『第七天国』

監督:フランク・ボーゼージ

最後は死んでると思う。天国ってそういう意味でもあると思う。俺の考えこそが神様なんだ、という言葉はラストの展開が彼の頭の中でのみ起こったことの裏付けなんじゃないか。兎にも角にも階段を登る。クライマックスもそうだが、下水道にいたシコは地上に上がることで彼女と出会い、階段を共に7階まで登ることにより恋人となる。ヒロインはその高さに初めは恐怖を覚えるが、次第に慣れ、高さに自らを馴染ませていく。白眉なのがディアーヌの正面ショットで、これは姉と過ごしていた部屋に伯母がやってきたときに何回か挟まれる。ここのショットが浮いているような気がしたのだが、それはシコが最後にウェディングドレスを纏ったディアーヌを見るショットと完全に一致する。観客がそのショットに惹きつけられるのは、さりげなく挟まれていた序盤のショットと無意識に重ね合わせてしまうからで、廣瀬純的に言うのならば「出会う」からなのである。『心のともしび』も失明した女性の話で、リンクしているところが多いような気がした。

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