嫉妬したりもしたけれど、私はげんきです#4

更新がすっかり遅くなってしまった。毎日が充実していて、思っていたよりも日記を書く時間が取れないという嬉しい誤算。ただ、今日は書きたいことがたくさんで、書くのにも時間がかかってしまった。

いつものように授賞式に参加するべく、同期と合流しようとすると、そこにはコンペを終えた先輩が立っていた。今日ヤングの発表なんだけど、それまでちょっと見るわ。そう呟いた先輩と共に授賞式を見ることになった。
本戦を戦い抜いたその姿は肩の荷が降りた清々しい顔をしていて、それでもどこか緊張が残っていて、とにかくかっこよかった。僕はその姿だけで少し泣きそうになりながら、授賞式を満喫した。もちろん先輩は中盤までいれることもなく、結果を聞きに抜けていった。

この日は授賞式の後弊社の集まりがあり、同期たちと向かうことにした。そこにあったのは僕が見たことのない若手たちに囲まれた先輩の姿。僕はその姿だけで先輩が世界一になったんだと思った。

先輩でましてや1年目から気にかけてくれている方々、このコンペにかける想いも分かっているつもりだったのに、僕はおめでとうございますの言葉を絞り出すのにかなりの時間がかかってしまった。

嫉妬なんてものはとうに超え、自分の情け無さに押しつぶされそうになり、何も出来ない自分のことが悔しくて仕方なかった。

それでも先輩と話がしたくて、たくさんのことを話してもらった。先輩たちはしきりに「次はお前たちだよ」と言ってくれた。
でも、僕はその期待に応えられていない自分が更にちっぽけに見えてたまらなかった。

東京に帰ったら、ちょっと賞を獲ったことがある使い勝手のいい若手としてまた評価されてる気分になるはずだけど、絶対に今日の悔しさを忘れるなよ。
先輩たちはそう言った。先輩たちも同じところから這い上がったと。

なかじーまはその話を聞いて会に30分も参加しないまま宿に帰っていった。僕はその気持ちも十二分に理解しながら、自分を保つためにお酒を飲んだ。

右半身は祝福しているのに、左半身は心が追いつかなかったのか、僕はなぜか左目だけ泣きながら先輩と話をした。
自分たちの祝福のタイミングなのに、僕たちのこれからのことを話してくれた先輩の言葉を僕は絶対に忘れない。

素直に祝福できなくてすみませんでした。
でも、憧れだけで背中を追っても追いつけないと思うから。

僕が謎の左目の涙を拭っていると、宿に帰ったなかじーまから、話があるとメッセが入っていた。

僕たちはカンヌの入り口の大きなモニターの前で今後も一緒に組むかという話をした。
先輩に来年は俺たちが来るって言え。と言われて僕が歯切れの悪いことを言ったのを彼は気にしてくれていたのだった。本当にいいやつである。

正直、僕は今年来れると思っていた。少なくとも何かにはひっかかると。それだけ準備はしたつもりだったし、ある程度の結果がついてきていたから。でも、ダメだった。
ここから来年何が変えられるのだろうかと、歯切れの悪い返事をしたことを僕はすごく反省した。だって一緒にやる相手は来れると思っているんだから。

そして、ふたりで絶対に来年ここに戻ってくると約束をした。

あの瞬間応えられなかった言葉を怖いけど、ここに残しておく。

来年は僕たちが日本代表になる。

この日記が来年とんでもなくダサいことになっても仕方ない。それだけの覚悟がないといけないことを先輩が示してくれたから。

ほらね、世界一青臭いカンヌ日記になった。
かっこ悪すぎて最高だろう?

僕はかなり時間がたった後の授賞式で先輩たちが表彰されている姿に、また泣きながらシャッターを切りまくったことを忘れない。

その席の隣に僕と同じく、
一言も発さずにシャッターを切るなかじーまがいたことも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?