『結晶の構造』

監督:クシシュトフ・ザヌーシ

かなり『オールド・ジョイ』でよかった。冒頭、雪原をうろうろするヤレクと妻、そこに爆走してくる車でもう対比がなされている。二人はかけっこや腕相撲をし(ここの解放感もよい)、心が通じ合っているかのようにも見えるが、カヴェツキは実は上司に命令されてここを訪れたことが分かる。好物のディスコミュニケーションonコミュニケーションだった。車を爆走させるときに、ヤレクがけしかけるカヴェツキを制して「もう十分だ」というシーンや、ちゃんとスタートラインひいてからかけっこするところなんか性格の描きわけができてるなと思った。それまでのポーランド映画群と違って、あえて明確な結論を出さないところが、この作品が評価されている理由の一つにあるのだろう。タイトルの意味は少々つかみかねるが、ダイヤモンドのように人生も多面的なんだよ、って意味なのかな?

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