『瞳をとじて』

監督:ヴィクトル・エリセ

瞳を閉じること、未知の世界への恐怖を共にしながら耳を澄ませること。見えていない世界を見ること。『ミツバチのささやき』で少女が映画内のフランケンシュタインの面影を現実世界に見出すように、この映画においても、映画が劇中劇という構造を通して記憶喪失の男に刺激を与える。失われゆくフィルム文化(フィルムはブームだが映写機がない、という言葉になるほどなと思った)の描写や映画館そのものが再生されていく過程には少し心踊るものがあった。多分初めてアナが映画を観たときのときめきや恐怖と通じているのだろう。それにしても少し長くて地味ではあった。マルタのパートはほとんど寝ていた。でも時間の流れを日常以上に感じるのも映画、ってことでいいかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?