうと思った。

ぼたのことをたくさん愛して、精一杯病気と向き合ったあの期間。
ぼたとすごした、しあわせな11年間。
その記憶を少しづつ。

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