しばたあかね

1988年秋田県出身 はじまり商店街コミュニティビルダー 都内の食品卸に勤めながら、大…

しばたあかね

1988年秋田県出身 はじまり商店街コミュニティビルダー 都内の食品卸に勤めながら、大好きな食を通して未来へ紡いでいきたいモノ、コト、ヒトに光を当て 共に考える場作りをする。

最近の記事

港町で出会ったイアリングの話。

大漁旗というものをご存知だろうか。 大漁旗は、新しく船を造った際、ご祝儀として知人友人、関係者から贈られる祝い旗のこと。 8月の終わり、友達に誘われて行った石巻に、大漁旗をリメイクした小物を売っている小さなお店がある。 私はそこで、一つのイヤリングに出会った。 目の覚めるような真っ赤な布地。 大漁旗の歯切れでできたという丸いソレに、私は釘付けになった。 可愛い、とかオシャレとかではない。 呼ばれたのでは?という感覚にすらなるほど、どうしてもそれが欲しくなった。 買わない

    • 雨上がりのぶどう畑の話。

      10月の終わり。 お仕事で秋田の小さな町のワイナリーを訪れた。 人口は5000人程度。 明治時代には鉱山資源で栄えた町も、時代の変化と共に元気を失った。 鉱山に代わる、新たな観光資源として注目されたのは町に自生していた山ぶどう。 「地元のぶどうから作った純国産のワインを作り、ワイナリーを中心に町を元気にしよう!」という一大プロジェクトがスタートしたのは、30年前のことである。 コロナのせいで予定していた訪問が1ヶ月遅れたこともあり、秋の終わりのぶどう畑は殆ど摘み取られた後

      • 欠けた月に見えた世界の話。

        数ヶ月前から、白神こだま酵母のパン作りを習い始めた。 出会いは3年前、ふと目にしたパンのWebサイト。 味噌汁と一緒に食べでも美味しいシンプルなパン、ご飯の代わりになるパンとして紹介されていたそのパンは、白神こだま酵母を使い作られたものだった。 白神こだま酵母は、地元秋田と青森の県境にひろがる世界遺産白神山地から採取された野生酵母。 幼い頃、遊びに行っていた『白神山地』と、大好きな『パン』が繋がったことに大きな喜びを感じ、即、webを作っていたパン屋に連絡。 パン屋さんは

        • おはーな、の話。

          一足先に、あちらこちらに早咲きの桜が咲き始めた。 まだ寒さが残るものの、もう3月。 この時期のスターバックスはピンク一色。 毎年並ぶ、さくらのシフォンを見て、「もうそんな時期か」と春がきたことを感じる。 桜も、さくらシフォンも大好き。 でも、どうしてもこれだけはもう食べられない。 さくらシフォンを初めて見たのは10年前。 3月11日。 ピンクに染まった美しいシフォンケーキにフォークを刺した瞬間に、あれは起こった。 ***** 2011年3月11日。 当時、私は大

        港町で出会ったイアリングの話。

          彼女の話

          最近、中学校の時のクラスメイトだった子がプロの音楽家として活躍していることを知った。 彼女は背が小さく、高い声で話す子だった。 思春期、かつ生意気な子供が多かった中学校。 気がついた時には、大した理由もなく男子からも女子からも悪口を言われいじめられていた。 制服のネクタイをリボンに変えたら、可愛い子ぶってるとヤジられ 話し方を真似されて馬鹿にされ 順番に、いわゆる「ハブき」がまわってくるループにはまり、彼女も例に漏れずハブかれていた。 彼女と私の距離が縮まったのは、その

          見ているよ、の話。

          1月に入ってから、あれよあれよという間に一気に「自粛」への波が来て、今日は久しぶりに空が暗く寒い一日になった。 15年前、どんなに吹雪だろうと、太ももの半分を丸出しミニスカで通学していたあの頃の自分に言ってやりたい。 15年後はセーターonセーター、なぜか色んな人に腹巻をもらう30代になっているよ、と。 さて、そんな寒い日 疲れ切って何も考えたくない、たまにはゴロゴロのんびりしたい、そんな日にぴったりの映画を一つ。 『柴公園』だ。 柴公園 https://shiba-

          見ているよ、の話。

          『ごちそう』の話。

          『ごちそう』 この言葉を聞いて、皆さんはどんな食べ物を思い浮かべるだろうか。 寿司、ステーキ、焼肉・・・それとも高級フレンチだろうか。 私は、新卒から10年間、食品の卸売会社でサラリーマンをしているが 昨年から販売促進・マーケティング系の部署に異動して1年が経った。 仕事の内容は、ざっくりいうと『日本の食卓の分析・未来予想・スーパーの売り場提案』 例えば、今年であればこの誰も経験したことのないコロナの状況下の中、社会の動き・食品の売れ行きをチェックしながら、3か月後、半年

          『ごちそう』の話。

          備忘録、の話。

          私はコーラが嫌いだ。 まず、炭酸が苦手で飲めない。 ゲフッとくるあの感じが苦しい。 小さい頃から、特にあのコーラの独特の鼻腔に残る感じと、作られた甘ったるさが嫌いで、初めて飲んだあの日からずっと飲んでこなかった。 そんな私がガブガブと今コーラを飲んでいる。 メイドイン島根。 『出雲SPICE LAB.(イズモスパイスラボ)』のクラフトコーラだ。 https://www.lazuda.com/news/archives/1329 旦那さんのイベントで紹介するために我

          備忘録、の話。

          友達追加、の話。

          先週のこと。 仕事中に、携帯のディスプレイに 「電話番号で、●●さんがお友達になりました」とLINEのお友達追加のお知らせが表示された。 ●●さんの名前は、おじいちゃんの名前。 10年近く前に亡くなった、私の祖父の名前だった。 私とおじいちゃんはちょうど60歳違い。 昭和初期生まれの、いわゆる厳しいおじいちゃんだったが、男ばかりの加藤家に生まれた初の女孫として、私にだけは滅法甘かった。 おじいちゃんは朝ごはんを食べない。 朝ごはんの代わりに、大好きなおばあちゃんが点

          友達追加、の話。

          オナゴに必要な3大要素の話。

          女性にとって必要な3大要素とは、何だろう。 私は、秋田の田舎の代々続く医者の家に生まれ幼い頃から「○○さん家のお嬢さん、とてもよくできたお嬢さんね。」言われるように育てられた。 文武両道は当たり前。 きちっと挨拶ができる、品よく振る舞える、 いつも明るく元気で、可愛くて、誰からも愛されるような女性でなくてはいけない。 可愛く、品よく、すべてにおいて優秀に。 そんなイメージが「正解」の女性像だと言われてきた私は、何の疑いも持つことなく、その道を突っ走る。 いつも花柄のひ

          オナゴに必要な3大要素の話。

          梅雨になると読みたくなる小説の話

          「いま、会いにゆきます。」 市川拓司によるベストセラーにもなった恋愛ファンタジー小説。 〜最愛の妻(澪)を1年前に亡くし、幼い一人息子の佑司と慎ましく過ごしていた発達障害を抱えた主人公の巧。 澪は生前、「1年たったら、雨の季節に又戻ってくるから」という言葉を残していた。 その言葉通り、一年後の雨の季節に死んだはずの澪が現れる。 しかし、澪は一切の全ての記憶を失っていた。 記憶のない澪と共に、夫婦として、親子として いくつもの会話を重ねながらもう一度家族の絆を深めていく 梅

          梅雨になると読みたくなる小説の話

          ピアノの話

          久しぶりに乗った電車で 目の前の席に小さな女の子と、お母さんが座った。 開いたのは、黄色のピアノの本。 壁に寄りかかりながら眺める女の子に、お母さんが一生懸命音符の読み方の話をしていた。 ド・レ・ミ ミ・ファ・ソ たどたどしく、読み上げるたびお母さんが大喜びして、もっともっと次は、これは?と進めていく様子を見て ぼんやりと、昔のことを思い出した。 その黄色の本をわたしは見たことがある。 30年近く前、私も毎日、開いていたピアノの本。 私は3歳からピアノを始めて、中

          ピアノの話

          お庭の話

          小さな古いアパートの1階の我が家には、小さな小さな庭がある。 昨年の夏に鎌倉に引っ越して2度目の夏。 外出自粛になったことをいいことに、雑草が生え放題で大変なことになっていたお庭の草抜きをしてみることにした。 家の近くにあるちいさな工務店で、鎌とシャベルを買って 首には手拭いを巻いて、長靴を履いて、麦わら帽子をかぶった完全なる田舎のおばあちゃんルックで草抜きを始めたが、思いの外楽しい。 けっこうハマっている。 気がついたら、空き時間ができると、すぐに庭に降りて行って草