『暴力団/ビッグ・コンボ』

監督:ジョセフ・H・ルイス

ラストがスマートすぎて声出た。ブラウンが霧の中へ連行される、主演二人が結ばれる、この二つを同一ショットで同じ構図で流れるように反復してみせるカッコ良さに痺れる。元々刑事はブラウンに嫉妬している、という構図が全編通してある気がして、それに沿ったラストであるならばハッピーエンドなのかは疑わしい。曖昧さもまた、霧の中へ還元されてしまう。闇の男へヒロインが光を浴びせるのも秀逸っちゃ秀逸。補聴器が拷問器具として機能する斬新さはもちろんのこと、ジョーが死ぬシーンでは、単なる暗殺に一工夫与える役割も果たしていて、それもまたしっかりキマっている。リチャード・コンテの底知れぬ怖さが上手く出ていて、アリシアを取調室の外で待ち構えているところの切り返しが怖かった。冒頭に濡れ場を連想されるシーンの最後に、ヒロインの顔が画面に焼き付けられるような感覚を与えるショットがあったのが印象的だった(補聴器といい、ツインピークス?)。ドライヤーの元へ刑事が訪れるシーンなんかはサラッとワンショットで撮り切ってしまう潔さがいい。リタ応援してただけに、殺された時はコノヤロウ...って感じだった。その死もアリシアを同情させる道具として機能してしまうミニマムさ。

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