『ヨーヨー』

監督:ピエール・エテックス

エテックスは帽子をかぶっているとキートンにしか見えない瞬間がある。前半は無声映画にギャグっぽい音がつけられて、世界恐慌あたりを境にトーキー映画になる。無声映画には常に爆発はしない上品なおかしさが漂っている感じがする。三人でサーカス巡業するときの車のシークエンスが最高。わざわざ後ろまでキスしに行くの健気すぎる。そのあと、テレビが出てきてサーカスの意義は否定され、戦争も始まる。それでも抗うかのように屋敷を立て直すヨーヨーはパーティーに両親を呼ぶが、両親は顔すら出ずにカメラの動きだけで華やかな宴から去る。いくら名声を得ても昔には戻れない、諦めかけたところに颯爽と象が登場、ヨーヨーは象の背中に乗ってカメラに背を向け、カメラもそれを見送る。フェリーニみたいなラストだし、テーマ曲もあるし、ご本人たち登場する。途中のオフィスに出てくるファスビンダーみたいなセールスマンがツボすぎたのだが、あまりにベタな笑いだからなのか、劇場だと全然笑いが起こっていなかった。

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