『木と市長と文化会館/または七つの偶然』

監督:エリック・ロメール

右派と左派に分かれるほうが自らの立場を示しやすいのは事実だが、その間にある妥協点を探すことも大事ではある。市長の唱える理論は机上の空論臭がかなりしており、それを論破する教師の娘のシーンが痛快。市長も一応相手の意見はちゃんと聞くので、悪い人ではないのだが。最後の記者への誘い方が滑らかすぎて笑った。歴史は理論立って起承転結がはっきりしているが、実際に時間が流れている間は偶発的な出来事の積み重ねから成り立つ。人間はつい理論立てて物事を理解しようとしてしまうが、無視されがちな七つの偶然を描き出そうという試みなのだろうか。同一シーンで衣装が変わっていたところはやはり気づかなかったので、私も阿呆な観客の一員である。

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