入院2日目(手術当日)

この日は朝から絶食です。
水分も7時まではOK、との事で薬もそれまでに飲みました。(前日から事前投薬が始まってました)
8時から術前処置との事でしたが、やる事もなかったので早々に浴衣型の病衣に着替え、血栓予防の弾圧ストッキングを履きぼんやり。
(※病衣もストッキングも病院用意の物です)

少し早かったですが看護師さんが来られ、点滴のルートを取る事に。
採血もすんなり取ってもらえるタイプだったのであんまり気にしてなかったんですが、これにひどく時間がかかった…。
腕の所もうっすら血管は見えてるんで、普通に取ってもらえると思ってたんですよ!
見えてるだけじゃダメなんですね、あれ…。
1度、ここならいけるか?という箇所で挑戦されたんですが、血管にたどり着かない。
きつく締めても、ホットパックで温めても血管が浮いてこない。
見えてても、針で捕らえられなければ意味がない…。

「……ちょっと、この手首のとこやっていい?」
「ぅえぇぇぇぇぇぇぇ」

手の甲とか手首とか痛いって言うのにマジか!!と、35の女にあるまじき、ものっすごい情けない声をあげました…。
まあ、問答無用でやられるんですよね、そりゃ。
で、刺したものの、いざ点滴始めてみると即行で液漏れ起こして失敗に。

「うん、ちょっと休憩しよっ」

何とも言えない顔でそう言って一旦部屋を出て行く看護師さんを見送り、呆然自失。
術前にこんなぐったりすると思ってませんでした。

ただ、この時、この看護師さんがUAE経験者(しかも同病院で受けてた)で話を聞けました。
看護師さん曰く、薬が合わなくて凄い吐き気で術中から吐いて吐いてとんでもなかったらしいです…。
ただ、次の日からはだいぶ動けるようになって食事もとられてたとの事で、初日がやはりしんどいのかな、と言う印象でした。

さて、点滴ルート取り再開。
散々両腕見て、結局、右腕の肘の内側から少し上の箇所で何とか取ってもらいました。
後々、他の看護師さんに、え?ここ?みたいな反応されましたが、痛くも痒くもなかったので私的には手の甲を回避してくださったのに感謝しかない。

そして、導尿カテーテル。
これ、全身麻酔の手術の場合は意識失ってから処置されるらしいんですが、まあ局所麻酔なので病室でそのまま処置されました。
もうまな板の上の鯉で腹くくると言うより諦め半分だったので、恥ずかしいとかはそんなになかったんですが、痛い。
耐えれる範囲ではありますが、力抜いてって無理。
ただ私の場合、一瞬の痛み抜けた後は特に違和感もなく済みました。

点滴ルート取りに時間がかかっていたので、導尿カテーテルが終わったら休む間もなく、初日に説明にきた医師が来てベッドのままガラガラと手術室(カテーテル処置室?)へ。

部屋に運び込まれてまず目についたのは、天井の青空(絵)。
子供の処置もあるだろうし、少しでも和ませるようにしてるんですかね?

「おはようございま~す!」

と凄いにこやかに何人もの看護師さんに挨拶されて、ベッドから処置台へ自分で乗り移ります。
横になったらさっさと上からあの青緑のカバーがかけられたり、鼻に酸素の管添えられたり、とうとうここまで来たなぁと緊張と怖さと諦めと色々ない交ぜになった気持ちに。

担当医ともう一人医師がいて、どちら様?と思っていたんですが、どうやら担当医が横について指示を出しもう一人の医師が実際には手術をする模様。
一瞬、えぇ?実地訓練ってやつかと思いましたが、まあ仕方ありません。
(ちなみに、最後までこの若そうな医師と話す事はありませんでしたw)

場所を確認され、局所麻酔開始。

「これが一番痛いんだよねー、大丈夫?」

と看護師さんが頭の所に来て、落ち着かせるように肩を擦ってくれてました。
正直これは私はそんなに痛くなかったです。
ぐいぐい押されてる感じでしたが。

で、そこからはいつ切られたのか、いつカテーテル突っ込まれたのかわかりませんでした。
突然始まったとしか言えない。
麻酔の時もですが、始めますねの声掛けはなかったです、たぶん。
その後も、いつ眠くなるんだろう…うつらうつら…するんだよね?ってずっと思ってたんですが、ぜんっぜん眠くならず…。
どうやら使用したフェンタニルでは眠気はそんなに来ないようで、結局、暇でぼんやりはしてましたが、最後までばっちり意識ありました。

処置中は痛みは特になくて、多少違和感がある程度。
そして、唐突に何の説明もなく医師・看護師さんが全員手術室から退避。
レントゲン撮影の為だったんですが、え?このまま置いてかれるの私、ってちょっと焦りました。
アナウンスがあり、息を吸って吐いて止めて、を繰り返し、終わって画像確認した医師が戻って来るまで、変にゆったりのんびりした空気が流れてた気がします。
被爆量どうなのこれ、って少し思いつつ処置に必要なものと割り切ってはいたんですが、カテーテルぶっ刺したままの患者放置(違う)して部屋から誰もいなくなるのがちょっと怖かったw

後、これも他の体験者さんが書いてたんでこの事か!ってすぐにわかりましたが、処置の最中に何度か造影剤流された時、漏らした!?って一瞬思いました。
MRIの時は造影剤の感覚まったくわからなかったのに、この時は下腹部全体がぼわっと温かく何かが流れて行く感覚がすごかったです。
量とか箇所にもよるんですかね。

なんやかんやで処置が終わったらしく、カテーテルぶっ刺してた箇所を止血の為、医師が手で圧迫。
9時頃病室を出て、終わったって言われて時計見たのが11時半過ぎだったかと思います。
処置自体は実際2時間くらいだったのかな?
ネットで調べてた処置時間より長くはありましたが、各病院で流れややり方は違いますしね。

「終わりましたよ~」

と看護師さんが頭の辺りに来てくれて、ありがとうございますって言おうとした瞬間に物凄い吐き気。

「う…?ぐ、すいませ…気持ち、悪…」
「あ、はいはい、吐きそう?」

とかやってる間に、急にちょっとした浮遊感と言うか、ぼんやりしてるのに意識は鮮明と言うか、今思えばトリップしてたのかもしれないんですが妙な状態に。
さーっと血の気が引いて、腹痛が鮮明になり出しました。
そして様子見てた担当医が動き出す。

「ん?あっ…これは…、〇〇! 1本入れてー」←薬剤名までは聞き取れず

バタバタしだす周りの人。
そして急に足を持ち上げられて、ふくらはぎを揉まれる。
足に回った血を心臓に戻してたんですかね…?

「薬入れるからね、ちょっと胸がドキドキするよー」
(…ドキドキ?…別に何も感じないが???)

わけがわからないまま何か投与され、特に言われた拍動も感じず、変に頭は冷静でした。
視界の端で見えてた心拍は130とかだったんですが血圧が下がってたみたいで、どうやらショック状態だったようです。
術中はほんと何もなかったんですが、終わった瞬間に一気に出ました。

「…うん、安定した…かな。酸素は付けたままにして、病室戻ろう」

と声掛けがあり、ベッドに医師や看護師さんで移され、再びガラガラと運ばれました。
痛みも出てたんでベッドがちょっとした段差を越える時の振動で、うぐっとなりました。

何とか病室に戻され、右足は絶対に動かしてはいけない安静タイムが始まります。
私の場合は4時間でした。
生理痛を強くしたような痛みがじわじわと広がり、背中を丸めて蹲りたいのに動けないつらさ。
親も様子見に来てくれてたんですが、この時何話したかあんまり覚えてないです。

「痛い」
「丸まれないのがつらい」
「今何時?」

とか色々呟いてた気はしますが、それが看護師さんに言ってたのか親に言ってたのかも曖昧です。

「これお昼は無理よね、下げとくわ。あ、このお蜜柑だけ置いといてあげる!」

とグレイヘアのちゃきちゃきした看護師さんに快活に言われ、昼飯なんて無理、と頷く。
ただ、なんでこの病院ほんまこんな看護師さんのレベル高いの、と痛みの中うっすらと思ってた辺り、多少余裕はあったのかもしれません。

途中、意識を失ったのか、ただ時間が経過するのを把握出来てなかったのかはわかりませんが、気付けば安静解除の時間になり、担当医が病室に来ました。
カテーテルの痕を確認し、出血もちゃんと止まっている事から動いてOKとの事。

「とりあえず、起き上がってみましょうか」
(…えぇ?)

背中に手を入れて、問答無用で担当医と看護師さんに支えられつつ起き上がる。

「起き上がって吐き気とか眩暈あります?」
「…吐き気は若干?でもそれより痛みの方が気になります…」
「うん、じゃあ、歩いてみましょう」

立ち上がり、部屋の中を何歩かうろうろしたんですが振動がお腹に響く、が耐えれないほどではない。
これくらいが続くならまあ耐え切れそうだなって程度でした。

「うん、大丈夫そうだね。導尿カテーテルは外しましょうか。で、痛みの山も越えてるだろうから、麻酔も量減らしていこう」

今後トイレは自力で行けって事ですね!個室からトイレそれなりに距離あるんだけどな!
と思いましたが、尿道カテーテルはあんまり長く付けるのもよくないのは知ってたので抜けるんなら抜いてもらおうと同意。
麻酔も減らしていかないと吐き気が長引いたり色々あるのはわかってるけど、こっちは本気ですか?って感じでした。
この辺りは結構スパルタだったと思います。
定期的に、投下量がんがん下げていかれました。
それに反比例して痛みはどんどん増していく。
痛みのピーク越えたとは???と何度も思う事になります。

ちなみに、尿道カテーテルを抜いた後はやはりと言うか、排尿時に痛みがありました。
半日ほどで気にならなくなりましたが、最初のうちはちょっと心構えがいりましたね。

この後、結局じわじわした痛みと食事の匂いに吐き気が出て夕食もパス。
とりあえず動けはするので、痛みを紛らわすのに立ったり座ったり、部屋の中をうろうろしてました。
これ、個室じゃなかったら出来なかった事を思うと本当に空いててよかったとしか言えません。

そして、地獄の夜が始まりました。
夕方に比べて痛みが格段に上がり、痛みを紛らわそうと点滴や麻酔をガラガラと押してトイレに何度も行くんですがどうにもこうにもならない。

寝れない。
痛い。
寝れない。
痛い。

看護師さんも色々痛み止めを試してくれるんですが、どれもこれも効かない。
一応痛み止め効果待って1時間置き位で、ナースコール押してた…と思うんですが、もしかしたら、もっと短い間隔で押してたかもしれません。
某病院のコラムで「炎症反応の痛みを抑えたからといって治療効果が悪くなることはない。ならば出来るだけ軽い方がいい」と言う言葉を信じて容赦なく呼んでました。
そして痛みに唸り続け、最終的に明け方4時頃、当直医が呼ばれました。

「うーん、だいぶ痛そうやなぁ…」
「…でもこの段階で出来るとしたら後は筋注くらいですよねぇ」
「そうだなぁ」
(きんちゅう…?っ筋肉注射!?いやいやいやそれ痛いやつやん!あ、でもこの痛みの最中なら痛くないのか!?それでこの痛みから解放されるならもう何でもいいからどうにかして!)

結果:注射はめっちゃ痛かったし、痛み止めの効果はなかった。痣だけしっかり右肩に残りました。しかも三か所も。

その後も他の痛み止めをちょこちょこ試していただきましたが、結局朝まで一睡も出来ず。
6時過ぎて点灯時間となり、その辺りで入れた痛み止めが効き出して30分程微睡む。

その時の担当看護師さんには、「あんな痛がる人初めて見ました」と言われる程度に酷かったようです。
後日、別の看護師さんには他にもいるいるとは言われましたが、私が痛がりと言う可能性もあるし耐えれる人は耐えれるのかも…。

それにしても、フェンタニルの量を一時的に増やすとかはしてくれないんやなって絶望しました。
まあ医療用と言えど麻薬ですもんね。
量減らす時でさえ、看護師さん二人でダブルチェックしながらやってたんで、増やすなんてまず出来ないんだろうなと思います。

さて、スペックの所で体型について述べてた理由なのですが、とあるUAE体験者さんのブログで、
「痩せ型の方が脂肪に血管が押されてないので、カテーテルが通しやすい」
と医師に言われたという話があったんですよね。
肥満のせいで凄く時間がかかった、とか言う話もあったり。

それなりの脂肪を蓄えている自負のある私。
どうなるだろうと思ってましたが、特に何も言われませんでしたし一応予定通りに手術は終わりました。
今はまた色々医療が進歩しているのか、私の血管はまだマシだったのか。
謎ではありますが、過度にそこは気にしなくてもいいのかな、と思いました。