『美しき仕事』

監督:クレール・ドゥニ

外人部隊のトレーニングの身体性は男性としての力強さのみならず、繊細さや生命としての美しさの側面を強く押し出し、そこにかつてメロドラマで女性に属性づけがなされていた嫉妬あるいはヒステリーの感情が男性に投影される。単に激しい動きだけではなく、ドニ・ラヴァンが拳銃を持つ前にベッドカバーを直す手つきや、兵士がクリーニングをする手つきにもその度に感動してしまう。そこにジブチの美しい景色や風土が折り重なって立ち現れていくさまはまさにクレール・ドゥニにしか表現できないものだと思う。年老いたドニ・ラヴァンがかつての身体性を取り戻すために足掻く物語でもあると思うし、それはグレゴワール・コランへの継承の物語でもあるような気がした。だからこそコランの最後のセリフの意味が魅惑的でもある。最後のダンスはとんでもなく素晴らしい。

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