備忘録、の話。
私はコーラが嫌いだ。
まず、炭酸が苦手で飲めない。
ゲフッとくるあの感じが苦しい。
小さい頃から、特にあのコーラの独特の鼻腔に残る感じと、作られた甘ったるさが嫌いで、初めて飲んだあの日からずっと飲んでこなかった。
そんな私がガブガブと今コーラを飲んでいる。
メイドイン島根。
『出雲SPICE LAB.(イズモスパイスラボ)』のクラフトコーラだ。
https://www.lazuda.com/news/archives/1329
旦那さんのイベントで紹介するために我が家に届いたソレを、私はコーラと言うだけで完全に自分とは関係ない代物だと思っていた。
机の上に置かれていても、ダンボールを開けようともしなかった。
仕事が煮詰まっていたので、失礼ながら横でパソコンを開きつつ
仕事しながら聞けたら聞こう、くらいの気持ちだった。
ところがどっこい。
いざ、イベントが始まったら
代表の山田さんの生き方が余りにも真っ直ぐでキラキラしすぎていて、思わず聴き入ってしまった。
山田さん曰く。
私の大好きなカレーやチャイのスパイスと、コーラの原料となるスパイスはどうやらかなり似ているらしい。
スパイスの原料となる生姜を作っている農家さんは、自分の作った生姜のことを『娘』と呼び、畑の畝を『ベッド』と呼び、大切に大切に育てている。
そんな『娘』の嫁入り先がこのコーラということらしい。
スパイスの可能性は無限大。
正直、地方で自分の世界観を大切にしながらものづくりをしている生産者さんには何人も会ってきた。
素敵な人は、これまでも沢山いた。
それなのに、どうしてなのか。
乾いてひび割れた土に雨の滴が落ちるように
ゆっくりと、何かが染み渡って
泣きそうなくらいジンときた。
私はコーラが嫌いのはずなのに
30年飲んでこなかったはずなのに
ああ、話を聞けば聞くほど、どうしても飲みたい。
飲めなくても、飲みたい。
私は、コーラが飲みたい。
こうして、昨日、私はついにコーラの扉を開いた。
自分自身の『苦手』や『嫌い』なんて、ただの思い込みだけでしかないのかもしれない。
昨日嫌いでも
今日好きになるかもしれない。
自分が、自分に決めつけずに歩いていけば、こうしてある日突然扉が開くこともある。
扉が開いたら、もう後ろなんか振り返れなくなるくらい大好きで大好きで、どっぷり浸かってしまうかもしれない。
出来ないことは、「今」出来ないだけで
いつか出来るようになるかもしれない。
大切なのは「出来るようになりたい」と思っているか否か。
自分の心の根っこで、本当に何を望んでいるか、ということ。
楽しそうに、愛するスパイスとクラフトコーラの世界と島根暮らしを語る山田さんの話を聞いて
愛され、育まれ、生まれた美味しすぎるコーラを飲んで
自分自身の中にポッカリと空いている穴の位置を確認することができた。
小さな事でクヨクヨメソメソ、落ち込んだりする己を変えるには
この穴をどうにかして満たしていくしかなさそうだ。
ありがとう コーラ。
ありがとう 山田さん。
感謝と敬意を込めて、お家に帰ってグイッと一杯、愛しのアイツを飲もうと思う。
夏の終わりの、備忘録。
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